
近年の日本の夏は「災害級」とも言われるほどの猛暑が続いており、住宅における「屋根の暑さ対策」は、もはや快適に過ごすためのオプションではなく、健康や建物を守るための必須条件となりつつあります。とくに直射日光を長時間浴び続ける屋根の表面温度は、夏場で60℃〜70℃以上に達することも珍しくありません。この熱が屋根材を通じて室内に侵入し、冷房効率の低下や「2階がサウナのように暑い」という現象を引き起こしています。
そこで注目されているのが、太陽光を効率よく反射し、熱の侵入を抑制する「遮熱塗料」です。環境省の実証実験でもその効果が認められており、冷房費の削減や省エネ効果が期待できることから、塗り替えリフォームにおいて遮熱塗料を選ぶ方が急増しています。しかし、一口に遮熱塗料といっても、メーカーごとに採用している技術や樹脂の種類(シリコン、フッ素、無機など)、そして価格帯は大きく異なり、一般の方がカタログスペックだけで最適なものを選ぶのは至難の業です。
本記事では、一般家庭の外壁・屋根塗装を専門に行い、全国展開のフランチャイズ網で年間3,000件以上の施工実績を持つ「スターペイント」が、プロの視点で最新の屋根遮熱塗料を徹底比較しました。カタログ上の数値だけでなく、実際の施工現場での取り扱いやすさや経年劣化への耐性なども踏まえ、2025年版ランキングとしてまとめています。「とにかく暑さを軽減したい」「光熱費を抑えたい」「塗料選びで失敗したくない」という方は、ぜひ本記事を塗料選びの参考にしてください。
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屋根遮熱塗料とは?|仕組みと期待できる効果
遮熱塗料は、単に色を塗って美観を整えるだけでなく、太陽光に含まれる熱エネルギーを反射させる特殊な機能を持った塗料です。ここでは、なぜ塗るだけで温度が下がるのかという科学的なメカニズムと、実際に建物に塗装した際にどのようなメリットが得られるのか、その根本的な原理と効果について詳しく解説します。
遮熱塗料の仕組みと一般的な塗料との違い
遮熱塗料がなぜ熱を遮ることができるのか、その仕組みを理解するには、まず太陽光の性質を知る必要があります。太陽光は主に「紫外線」「可視光線」「赤外線」の3つの波長で構成されています。紫外線は塗膜を破壊する原因となり、可視光線は明るさをもたらします。そして、物質に吸収されて熱エネルギーに変わるのが「赤外線(近赤外線)」です。
一般的な屋根用塗料は、この赤外線を吸収してしまう性質があるため、塗装面で熱が発生し、それが屋根材へと伝わってしまいます。これに対し、遮熱塗料には「高日射反射率顔料」や「特殊セラミックビーズ」などが配合されています。これらは、熱の原因となる近赤外線を効率よく反射(散乱)させる性質を持っています。つまり、熱を吸収する前に跳ね返すことで、屋根表面の温度上昇そのものを防ぐのです。これが「遮熱」の基本的なメカニズムです。
よく混同されるのが「断熱塗料」との違いです。遮熱塗料が「熱を反射して表面温度を上げない」のに対し、断熱塗料は「熱伝導率を低くして、熱を内部に伝わりにくくする」という働きをします。イメージとしては、遮熱は「日傘」、断熱は「魔法瓶や羽毛布団」の役割に近いと言えます。夏場の暑さ対策、特に太陽光によるジリジリとした熱気の侵入を防ぐという点においては、遮熱塗料が高い費用対効果を発揮します。
また、最新の遮熱塗料技術では、単に反射率が高いだけでなく、汚れが付着しにくい「低汚染性」を兼ね備えたものが主流になっています。屋根が汚れて黒ずんでしまうと、反射率が下がり遮熱効果が落ちてしまうため、長期的に遮熱性能を維持するために、表面をきれいに保つ技術が組み込まれているのです。一般的な塗料と遮熱塗料の最大の違いは、この「太陽光マネジメント能力」の有無にあります。
遮熱塗料で期待できる効果|室温・光熱費・屋根寿命への影響
