1時間以内に、56人が料金診断しました
スターくん
ざっくりいくらかかるの?
外壁塗装の相場を見てみる

リシン吹付の単価はいくら?費用相場・施工内容・他仕上げとの比較を徹底解説!

外壁の塗り替えや新築時の仕上げを検討していると、「リシン吹付」という言葉を目にすることがあります。リシン吹付は、特にモルタル外壁などで古くから採用されてきた伝統的かつスタンダードな仕上げ方法の一つです。その最大の魅力は、比較的コストを抑えながらも、石や砂を吹き付けた独特のザラザラとした質感が生み出す、ナチュラルで落ち着いた風合いにあります。

しかし、実際にリシン吹付を検討し始めると、「㎡あたりの単価はいくら?」「見積もりの総額にはどこまでの作業が含まれる?」「よく聞くスタッコや吹付タイルとはどう違う?」「耐久性やメンテナンスはどうなの?」といった具体的な疑問が次々と浮かんでくるはずです。外壁仕上げは一度行うと10年単位で付き合っていくものだからこそ、費用対効果や特性をしっかり理解して選びたいものです。

本記事では、外壁塗装の専門家の視点から、リシン吹付の費用相場や㎡単価はもちろん、施工の流れ、メリット・デメリット、他の仕上げ方法との詳細な比較、そして将来的な耐用年数とメンテナンスの注意点まで、知りたい情報を網羅的に徹底解説します。

「まずは自宅の外壁塗装にいくらかかるか知りたい」という方は、3分で概算費用がわかる以下のシミュレーションをお試しください。

たった3分で外壁・屋根塗装の相場が分かる!

リシン吹付とは?基本の仕上げ方法と特徴

リシン吹付は、日本の住宅、特にモルタル外壁の仕上げ方法として長年にわたり愛用されてきた定番の工法です。その独特な風合いとコストパフォーマンスの良さから、今なお多くの現場で採用されています。まずは、リシン吹付がどのようなものなのか、その基本構造と施工方法、そしてどんな住宅に向いているのかを理解しましょう。

リシン吹付の施工方法と仕上がりの特徴

リシン吹付は、セメント系や合成樹脂系の塗料に、「骨材(こつざい)」と呼ばれる細かい砂や砕いた石、セラミックチップなどを混ぜ合わせ、それを専用のスプレーガン(通称:リシンガン)を使って外壁下地に均一に吹き付けていく工法を指します。

この工法の最大の特徴は、骨材による「ザラザラとした凹凸のある質感」です。表面が細かくざらつくため、光の当たり方によって微妙な陰影が生まれ、マットで自然な風合い、落ち着いた高級感を演出できます。ツルツルとした均一な塗装面とは異なり、土壁のような温かみを感じさせる仕上がりとなります。

また、リシン吹付の塗膜(塗装の膜)は、他の仕上げ方法に比べて比較的「薄い」ことも特徴です。これは「薄付け仕上げ」とも呼ばれます。塗膜が薄いため、下地の湿気を外部に逃がしやすいという「透湿性の高さ」を持っています。建物内部の湿気が壁内にこもると、結露や構造材の腐食につながるリスクがありますが、リシン吹付は壁が呼吸するのを助け、建物の耐久性を維持するのに役立ちます。

一方で、この「薄塗り」である特性は、デメリットにもつながります。塗膜が薄く硬質であるため、建物の揺れや下地のモルタルの収縮に追従する能力(ひび割れ追従性)が低い傾向があります。そのため、下地のモルタルにひび割れ(クラック)が発生すると、仕上げのリシン面にもそのままひび割れが現れやすいという弱点も持っています。

リシン吹付が特に多く採用されてきたのは、築年数が20年以上のモルタル外壁の住宅です。1980年代から1990年代にかけて、和風・洋風問わず多くの戸建て住宅で標準的な仕上げとして用いられました。もしご自宅の外壁がモルタルで、表面が細かくザラザラしているなら、リシン吹付で仕上げられている可能性が高いでしょう。

リシン吹付の種類(アクリルリシン・弾性リシンなど)

一口に「リシン吹付」と言っても、使用する塗料の主成分(バインダー)によって、いくつかの種類に分けられます。現在主流となっているのは、「アクリルリシン」と「弾性リシン」です。それぞれの特徴を理解し、ご自宅の状況やニーズに合わせて選ぶことが重要です。