遮熱塗料を導入することで得られる効果は、大きく分けて「室内環境の改善」「経済的メリット」「建物の保護」の3点があります。それぞれの具体的な影響について、実証データや現場での実感を交えて解説します。
まず最も期待されるのが**「室内温度の低減」**です。建物の構造や断熱材の有無にもよりますが、遮熱塗料を屋根に塗布することで、屋根の表面温度は最大で15℃〜20℃程度低下することが確認されています。屋根表面の熱が下がれば、当然、屋根裏や室内天井付近に伝わる熱も減少します。一般的には、室温が1℃〜3℃程度下がると言われています。「たった数度?」と思われるかもしれませんが、体感温度としての3℃の差は非常に大きく、真夏のうだるような暑さが和らぎ、エアコンの効き出しが早くなるのを実感できるレベルです。特に、2階建て住宅の2階部分や、屋根裏部屋、ロフトなどは熱がこもりやすいため、その効果を顕著に感じることができます。
次に**「光熱費の削減」**です。室温の上昇が抑えられれば、エアコンの設定温度を無理に下げる必要がなくなります。空調機器メーカーや電力会社の試算によると、冷房の設定温度を1℃上げると約10〜13%の消費電力削減になるとされています。遮熱塗料によって室温上昇が抑制され、エアコンの稼働率が下がれば、ひと夏で数千円から、工場のよう大規模施設では数十万円単位の電気代削減につながるケースもあります。近年は電気代の高騰が続いているため、長期的なランニングコスト削減策として非常に有効です。
そして見逃せないのが**「屋根材の熱劣化抑制(長寿命化)」**です。屋根材は、昼間は太陽熱で高温になり膨張し、夜間は冷えて収縮します。この繰り返しの温度変化(熱サイクル)は、屋根材そのものや、つなぎ目のシーリング材に大きな負荷をかけ、ひび割れや変形の原因となります(熱劣化)。遮熱塗料によって表面温度の上昇を抑えることは、この熱膨張・収縮の幅を小さくすることを意味します。結果として、屋根材そのもののダメージを軽減し、建物の寿命を延ばすことにつながるのです。このように、遮熱塗料は単なる「暑さ対策」にとどまらず、家計と資産価値を守るための多面的なメリットを提供してくれます。
屋根遮熱塗料ランキングを見る前に知るべき比較基準
ランキング形式で塗料を紹介する前に、まずは「どのような基準で塗料を評価・選定すべきか」という比較軸を明確にしておきましょう。専門家でない限り、塗料のカタログを見ても「反射率」「耐候性」などの数値が何を意味するのか判断するのは難しいものです。ここでは、失敗しない遮熱塗料選びのために必ずチェックすべき重要ポイントを解説します。
遮熱性能(太陽光反射率・近赤外線反射率)の正しい見方
遮熱塗料の性能を数値で判断する際、最も重要な指標となるのが「日射反射率(Solar Reflectance)」です。これは、太陽光(特に熱の元となる近赤外線)をどれだけ反射できるかをパーセンテージで表したものです。
日本産業規格(JIS K 5675:屋根用高日射反射率塗料)などの規格において、この反射率が一定基準を満たしているかが、まず第一のチェックポイントとなります。一般的に、反射率が高いほど遮熱性能は高くなります。しかし、ここで注意が必要なのは「どの色での反射率か」という点です。
基本的に、色は白に近いほど反射率が高く、黒に近いほど低くなります。カタログに「日射反射率90%以上!」と大きく書かれていても、それが「真っ白(ホワイト)」の場合の数値であれば、当然の結果です。実際の住宅塗装では、屋根を真っ白にすることは稀で、グレーやブラウン、黒などが選ばれることが多いです。そのため、真に性能が高い遮熱塗料とは、「暗い色(濃色)であっても高い反射率を維持できる技術」を持っている製品です。これを比較するためには、自分が希望する色(例えばダークブラウンやブラック)に近い色番での反射率データを確認する必要があります。多くのメーカーは、色ごとの日射反射率を公開しています。
また、「近赤外線反射率」という言葉にも注目してください。太陽光エネルギーのうち、熱作用が大きいのは近赤外線領域です。可視光線(色)を吸収して黒く見せつつも、目に見えない近赤外線だけは選択的に反射するという高度な技術が使われている塗料(クールブラックなど)を選ぶことで、美観と機能性を両立させることができます。
さらに、近年重要視されているのが「保持率」です。塗りたての時は反射率が高くても、1年後に汚れが付着して反射率が落ちてしまっては意味がありません。カタログスペックだけでなく、防汚機能(親水性など)が備わっているかどうかも、実質的な遮熱性能を見極める上で不可欠な要素です。
耐久性・コストバランス・屋根材との相性
遮熱性能と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「耐久性(耐候性)」です。屋根は外壁以上に過酷な環境(紫外線、雨風、熱)に晒されています。いくら遮熱性が高くても、3年で塗膜がボロボロになって剥がれてしまっては、塗り替え費用が無駄になります。 塗料の耐久性は、主成分となる樹脂の種類によって大きく分類されます。
- アクリル・ウレタン系: 耐用年数5〜7年程度。安価だが屋根には不向き。
- シリコン系: 耐用年数10〜12年程度。コストパフォーマンスが良く、現在の主流。
- フッ素系: 耐用年数15〜20年程度。耐久性が高く、商業施設や大型物件でも多用される。
- 無機(無機ハイブリッド)系: 耐用年数20〜25年程度。ガラス質の成分を含み、最強クラスの耐久性を持つ。
遮熱塗料を選ぶ際は、「遮熱機能」×「樹脂グレード」の組み合わせで考えます。例えば、「遮熱シリコン」と「遮熱フッ素」では、遮熱の仕組みは同じでも、塗膜が長持ちするかどうかが異なります。当然、耐久性が高いほど単価は上がりますが、足場代などの施工費を含めた「ライフサイクルコスト(長期的な費用)」で考えると、高耐久な塗料を選んだ方が塗り替え頻度が減り、トータルでお得になるケースが多いです。
また、「屋根材との相性」も無視できません。スレート屋根、金属屋根(ガルバリウム鋼板)、セメント瓦など、屋根の材質によって塗料の密着性や適性は異なります。特に金属屋根は熱伝導率が高く、温度変化による伸縮が激しいため、塗膜にある程度の柔軟性(追従性)がないと、ひび割れが起きやすくなります。逆に、モニエル瓦などの特殊な瓦は、専用の下塗り材を使わないと塗料が剥がれるリスクがあります。
さらに、コストバランスを考える上では「1缶あたりの塗布面積」や「希釈率」などの施工仕様も関わってきます。材料費が安くても、何回も重ね塗りが必要な塗料であれば、施工費(人件費)が嵩みます。我々プロの業者は、単に「1缶いくら」ではなく、「この屋根材に、この期待耐用年数で仕上げるために、トータルでいくらかかるか」を計算して提案します。ランキングを見る際は、ご自身の予算計画(あと何年その家に住むかなど)と照らし合わせながら、最適なグレードを見定めることが大切です。
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2025年最新|屋根遮熱塗料ランキングTOP10
スターペイントの施工実績や現場での職人の評価、メーカー公表のスペック、そしてコストパフォーマンスを総合的に分析し、2025年におすすめする屋根遮熱塗料TOP10を選出しました。これらは全て実績のある一流メーカーの製品であり、どれを選んでも大きな失敗はありませんが、それぞれの「強み」や「特徴」を知ることで、よりご自宅にマッチした一本が見つかります。
ランキングTOP10|比較表(遮熱性能・耐久性・価格帯)
まずは上位10製品を一覧で比較します。耐久年数はメーカー公表値および実地環境での推定値、価格帯は施工費を含まない材料グレードの目安(★が多いほど高価)としています。