最も古くからあり、定番とされてきたのが「アクリルリシン」です。主成分がアクリル樹脂で、何よりも価格がリーズナブルであることが最大のメリットです。施工実績も豊富で、前述した「透湿性の高さ」というリシン本来の長所を最も強く持っています。ただし、耐久性の面では他の高機能な塗料に劣り、耐用年数は7〜10年程度と比較的短めです。また、ひび割れ追従性も低いため、モルタルのクラックが懸念される場合には注意が必要です。コストを最優先し、定期的な塗り替えを前提とする場合に適しています。

一方、アクリルリシンの「ひび割れしやすい」という弱点を改良したのが「弾性リシン」です。塗料自体にゴムのような伸縮性(弾性)を持たせることで、下地の微細なひび割れ(ヘアークラック)に塗膜が追従し、表面化しにくくする特性を持っています。これにより、建物の揺れや振動に対する耐久性が向上し、防水性も高まります。ただし、メリットばかりではありません。弾性を持たせた結果、塗膜の目が詰まりやすくなるため、アクリルリシンに比べて「透湿性が低下」する傾向があります。湿気がこもりやすい立地の場合、塗膜の膨れにつながる可能性もゼロではありません。また、単価もアクリルリシンより高くなります。

その他にも、メーカーによっては、シリコン樹脂やフッ素樹脂を配合して耐汚染性や耐久性を高めた「シリコンリシン」「フッ素リシン」、あるいはセラミック成分を配合した「セラミックリシン」といった発展型の製品も存在します。これらは従来の(アクリル)リシンよりも高価になりますが、その分、耐用年数が長く、汚れにくいといった付加価値が提供されます。

表:リシンの種類別 比較表

種類主成分特徴㎡単価(目安)耐用年数(目安)
アクリルリシンアクリル樹脂・安価で最も一般的・透湿性が非常に高い・ひび割れ追従性は低い800円~1,500円7~10年
弾性リシン弾性アクリル樹脂・ひび割れ追従性が高い・防水性が向上する・アクリルより高価・透湿性はやや低下1,200円~2,000円8~12年
シリコンリシンシリコン樹脂・耐久性、耐汚染性が向上・弾性機能を持つものも多い・アクリルより高価1,500円~2,500円10~15年

※単価はあくまで材料費と吹付施工費の目安であり、下地処理や足場代は含みません。

リシン吹付の単価・費用相場

リシン吹付が「安価な仕上げ」として知られているのは事実です。しかし、実際に塗装工事を依頼する際には、㎡あたりの単価だけでなく、工事全体でどれくらいの費用がかかるのかを把握することが不可欠です。ここでは、具体的な㎡単価の目安と、工事全体の費用内訳について詳しく見ていきましょう。

㎡単価の目安と全国平均相場

リシン吹付の施工単価は、一般的に「1㎡あたり800円〜1,800円」程度が相場とされています。この価格には、材料費と吹付の作業費(いわゆる工賃)が含まれるのが通常です。

この単価に幅があるのは、いくつかの要因によるものです。まず、前述したリシンの「種類」です。最も安価なアクリルリシン(800円〜)に対し、弾性リシンやシリコン系リシン(1,200円〜)などを選べば、当然ながら単価は上がります。また、既存の外壁の状態も影響します。下地の劣化が少なく、比較的簡単な清掃と下塗りで済む場合は安価に収まりますが、高圧洗浄だけでは落ちない強固な汚れやカビの除去、あるいは下地の補修が広範囲に必要な場合は、単価が上乗せされることがあります。さらに、施工する面積や建物の形状(凹凸が多い、狭い場所が多いなど)、立地条件(都市部か郊外か)によっても、単価は変動します。

ここで重要なのは、リシン吹付の単価を、他の代表的な外壁仕上げ工法と比較することです。

表:外壁仕上げ別 ㎡単価比較表(下地処理・下塗り・中塗り・上塗り含む目安)

仕上げ工法㎡単価(目安)特徴
リシン吹付800円~1,800円薄付け。マットな質感。安価。
吹付タイル(タイルガン)1,500円~2,500円凹凸のある模様。リシンより厚みあり。
スタッコ吹付2,000円~3,500円厚付け。重厚感・高級感あり。高価。
ローラー(単層弾性など)1,800円~2,800円塗膜に厚み。防水性が高い。
ジョリパット(コテ仕上げ)3,000円~8,000円デザイン性高い。職人の技術要。高価。
サイディング(張替え)15,000円~25,000円(参考)外壁材自体の交換。高額。