| 順位 | 製品名 | メーカー | 樹脂タイプ | 期待耐用年数 | 価格帯 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 超低汚染リファイン500Si-IR | アステックペイント | シリコン(無機複合) | 15~18年 | ★★★☆☆ | 汚れにくさが持続し、遮熱効果が長持ちする「美壁」塗料 |
| 2位 | サーモアイSi | 日本ペイント | シリコン | 10~12年 | ★★☆☆☆ | 知名度No.1。下塗りにも遮熱機能を持たせたW遮熱構造 |
| 3位 | スーパーシャネツサーモF | アステックペイント | フッ素 | 16~20年 | ★★★★☆ | 高い遮熱性とフッ素の耐久性を両立したハイエンドモデル |
| 4位 | クールタイトSi | エスケー化研 | シリコン | 10~12年 | ★★☆☆☆ | バランスの良さとコストパフォーマンスで公共工事でも人気 |
| 5位 | アレスクール2液Si | 関西ペイント | シリコン | 10~12年 | ★★☆☆☆ | 色別の反射率管理が徹底されており、濃色でも効果を発揮 |
| 6位 | ガイナ (GAINA) | 日進産業 | 特殊セラミック | 15~20年 | ★★★★★ | JAXA技術応用。遮熱+断熱+防音の多機能性が魅力 |
| 7位 | ファイン4Fベスト | 日本ペイント | フッ素 | 15~20年 | ★★★★☆ | 4フッ化フッ素技術による強力な耐候性。遮熱仕様もあり |
| 8位 | ルミステージ | AGCコーテック | フッ素 | 15~20年 | ★★★★★ | 原料メーカーAGCの純正フッ素。認定施工店のみ扱える高級品 |
| 9位 | 快適サーモSi | 水谷ペイント | シリコン | 10~12年 | ★★☆☆☆ | 屋根塗料の老舗が開発。ナノ技術による高い分散性が特徴 |
| 10位 | アドグリーンコート | 日本中央研究所 | アクリルシリコン | 10~15年 | ★★★☆☆ | 排熱に特化した次世代塗料。薄膜で熱を溜め込まない設計 |
1位〜5位の詳細解説(特徴・メリット・注意点)
【1位】超低汚染リファイン500Si-IR(アステックペイント) 現在、塗り替えリフォーム市場で圧倒的な支持を得ているのがアステックペイントの「リファイン」シリーズです。最大の武器は、その名の通り「超低汚染性」。無機成分を配合することで塗膜が緻密になり、汚れが付着しにくく、雨水で汚れを洗い流す「セルフクリーニング機能」を持っています。
- メリット: 遮熱塗料の弱点である「汚れによる反射率低下」を根本から解決しており、塗りたての遮熱効果が長期間持続します。シリコン系ですが期待耐用年数は15年以上と、フッ素並みの耐久性を誇ります。
- 注意点: 2液型塗料のため、施工時の攪拌や可使時間の管理など、職人の技術が必要です。
【2位】サーモアイSi(日本ペイント) 塗料業界最大手、日本ペイントの代名詞的遮熱塗料です。「サーモアイ」シリーズの最大の特徴は、上塗りだけでなく「下塗り(シーラー・プライマー)」にも遮熱顔料を配合している点です。
- メリット: 上塗り層を透過してしまった赤外線を、下塗り層で反射させるダブルブロック効果があり、システム全体で高い遮熱性を発揮します。全40色という豊富なカラーバリエーションも魅力です。
- 注意点: 非常に人気があるため多くの業者が扱っていますが、指定の下塗り材を使わないと本来の効果が出ないため、見積もり内容の確認が必要です。
【3位】スーパーシャネツサーモF(アステックペイント) 1位のリファインと同じメーカーですが、こちらは「遮熱」そのものに特化したハイグレードモデルです。フッ素樹脂を採用しており、紫外線に対する強さはトップクラスです。