※上記はあくまで目安です。使用する塗料のグレード(シリコン、フッ素など)によっても大きく変動します。

この表からも分かる通り、リシン吹付は他の工法と比較して、㎡単価が最も安価な部類に入ります。特に、重厚感を出すスタッコや、デザイン性の高いジョリパット(コテ仕上げ)と比較すると、その差は顕著です。コストパフォーマンスを重視する場合、リシン吹付は非常に有力な選択肢となります。

工事全体の費用構成と内訳

外壁塗装の見積もりを見る際、リシン吹付の「㎡単価」だけに着目してはいけません。なぜなら、塗装工事の総額は「吹付作業費」だけで構成されているわけではないからです。むしろ、それ以外の「付帯工事費」が全体の大部分を占めることも少なくありません。

一般的なリシン吹付を含む外壁塗装工事は、以下の工程で進められます。

  1. 足場仮設:安全かつ高品質な作業のために不可欠。
  2. 飛散防止ネット(養生シート):塗料や洗浄水が近隣に飛び散るのを防ぐ。
  3. 高圧洗浄:長年の汚れ、カビ、藻、古い塗膜を徹底的に洗い流す。
  4. 下地処理(補修):ひび割れ(クラック)の補修、欠損部の充填など。
  5. 養生:窓やドア、エアコン室外機など、塗装しない部分をビニールで覆う。
  6. 下塗り(シーラー・プライマー):下地と上塗り塗料の密着性を高める。
  7. 中塗り・上塗り(リシン吹付):リシン材を2回に分けて吹き付ける(※工法による)。
  8. 付帯部塗装:雨樋、破風板、軒天、水切りなどの塗装。
  9. 清掃・足場解体:養生を剥がし、清掃後、足場を撤去。
  10. 廃材処理:工事で出たゴミの処理。

これらの工程すべてに費用が発生します。特に「足場仮設費」は、総額の約15〜20%を占める大きな項目です。また、「下地処理」の費用は、外壁の劣化状況によって大きく変動します。ひび割れが多ければ、その分補修費がかさみます。

仮に、30坪(外壁面積約120㎡)の戸建て住宅でリシン吹付(アクリル)を行った場合の費用内訳の例を見てみましょう。

表:リシン吹付工事の費用内訳例(30坪・外壁120㎡の場合)

項目単価(目安)数量金額(目安)
共通工事費
足場仮設(ネット込)800円/㎡150㎡120,000円
高圧洗浄200円/㎡120㎡24,000円
養生250円/㎡120㎡30,000円
下地補修(クラック等)諸経費1式30,000円
塗装工事費
下塗り(シーラー)600円/㎡120㎡72,000円
上塗り(リシン吹付)1,000円/㎡120㎡120,000円
付帯工事費
軒天塗装800円/㎡20㎡16,000円
雨樋塗装600円/m40m24,000円
破風板・鼻隠し塗装800円/m30m24,000円
その他
諸経費(運搬費・管理費等)工事費の5%1式23,000円
合計(税別)483,000円

このように、リシン吹付自体の費用(120,000円)は総額の一部であり、足場代や下塗り、その他の費用を含めると、30坪の戸建てで総額約40万円〜60万円程度が相場となります。

費用を左右する要因としては、「外壁面積」「劣化の度合い(下地補修の量)」「使用するリシンの種類(アクリルか弾性か)」「付帯部の塗装範囲」「地域(人件費や物価)」「季節(繁忙期か閑散期か)」などが挙げられます。

ご自宅の具体的な広さや状況に基づいた詳細な費用を知りたい場合は、専門家による見積もりシミュレーションが便利です。

たった3分で外壁・屋根塗装の相場が分かる!

リシン吹付のメリット・デメリット

リシン吹付は「安価」という明確なメリットがありますが、同時に知っておくべきデメリットも存在します。費用対効果を正しく判断するためには、その両面を深く理解しておくことが不可欠です。ご自宅の環境や将来のメンテナンス計画に合っているか、ここでしっかり確認しましょう。

リシン吹付のメリット

リシン吹付を選ぶ最大の動機となる長所は、コストパフォーマンスと機能性にあります。

1. 施工コストが安い(最大のメリット) 前章で詳述した通り、リシン吹付の㎡単価は他の仕上げ工法と比較して最も安価なレベルにあります。スプレーガンで効率よく広範囲に施工できるため、職人の工数(人件費)を抑えられることが大きな理由です。特にアクリルリシンは材料費自体も安価です。外壁リフォームの総額をできるだけ抑えたい、あるいは予算が限られている場合には、非常に強力な選択肢となります。

2. 通気性・透湿性が高い リシン吹付の塗膜は薄く、微細な隙間があるため、壁内部の湿気を外に逃がす「透湿性」に優れています。これは特に、湿気がこもりやすいモルタル外壁や、結露が発生しやすい住宅にとって重要なメリットです。壁が「呼吸」できることで、結露による構造材の腐食や、断熱材の性能低下を防ぐ効果が期待できます。

3. 色の自由度が高い リシンは、ベースとなる塗料に様々な色の顔料を混ぜることができます。そのため、色の選択肢(カラーバリエーション)が非常に豊富です。白やベージュ系のスタンダードな色はもちろん、グレーやブラウン、あるいは個性的な色まで、建物のデザインや周囲の景観に合わせて自由に選ぶことができます。

4. 短工期で仕上がる スプレーガンによる吹付工法は、ローラーやコテを使った手塗り作業に比べて、施工スピードが速いのが特徴です。広範囲を均一に素早く仕上げることができるため、全体の工期短縮につながります。工期が短くなれば、足場が設置されている期間や、窓を閉め切る必要がある養生期間も短くなり、居住者のストレス軽減にも貢献します。

5. 独特の風合いと落ち着いた仕上がり 骨材による細かな凹凸は、光を乱反射させ、ギラつきのないマットで落ち着いた外観を生み出します。この自然な風合いは、和風建築にも洋風建築にも馴染みやすく、高級感を演出します。

リシン吹付のデメリット

一方で、リシン吹付を採用する前に必ず認識しておくべき弱点もあります。これらを理解せずに選ぶと、後々のメンテナンスで「こんなはずではなかった」と後悔する可能性があります。

1. 汚れが付きやすく、カビ・藻が発生しやすい リシン吹付の最大のデメリットとも言えるのが、「耐汚染性の低さ」です。表面がザラザラとした凹凸形状であるため、その隙間に砂埃、排気ガス、PM2.5などの汚れが非常にたまりやすくなります。さらに、たまった汚れが湿気を含むと、カビや藻が発生しやすい環境となります。特に日当たりの悪い北面や、湿気の多い場所では、数年で緑色や黒ずんだ汚れが目立ってくるケースも少なくありません。

2. クラック(ひび割れ)に弱い 特にアクリルリシンの場合、塗膜が薄く硬質であるため、下地のモルタルの動き(乾燥収縮や地震の揺れ)に追従できず、ひび割れ(クラック)が発生しやすい傾向があります。大きなひび割れが発生すると、そこから雨水が浸入し、雨漏りや構造体の劣化につながる恐れがあるため、早期の補修が必要です。

3. 耐用年数が比較的短い アクリルリシンをベースとした場合、その耐用年数は一般的に7〜10年程度とされています。これは、シリコン塗料(10〜15年)やフッ素塗料(15〜20年)と比較すると短いサイクルです。施工費用は安いものの、次の塗り替え時期が早く訪れるため、長期的な視点(ライフサイクルコスト)で見ると、必ずしも最も経済的とは言えない場合があります。

4. 施工時の飛散リスク スプレーガンで塗料を霧状にして吹き付けるため、風が強い日には塗料が周囲に飛散しやすいというリスクがあります。養生を徹底的に行うのはもちろんですが、近隣の住宅や駐車している車などに塗料が付着しないよう、細心の注意と高い技術が求められます。

これらのメリット・デメリットを天秤にかけ、ご自宅の立地条件(交通量、日当たり、湿度)や、将来のメンテナンス計画(何年後に次の塗り替えを想定するか)を考慮して、リシン吹付が最適かどうかを判断する必要があります。

「リシンのデメリットが自宅に当てはまるかも…」と不安に感じた方、あるいは「結局、うちにはどの仕上げが合っているの?」と迷われた方は、専門家に相談するのが一番です。まずは無料シミュレーションで、ご自宅の状況に合わせた費用の目安を確認してみませんか?

たった3分で外壁・屋根塗装の相場が分かる!