- メリット: チタン複合特殊無機顔料(ラジカル制御技術)を使用しており、変色や退色が極めて起きにくい設計です。屋根は外壁よりも劣化が激しいため、予算が許すならシリコンよりこのフッ素モデルを選ぶことで、次回の塗り替えまでの期間を大幅に延ばせます。
- 注意点: 高性能な分、シリコン系に比べて費用は高くなります。
【4位】クールタイトSi(エスケー化研) 建築仕上材のシェア国内トップクラス、エスケー化研のスタンダード遮熱塗料です。公共工事から一般住宅まで幅広く採用されています。
- メリット: 品質の安定性とコストパフォーマンスの良さが抜群です。防カビ・防藻性にも優れており、日本の多湿な気候に適しています。多くの塗装店が標準仕様として採用しているため、比較検討しやすい製品です。
- 注意点: 標準的な性能であるがゆえに、突出した「超低汚染」などの付加価値機能は上位モデルに譲ります。
【5位】アレスクール2液Si(関西ペイント) 関西ペイントの独自技術により、顔料の配合を最適化しています。特に「暗い色でも熱くなりにくい」技術に定評があります。
- メリット: Wブロック効果に加え、赤外線透過混色技術により、上塗り層で反射しきれなかった熱を下地で反射させます。光沢保持率が高く、塗りたてのツヤが長持ちします。
- 注意点: 2液弱溶剤タイプのため、施工中にシンナー臭が多少発生します。換気への配慮が必要です。
6位〜10位の詳細解説(特徴・メリット・注意点)
【6位】ガイナ (GAINA)(日進産業) JAXAのロケット先端部の断熱技術を応用して開発された、非常にユニークな塗料です。塗膜内に特殊なセラミックビーズが大量に含まれており、遮熱だけでなく「断熱」「防音」「防露」などの効果も発揮します。
- メリット: 夏は涼しく、冬は暖かいという断熱効果が期待できる数少ない塗料です。また、雨音が静かになるという防音効果も口コミで評判です。
- 注意点: 仕上がりが独特のマット(つや消し)な質感になり、表面がザラザラするため、好みが分かれます。また、汚れがつきやすい傾向があるため、明るい色は注意が必要です。
【7位】ファイン4Fベスト(日本ペイント) 日本ペイントが誇る最強クラスのフッ素塗料「4F」シリーズの屋根用です。通常のフッ素樹脂(3フッ化)よりも結合エネルギーが強い「4フッ化フッ素」構造を持っています。
- メリット: 紫外線による劣化に対して圧倒的な強さを持ちます。遮熱仕様を選ぶことで、超高耐久かつ遮熱という最強の屋根を作ることができます。
- 注意点: 価格帯は高めです。また、下地の状態が悪いと高級塗料の性能を発揮できないため、下地処理が重要になります。
【8位】ルミステージ(AGCコーテック) フッ素樹脂の原料メーカーであるAGC(旧旭硝子)が開発した塗料です。「メイクupショップ」という認定施工店制度をとっており、限られた技術力のある業者しか扱えません。
- メリット: 原料メーカー直系の純正フッ素樹脂を使用しているため、耐久性と信頼性は折り紙付きです。メーカー保証が充実しているケースが多いのも特徴です。
- 注意点: 取り扱い業者が限定されるため、相見積もりが取りにくい場合があります。また、価格はトップクラスに高価です。
【9位】快適サーモSi(水谷ペイント) 屋根用塗料に特化した老舗メーカー、水谷ペイントの製品です。ナノテクノロジーを駆使し、顔料を均一に分散させることで効率よく熱を反射させます。
- メリット: 屋根専業メーカーならではのノウハウが詰まっており、作業性の良さと仕上がりの美しさに定評があります。マイナーながらプロの職人からの信頼が厚い玄人好みの塗料です。
- 注意点: 大手メーカーに比べると知名度が低く、採用している塗装店を探す必要があるかもしれません。
【10位】アドグリーンコート(日本中央研究所) 「排熱」という概念を取り入れた次世代型の遮熱塗料です。熱を反射するだけでなく、こもった熱を素早く放射(リリース)することで温度上昇を防ぎます。
- メリット: ナノセラミックスを使用しており、薄膜でも高い効果を発揮します。熱だまりが起きにくいため、ヒートアイランド対策として自治体の公共工事などでも採用されています。
- 注意点: 一般的な塗料と施工感が異なるため、施工実績のある業者に依頼するのが無難です。美観重視というよりは機能重視の製品です。
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屋根材別のおすすめ遮熱塗料|瓦・スレート・金属屋根
屋根と一口に言っても、使用されている建材によって特性は全く異なります。塗料との相性(密着性や追従性)を無視して選んでしまうと、早期の剥がれや膨れの原因となります。ここでは、代表的な3つの屋根材別に、適した遮熱塗料の選び方と推奨ポイントを解説します。
スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)向け遮熱塗料
日本の住宅で最も普及しているのが、薄い板状のセメント形成材であるスレート屋根(商品名:カラーベスト、コロニアルなど)です。軽量で耐震性に優れますが、素材自体が薄いため熱を屋根裏に通しやすく、また経年劣化でひび割れしやすいのが特徴です。
【おすすめの方向性】 スレート屋根には、今回ランキングで紹介した**「超低汚染リファイン500Si-IR」や「サーモアイSi」などのシリコン〜フッ素系遮熱塗料**が幅広く適合します。重要なのは、塗料の種類以上に「縁切り(えんきり)」という作業です。スレート屋根を塗装すると、屋根材同士の重なり目が塗料で埋まってしまい、雨水の逃げ道がなくなって雨漏りの原因になります。これを防ぐために「タスペーサー」という器具を挿入して隙間を確保する作業が必須です。 遮熱塗料を選ぶ際は、標準的な下塗り材(シーラー)がしっかり浸透し、密着力を確保できるものを選びましょう。スレート自体が熱を持ちやすいため、遮熱効果の体感度は比較的高い屋根材です。
金属屋根(ガルバリウム・トタン)向け遮熱塗料
金属屋根は、熱伝導率が非常に高く、夏場は目玉焼きが焼けるほどの高温になります。そのため、遮熱塗料の恩恵を最も強く受けられるのがこのタイプです。一方で、金属は熱による膨張・収縮が激しいため、塗膜が硬すぎるとひび割れてしまうリスクがあります。
【おすすめの方向性】 金属屋根には、防錆(サビ止め)機能を持つ専用の下塗り材とセットになった遮熱塗料システムが必要です。ランキング上位の製品はほとんどが金属屋根に対応していますが、特に**「スーパーシャネツサーモF」**のように、塗膜にある程度の柔軟性を持たせた製品や、サビ止め効果の高いエポキシ系遮熱プライマーを使用できる製品が推奨されます。 また、金属屋根は表面が平滑なため、汚れがつくと目立ちやすく、遮熱性能も落ちやすい傾向にあります。そのため、汚れにくい「低汚染タイプ」を選ぶ意義が非常に大きいです。
和瓦・セメント瓦など特殊屋根材への適合
日本瓦(釉薬瓦・陶器瓦)は、基本的に耐久性が非常に高く、塗装の必要がない(塗料が密着しない)ケースがほとんどです。しかし、「セメント瓦」や「モニエル瓦(乾式コンクリート瓦)」は、表面が劣化するため塗装メンテナンスが必要です。
【おすすめの方向性】 セメント瓦やモニエル瓦は、表面が多孔質で塗料を吸い込みやすく、劣化するとボロボロになりやすい特徴があります。特にモニエル瓦は「スラリー層」という脆い層を除去してから塗装しないと、すぐに剥がれてしまう施工難易度の高い屋根材です。 これらの瓦屋根に対しては、「マイティーシリコン」(オリエンタル塗料工業)のような瓦専用塗料や、厚膜を形成できるタイプの遮熱塗料が適しています。一般的な薄膜タイプの遮熱塗料では、瓦の凹凸をカバーしきれないことがあります。また、洋瓦のような形状の場合、断熱性のある**「ガイナ」**を塗ることで、意匠性を変えつつ機能性を付加するリフォームも人気です。瓦屋根の場合は、必ず「瓦の種類の判定」ができる専門家に診断を依頼してください。