他の外壁仕上げとの比較

外壁仕上げを選ぶ際、リシン吹付だけを見るのではなく、他の選択肢と比較することで、それぞれの工法の特徴がより明確になります。特にリシンと混同されやすい「吹付タイル」や「スタッコ」、また近年人気の「ジョリパット」との違いを理解することは、最適な選択のために不可欠です。

吹付タイル・スタッコとの比較

これら3つは、いずれもスプレーガンを使って施工される「吹付工法」の仲間ですが、仕上がりの質感、塗膜の厚さ、そしてコストが大きく異なります。

吹付タイル(タイルガン仕上げ) 「タイル」という名前がついていますが、陶磁器タイルを貼るわけではありません。塗料を吹き付けて、凹凸のある「タイル調」の模様を作る工法です。「タイルガン」という専用のガンを使い、粘度の高い塗料を玉状に飛ばして模様を付けた後、ローラーなどで頭(模様の先端)を押さえる工法(ヘッドカット仕上げ)や、そのままにする工法(凸部処理なし)があります。 リシンとの最大の違いは「塗膜の厚さ」です。リシンが薄付け(約1〜2mm)なのに対し、吹付タイルは厚み(約3〜5mm)を持たせることができます。この厚みにより、リシンよりもひび割れ追従性や防水性が高まる傾向があります。仕上がりは、リシンのようなザラザラ感ではなく、もう少し丸みを帯びた凹凸模様になります。単価はリシンよりやや高くなります。

スタッコ吹付 スタッコは、リシンよりもさらに大きな骨材(砂や石)をセメントや樹脂に混ぜ、厚く吹き付ける工法です。リシンガンではなく「スタッコガン」という口径の大きなガンを使用します。 仕上がりは非常に重厚感があり、ゴツゴツとした力強い凹凸が特徴です。西洋の石造建築のような高級感を演出できます。塗膜は3つの中で最も厚く(約5〜10mm)、耐久性も高いですが、その分、材料費も施工費も高額になります。また、凹凸が非常に深いため、リシン以上に汚れがたまりやすいというデメリットも併せ持ちます。

表:外壁仕上げ3種(吹付工法)の比較

項目リシン吹付吹付タイルスタッコ吹付
仕上がりの質感細かいザラザラ感丸みのある凹凸模様ゴツゴツした重厚感
塗膜の厚さ薄い(約1〜2mm)中程度(約3〜5mm)厚い(約5〜10mm)
㎡単価(目安)800円~1,800円1,500円~2,500円2,000円~3,500円
耐用年数(目安)7~10年(アクリル)8~12年(アクリル系)10~15年(アクリル系)
ひび割れ追従性低いやや高い高い
汚れやすさ汚れやすいやや汚れやすい非常に汚れやすい
向いている住宅コスト重視、シンプルな風合いバランス型、防水性重視高級感・重厚感重視

結論として、**「軽く・安く・シンプル」な仕上がりを求めるならリシン、「コストと耐久性のバランス」を求めるなら吹付タイル、「コストがかかっても重厚感」**を求めるならスタッコ、という選択基準になります。

ジョリパットや塗り壁仕上げとの違い

近年、デザイン性の高い住宅で人気を集めているのが「ジョリパット」に代表される、いわゆる「塗り壁(左官)仕上げ」です。これらは吹付工法とは根本的に異なります。

ジョリパットは、塗料と骨材が一体となった「意匠性塗材」と呼ばれる材料を、職人が「コテ」や「ローラー」、「ハケ」などを使って手作業で壁に塗り付け、様々な模様を創り出していく工法です。例えば、「扇形」「ウェーブ(波型)」「櫛引(くしびき)」「スパニッシュ(荒らし)」など、デザインの自由度が非常に高いのが最大の特徴です。 リシン吹付が均一な仕上がりを目指すのに対し、ジョリパットは職人の手仕事による「オンリーワンの表情」を生み出します。

ただし、この高いデザイン性は、高いコストとトレードオフの関係にあります。吹付に比べて格段に手間と時間がかかるため、㎡単価は3,000円から、複雑な模様になると8,000円以上と、リシン吹付の数倍になることも珍しくありません。

メンテナンス性にも違いがあります。リシン吹付は、次回の塗り替え時、高圧洗浄後に比較的容易に再塗装が可能です。一方、ジョリパットは、その独特の質感を維持したまま塗り替えるのが難しく、専用の改修塗料を使う必要があったり、場合によっては上から吹き付け塗装を行うことになり、せっかくの質感が失われてしまったりすることもあります。

モルタル外壁に適した選択のポイントとしては、何を最優先するかです。

  • コストを最優先し、シンプルで落ち着いた外観を求めるなら「リシン吹付」。
  • デザイン性を最優先し、予算に余裕があり、個性的な外観を求めるなら「ジョリパット(コテ仕上げ)」。
  • その中間で、コストを抑えつつも一定の耐久性や模様が欲しいなら「吹付タイル」が選択肢に入ります。

どの仕上げ方法がご自身の好み、予算、そして将来のメンテナンス計画に合っているか、具体的な費用を比較しながら検討することが重要です。

たった3分で外壁・屋根塗装の相場が分かる!

リシン吹付の耐用年数とメンテナンス

リシン吹付は安価に施工できる反面、その後のメンテナンスが非常に重要になる仕上げ材です。耐用年数を正しく理解し、適切な時期に補修や再塗装を行うことが、お住まいを長持ちさせるための鍵となります。

リシン吹付の耐用年数と劣化症状

一般的に、最も多く使用される「アクリルリシン」の耐用年数は7〜10年が目安とされています。ただし、これはあくまで目安であり、立地条件(日当たり、湿度、交通量)や気候(紫外線量、降雨量)によって前後します。

耐用年数が近づくと、リシン吹付の外壁には以下のような「劣化のサイン」が現れ始めます。これらの症状を見逃さず、メンテナンスのタイミングを計ることが重要です。

1. チョーキング(白亜化現象) 外壁を手で触ったときに、白い粉がつく現象です。これは塗料の表面が紫外線の影響で劣化・分解し、顔料が粉状になって現れたものです。塗膜の防水性が失われ始めている初期のサインです。

2. 汚れ・カビ・藻の付着 リシンの凹凸部分に汚れが蓄積し、黒ずみや緑色のカビ・藻が目立つようになります。特に北面や湿気の多い場所で顕著です。美観を損ねるだけでなく、カビが塗膜の内部に根を張ると、劣化を早める原因となります。

3. ひび割れ(クラック) 塗膜自体、あるいは下地のモルタルの動きによって、ピシッとした線状のひび割れが発生します。幅0.3mm以下の「ヘアークラック」であれば緊急性は低いですが、それ以上に広がり始めた「構造クラック」は、雨水の浸入口となるため早急な対応が必要です。

4. 塗膜の剥がれ・膨れ 劣化が進行し、塗膜の密着性が失われると、パリパリと剥がれてきたり、湿気によって水ぶくれのように膨れたりすることがあります。この状態になると、下地が直接雨水にさらされるため、非常に危険な状態です。

これらの症状が複数見られるようになったら、再塗装を検討すべき時期です。特に「ひび割れ」や「剥がれ」が確認できた場合は、耐用年数に関わらず、専門業者による点検を依頼することをおすすめします。

再塗装・補修時の注意点

リシン吹付の外壁を再塗装(塗り替え)する際には、いくつかの重要な注意点があります。これを知らずに施工すると、数年で再び不具合が発生する「施工不良」につながるリスクがあります。

1. 「下地処理(高圧洗浄・補修)」が最重要 リシン面の再塗装で最も重要な工程は、塗装そのものよりも「下地処理」です。リシンの凹凸には、長年の汚れやカビ、古い劣化した塗膜が強固に付着しています。これを高圧洗浄でどれだけ徹底的に除去できるかが、新しい塗料の密着性を左右します。汚れやカビが残ったまま塗装すると、新しい塗膜の下でそれらが繁殖し、早期の剥がれや膨れの原因となります。また、既存のひび割れもしっかりと補修材(シーリングやフィラー)で埋めておく必要があります。

2. 下塗り材(シーラー・フィラー)の選定 劣化したリシン面は、新しい塗料を吸い込みやすい状態になっています。そのため、下塗り材(シーラー)を塗布して吸い込みを止め、下地を固める必要があります。吸い込みが激しい場合は、シーラーを2回塗りすることもあります。また、微細なひび割れが多い場合は、厚みのある「フィラー」という下塗り材を使用して、凹凸やクラックを埋める処理(下地調整)を行うことが推奨されます。

3. 弾性塗料との相性問題(膨れ・剥離のリスク) 既存のリシン面(特にアクリルリシン)は透湿性が高いです。この上に、防水性を高めようとして「弾性塗料」(ゴムのように伸びる塗料)を安易に塗装すると、問題が起きることがあります。弾性塗料は透湿性が低いため、壁内部から蒸発しようとする湿気の逃げ場がなくなり、既存のリシン層と新しい弾性塗料の間で塗膜が「膨れる」現象が発生しやすいのです。 これを防ぐためには、既存の壁の状態を正しく診断し、湿気の影響が少ないと判断するか、あるいは「透湿性」を併せ持つ弾性塗料や、湿気を逃がすための「通気工法」を選定する必要があります。この判断は専門知識を要するため、信頼できる業者の診断が不可欠です。