「うちの屋根はどの種類?塗装は必要?」
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遮熱塗料を最大限効果的にするための施工ポイント
「良い塗料を使えば、必ず良い結果になる」とは限りません。塗装工事の品質は、「塗料の性能(半製品)」×「職人の技術(施工)」で決まります。特に遮熱塗料は、適切な厚みと均一な塗布がなされて初めてカタログ通りの反射率を発揮します。ここでは、スターペイントが現場で徹底している、効果を最大化するための施工ポイントを公開します。
下塗り・下地処理・塗布量の重要性
塗装工事において、最も手を抜いてはいけないのが「下地処理」です。 まず、高圧洗浄で長年の苔やカビ、汚れを徹底的に洗い流します。汚れが残ったまま遮熱塗料を塗っても、下地ごと剥がれてしまうからです。 次に重要なのが「下塗り」の選定と塗布量です。下塗りは、屋根材と上塗り塗料(遮熱塗料)を接着させる接着剤の役割を果たします。特に劣化した屋根材は塗料をスポンジのように吸い込んでしまうため、規定量以上にたっぷりと下塗りを塗布し、吸い込みを止める必要があります。下塗りが不十分だと、上塗りの遮熱塗料が吸い込まれてしまい、必要な膜厚(厚み)が確保できず、遮熱性能も耐久性も発揮できません。 スターペイントでは、メーカーが定める「基準塗布量(1㎡あたり何kg塗るか)」を厳守し、必要であれば下塗りを2回行うなどして、強靭な塗膜の土台を作ります。遮熱効果は「塗膜の厚み」に比例して安定するため、薄めすぎた塗料で回数だけ重ねても意味がないのです。
色選びで遮熱効果が変わる?明度・彩度と性能の関係
ランキングの項目でも触れましたが、遮熱塗料の効果は「色」によって大きく左右されます。 物理的な原則として、「白(ホワイト)」が最も日射反射率が高く、遮熱効果が高いです。逆に「黒(ブラック)」は最も低くなります。 しかし、日本の住宅街で屋根を真っ白にすると、太陽光が反射しすぎて近隣の迷惑になったり(光害)、汚れが目立って美観を損ねたりするため、現実的ではありません。そこで、バランスの良い色選びが求められます。
【おすすめのカラー選定】
- クールグレー / ライトグレー: 反射率が高く、汚れも比較的目立ちにくい万能色。遮熱効果を重視するなら第一候補です。
- クールグリーン / モスグリーン: 落ち着いた印象で和洋どちらの家にも合いやすく、反射率もそこそこ確保できる人気色です。
- クールブラウン / チョコレート: 汚れは目立ちにくいですが、濃色になるため、グレー系に比べると反射率は下がります。
ポイントは、同じ「黒」や「こげ茶」を選ぶとしても、必ず**「遮熱顔料入りの黒(クールブラック)」**を選ぶことです。これにより、見た目は黒でも、赤外線だけは反射するという機能を持たせることができます。色選びの際は、色見本帳にある「日射反射率」の数値を必ず確認し、デザインと機能の妥協点を見つけることが成功の鍵です。
屋根遮熱塗料の費用相場とメンテナンス周期
最後に、具体的な予算計画を立てるために必要な費用相場と、将来的なメンテナンスコストについて解説します。「遮熱塗料は高い」というイメージがあるかもしれませんが、普及に伴い価格差は縮まってきています。
遮熱塗料の屋根塗装の費用相場(材料費+施工費)
一般的な2階建て住宅(延床面積30坪、屋根面積約70〜80㎡)を想定した、足場代を含まない屋根塗装のみの費用相場です。(※足場代は外壁塗装とセットにする場合が多いため別途、通常15〜20万円程度かかります)
| 塗料グレード | 一般塗料の相場 | 遮熱塗料の相場 | 差額の目安 |
|---|---|---|---|
| シリコン系 | 18万円 〜 25万円 | 20万円 〜 28万円 | +2〜3万円 |
| フッ素系 | 25万円 〜 35万円 | 28万円 〜 38万円 | +3〜4万円 |