4. 再びリシンで仕上げるか、別の仕上げにするか リシンからの塗り替えは、必ずしも再びリシン吹付にする必要はありません。高圧洗浄・下地処理の後、ローラーを使って「シリコン塗料」や「フッ素塗料」を塗る(平滑仕上げ)ことも一般的です。この方が、凹凸が浅くなるため汚れにくくなり、耐用年数も延ばせるメリットがあります。ただし、リシン独特の風合いは失われます。 どちらが良いかは、コスト、耐久性、デザインの何を優先するかによって変わってきます。

リシン吹付で失敗しないためのポイント

リシン吹付は安価な工法ですが、価格だけで飛びつくと「安物買いの銭失い」になりかねません。施工品質が低ければ、耐用年数よりもずっと早く劣化してしまいます。後悔のない外壁塗装にするために、見積もりの見方と業者選びのポイントを押さえましょう。

安すぎる見積もりの落とし穴

複数の業者から見積もりを取った際、1社だけ突出して安い見積もりが出てくることがあります。もちろん、企業努力によるコストダウンの場合もありますが、多くの場合、その「安さ」には理由があります。

1. ㎡単価だけで判断してはいけない 前述の通り、リシン吹付の単価は「800円〜1,800円」と幅があります。しかし、A社が「800円/㎡」、B社が「1,200円/㎡」だったとして、単純にA社が安いとは限りません。B社の1,200円には丁寧な下塗りが含まれているのに対し、A社の800円は上塗りだけの価格かもしれません。総額で比較することも重要ですが、「何が含まれた単価なのか」を詳細に確認する必要があります。

2. 省略されがちな「重要工程」 コストダウンのために最も手っ取り早く削られがちなのが、「見えなくなる部分」や「手間がかかる部分」です。

  • 高圧洗浄の時間短縮:汚れが残ったまま塗装する。
  • 下地処理の省略:小さなひび割れを補修せず、そのまま塗装する。
  • 乾燥時間の不足:下塗りや洗浄後の乾燥時間を守らず、次の工程に進む。(内部に湿気が残ったまま塗装すると膨れの原因に)
  • 塗料の規定量(希釈率)を守らない:塗料を薄めすぎて、塗膜の厚みが足りず、耐久性が著しく低下する。

これらの手抜き工事は、施工直後はきれいに見えても、1〜2年で剥がれやひび割れとして必ず現れます。

3. 「足場代無料」のカラクリ 「キャンペーンで足場代無料!」といった営業トークにも注意が必要です。足場は専門の業者が設置・解体するものであり、絶対に無料にはなりません。無料と謳っている場合、その費用は必ず他の項目(塗装費など)に上乗せされています。見積もりが不透明になる原因であり、誠実な業者とは言えません。

安すぎる見積もりは、施工品質を犠牲にしているリスクが非常に高いことを認識し、なぜその価格が実現できるのかを具体的に質問することが重要です。

業者選びのチェックポイント

リシン吹付のように、施工品質によって耐久性が大きく左右される工法こそ、信頼できる業者に依頼することが成功の鍵となります。以下のポイントをチェックリストとして活用してください。

1. 見積書の項目が明確か 「外壁塗装工事 一式 〇〇円」といった大雑把な見積書は論外です。

  • 「高圧洗浄」「下地処理」「下塗り」「上塗り」など、工程ごとに項目が分かれているか。
  • 「リシン吹付」だけでなく、「使用する塗料のメーカー名・製品名・グレード(アクリル、シリコンなど)」が明記されているか。
  • 塗装する面積(㎡)と単価が、部位ごと(外壁、軒天、雨樋など)に記載されているか。

明確で詳細な見積書は、施工内容に自信がある証拠です。

2. 施工実績や専門知識が豊富か リシン吹付の施工経験が豊富か、自社のウェブサイトなどで施工事例を確認しましょう。特に、既存がリシン外壁の「塗り替え」実績が多い業者は、リシンの弱点や適切な補修方法を熟知している可能性が高いです。また、こちらの質問(例:弾性リシンとアクリルリシンの違い、透湿性の重要さなど)に対し、専門用語を並べるのではなく、素人にも分かりやすく丁寧に説明してくれるかも重要です。

3. 施工保証やアフターメンテナンス体制があるか 塗装工事には「製品保証(塗料メーカー)」と「施工保証(塗装業者)」があります。どれだけ良い塗料を使っても、施工が悪ければ意味がありません。業者独自の「施工保証」が何年付くのか、また、保証内容(どのような場合に無償で補修してくれるのか)を書面で確認しましょう。 さらに、「施工して終わり」ではなく、1年後、3年後などに定期点検(アフターメンテナンス)に来てくれる体制が整っている業者は、自社の施工に責任を持っている優良業者と言えます。

4. 地元での評判や口コミ 可能であれば、地元で長く営業している業者を選び、その評判や口コミを調べてみるのも良いでしょう。地域密着型の業者は、悪評が立つと営業に直結するため、誠実な仕事をする傾向があります。

これらのポイントを総合的に判断し、価格だけでなく「信頼性」で業者を選ぶことが、リシン吹付工事を成功させる最も確実な方法です。 信頼できる業者に相談するためにも、まずはご自身の希望する工事の相場を知っておくことが大切です。

たった3分で外壁・屋根塗装の相場が分かる!

コラムのまとめ

この記事では、「リシン吹付の単価」を軸に、その費用相場、施工内容、メリット・デメリット、そして他の仕上げ材との比較について詳しく解説してきました。

最後に、重要なポイントを総括します。

  1. リシン吹付の単価:㎡あたりの相場は約800円〜1,800円です。これはアクリルリシンの場合であり、弾性リシンやシリコン系を選べば単価は上がります。この単価は、他の仕上げ工法(吹付タイル、スタッコ、ジョリパット)と比較して、最も安価な部類に入ります。
  2. 総額の目安:30坪(外壁120㎡)の住宅で、足場や下地処理、付帯部塗装など全て含めた総額は、約40万円〜60万円が一つの目安となります。㎡単価だけでなく、総額で判断することが重要です。
  3. メリットとデメリット:最大のメリットは「コストの安さ」と「透湿性の高さ」です。一方、デメリットは「汚れやすくカビやすい」こと、「ひび割れに弱い」こと、そして「耐用年数が7〜10年と短い」ことです。
  4. メンテナンス:耐用年数が短いため、定期的な塗り替えが前提となる仕上げ材です。再塗装時には、高圧洗浄と下地処理を徹底すること、そして既存壁との相性(透湿性)を考慮した塗料選定が不可欠です。
  5. 業者選び:安すぎる見積もりには、手抜き工事のリスクが潜んでいます。「見積もりの明確さ」「施工実績」「保証とアフターサービス」を基準に、信頼できる業者を選ぶことが最も重要です。

結論として、リシン吹付は「コストを最優先しつつ、外壁をきれいに刷新したい」という方にとって、非常に優れた選択肢です。その反面、汚れやすさや耐用年数の短さといった特性も併せ持っています。これらの特性を施工前にしっかりと理解し、ご自宅の立地環境(湿気や汚れやすさ)と照らし合わせることが、後悔のない選択につながります。

コストが安いからこそ、その後のメンテナンス計画もセットで考え、信頼できるパートナー(塗装業者)と共に、正しい施工を行うこと。それが、リシン吹付の魅力を最大限に引き出し、大切なお住まいの美観を長く保つための鍵となります。

外壁のリシン吹付は、適切な時期に適切な方法で塗り替えることで、お住まいの寿命を延ばし、新築時のような美しさを維持することができます。特に、塗膜の劣化が進む前にメンテナンスを行うことが、結果的に補修費用を抑えることにも繋がります。

気温や湿度が安定している今の季節は、塗料の乾燥にも適しており、外壁リフォームには最適なタイミングと言えます。

「うちの外壁はリシン仕上げだけど、塗り替えるといくらになる?」 「他の仕上げに変えた場合の費用も比較してみたい」

もし、具体的な費用感が気になっているのであれば、まずは専門家による見積もりシミュレーションをお試しいただくことをお勧めします。

スターペイントが提供する「無料見積シミュレーション」は、ご自宅の状況に関する簡単な質問にお答えいただくだけで、おおよその費用がすぐに分かります。ご自宅の外壁の材質、広さ、気になる劣化状態などを入力するだけで、専門的な知識がなくても概算費用を把握できます。

もちろん、シミュレーションは無料。無理な営業も一切ありませんので、安心してご利用ください。 お住まいのメンテナンス計画の第一歩として、まずは現状の費用感を掴んでみませんか?

たった3分で外壁・屋根塗装の相場が分かる!