| 無機系 | 30万円 〜 45万円 | 35万円 〜 50万円 | +5〜6万円 |
| 断熱塗料(ガイナ等) | – | 40万円 〜 55万円 | – |
見てお分かりの通り、通常のシリコン塗料と遮熱シリコン塗料の差額は、工事全体で見れば数万円程度(一缶あたり数千円の差)です。この差額で、夏場の快適性とエアコン代の節約効果、屋根の保護効果が得られると考えれば、コストパフォーマンスは非常に高いと言えます。現在は、見積もり段階で標準的に遮熱シリコンを提案する業者が増えています。
耐用年数ごとの長期コスト比較(通常塗料との比較)
初期費用だけでなく、30年間にかかるトータルコスト(ライフサイクルコスト)で比較してみましょう。
- パターンA:安価なアクリル・ウレタン塗料(耐用年数6年)
- 30年間で5回の塗り替えが必要。
- 足場代も5回分かかるため、トータルコストは最も高くなる。
- パターンB:一般的なシリコン塗料(耐用年数10年)
- 30年間で3回の塗り替えが必要。
- 標準的なコストモデル。
- パターンC:高耐久遮熱フッ素・無機塗料(耐用年数15〜20年)
- 30年間で1.5回〜2回(20年目に1回)の塗り替えで済む可能性がある。
- 1回の単価は高いが、足場代や人件費の回数が減るため、30年トータルでは最も安くなるケースが多い。
さらに、遮熱塗料による「光熱費削減効果」を加味すれば、その差はさらに広がります。長く住む家であればあるほど、耐久性の高い遮熱塗料を選ぶことが、経済的にも賢い選択となります。
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屋根遮熱塗料ランキングまとめ
本記事では、2025年最新の屋根遮熱塗料ランキングや、失敗しない選び方、施工のポイントについて詳しく解説してきました。重要なポイントを改めて整理します。
- 遮熱の仕組み: 赤外線を反射して屋根の表面温度を下げ、室温低下・光熱費削減・屋根材の保護効果をもたらす。
- 選び方の基準: カタログの「日射反射率」だけでなく、希望する色での反射率や、汚れにくさ(低汚染性)による性能維持力をチェックする。
- ランキング: アステックペイントの「リファイン」や日本ペイントの「サーモアイ」など、実績と機能のバランスが取れた製品が上位。特に「汚れにくさ」は遮熱の寿命に直結する。
- 屋根材との相性: スレートは縁切り、金属屋根は防錆、瓦屋根は専用下塗りと、素材に合わせた施工ができるかが重要。
- 施工品質: 高圧洗浄、下塗りの吸い込み止め、規定塗布量の厳守。これらを行う職人の腕が、塗料のポテンシャルを左右する。
- コスト: 通常の塗料との差額は数万円程度。長期的なメンテナンスコストと光熱費削減を考えれば、高耐久な遮熱塗料への投資は回収できる可能性が高い。
屋根塗装は、10年に一度の大きなイベントです。だからこそ、「何となく安かったから」で選ぶのではなく、「家を守り、快適にする機能」を持った塗料を選んでいただきたいと私たちは考えています。遮熱塗料は、近年の酷暑を乗り切るための強力なサポーターとなってくれるはずです。
近年の猛暑を踏まえると、屋根の遮熱塗装は「快適性」と「光熱費の削減」を両立できる極めて有効なメンテナンス方法です。とくに春から初夏にかけては屋根塗装に最適なシーズンであり、この時期に施工を行うことで、本格的な夏を涼しく迎えることができます。また、湿度が低く塗膜が安定しやすいため、仕上がりも美しくなります。 しかし、いざ検討を始めようと思っても、「自分の家の屋根面積だといくらかかるのか?」「どの塗料グレードが予算に合うのか?」と悩まれる方は多いはずです。 そこで、まずはご自宅の状況と屋根の広さをもとに、費用の概算を把握してみることから始めませんか?
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