
築20〜30年の戸建て住宅で非常に多く採用されている「コロニアル(スレート)」屋根。新築時は軽量でコストパフォーマンスが良い点が魅力でしたが、築年数が経過し、雨漏りのリスクやメンテナンスの必要性に直面している方も多いのではないでしょうか。屋根は住まい全体を雨風から守る最も重要な部分です。そのメンテナンスの選択肢として、今や定番となっているのが「ガルバリウム鋼板」へのリフォームです。
ガルバリウム鋼板は、従来のトタン屋根などとは一線を画す、軽量・高耐久・高メンテナンス性を誇る現代のスタンダードな屋根材です。コロニアル屋根からのリフォームにおいて、なぜこれほどまでにガルバリウム鋼板が選ばれるのか。本記事では、コロニアル屋根の現状から、ガルバリウム鋼板へ葺き替える際の具体的な工法(葺き替え・カバー工法)、それぞれの費用相場、そしてリフォームを成功させるための業者選びのポイントまで、年間3,000件以上の施工実績に基づいた知見から徹底的に解説します。
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コロニアル屋根とは?特徴と劣化のサイン
まずは、現在ご自宅の屋根に使われているコロニアル屋根の基本性能と、どのような状態になったらリフォームを検討すべきなのか、その具体的な「劣化のサイン」について確認しましょう。
コロニアル(スレート)屋根の特徴と普及の理由
「コロニアル」とは、ケイミュー株式会社(旧クボタと松下電工の住宅外装建材部門が統合)が製造・販売する住宅用スレート屋根の商品名です。非常に普及率が高いため、「コロニアル屋根」または単に「スレート屋根」と呼ばれることが一般的です。
主成分はセメントと繊維質を混ぜ合わせて薄い板状に加工したもので、以下の特徴から1990年代以降の日本の戸建て住宅で爆発的に普及しました。
- 軽量性: 和瓦(粘土瓦)と比較して重量が約1/2~1/3と非常に軽量です。建物全体の重量を軽くできるため、柱や梁への負担が少なく、耐震設計上有利に働きます。
- コストパフォーマンス: 材料費、施工費ともに他の屋根材(特に瓦やガルバリウム鋼板)と比較して安価であるため、新築時の建築コストを抑えたいハウスメーカーやデベロッパーに広く採用されました。
- デザインの多様性: 薄い板状であるため、フラットでシンプルなデザインが現代の住宅外観にマッチしました。また、色のバリエーションも豊富です。
- 施工性: 瓦のように一枚一枚を組み合わせて葺く必要がなく、施工が比較的容易で工期も短縮できる点も普及を後押ししました。
ただし、注意点として、2004年以前に製造されたコロニアル(スレート)屋根の一部には、強度を高めるためにアスベスト(石綿)が含まれている可能性があります。アスベストは飛散すると健康被害を及ぼすため、現在では製造・使用が禁止されています。アスベスト含有の屋根材をリフォーム(特に撤去を伴う葺き替え)する際は、専門の知識と許可を持った業者による適切な飛散防止措置と処分が必要となり、通常の廃材処分費よりも高額になる点に注意が必要です。
放置NG!劣化サインとメンテナンス時期の目安
コロニアル屋根の主成分はセメントであるため、それ自体に防水性はありません。表面の「塗装」によって防水性能を維持しています。しかし、新築から10年近く経過すると、紫外線や雨風の影響でこの塗膜が劣化し始め、様々な問題を引き起こします。
以下に示すのは、屋根が発している「メンテナンス(塗装または葺き替え)が必要」という危険なサインです。
- 色あせ・変色: 最も初期の劣化サインです。紫外線により塗膜が劣化し、本来の色艶が失われます。美観の問題だけでなく、塗膜の防水性が低下し始めている証拠です。
- コケ・藻・カビの発生: 塗膜の防水性が切れ、コロニアル自体が水分を含むようになると、コケや藻が発生しやすくなります。これらは根を張り、屋根材の劣化をさらに加速させます。
- ひび割れ(クラック): 水分を含んだ屋根材が、冬場の凍結(水分が凍って膨張)と融解を繰り返すことで、屋根材自体にひびが入ることがあります。これは「凍害(とうがい)」と呼ばれます。
- 屋根材の反り・浮き: 屋根材が水分を吸ったり乾いたりを繰り返すことで、木材のように反りや浮きが発生することがあります。隙間ができると、強風時にそこから雨水が吹き込んだり、屋根材が飛ばされたりする原因となります。
- 棟板金(むねばんきん)の釘浮き・錆び: 屋根の頂点(棟)を覆っている金属の板が「棟板金」です。この板金を固定している釘が、日中の熱膨張や振動で徐々に浮いてくることがあります。釘が抜けると板金が浮き上がり、台風などの強風で飛散する危険性が非常に高くなります。
これらのサインを放置すると、最終的には屋根材の下にある「防水シート(ルーフィング)」を突破し、「雨漏り」に至ります。雨漏りが発生すると、屋根の下地である野地板(のじいた)や垂木(たるき)といった構造材が腐食し、リフォーム費用が跳ね上がるだけでなく、住宅の寿命そのものを縮めてしまいます。
ご自宅の屋根、大丈夫ですか? ご自宅の屋根にこのような劣化サインが見られたら、雨漏りに発展する前に専門家による点検が必要です。「費用がどれくらいかかるか不安…」という方は、まずは匿名・無料で試せる当社の「無料見積シミュレーション」で概算費用を確認してみませんか?
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なぜ今、ガルバリウム鋼板への葺き替えが選ばれるのか
多くの住宅で、コロニアル屋根の次の屋根材として選ばれている「ガルバリウム鋼板」。メンテナンスの手間や将来の不安を解消する、その優れた性能と人気の理由を掘り下げます。
ガルバリウム鋼板の基本性能と耐久性
ガルバリウム鋼板とは、アルミニウム(55%)、亜鉛(43.4%)、シリコン(1.6%)の合金でめっきされた鉄(鋼板)のことです。この特殊な合金めっき層が、鉄の最大の弱点である「錆び」を強力に防ぎます。
- 亜鉛の「犠牲防食作用」: 鉄よりも先に亜鉛が溶け出して鉄を錆びから守ります。万が一、屋根材に傷がついて鉄が露出しても、周囲の亜鉛がイオン化して鉄を保護します。
- アルミニウムの「不動態皮膜」: アルミニウムが酸素と結合して非常に強固で安定した「不動態皮膜」を形成します。この皮膜が屋根材の表面を覆い、雨水や酸素の侵入を防ぎ、錆びの進行を長期間抑制します。
この2つの金属の「良いとこ取り」により、従来の亜鉛めっき鋼板(トタン)と比較して3~6倍の防錆性を実現しています。 さらに近年では、このガルバリウム鋼板のめっき層にマグネシウムを2%加えた「SGL(エスジーエル)」(※次世代ガルバリウム、スーパーガルバリウムとも呼ばれる)という製品も登場しています。SGLは、特に錆びやすい切断面や傷部分の防食性を飛躍的に高めており、メーカーによる「穴あき25年保証」が付帯するなど、さらなる高耐久化が進んでいます。 軽量で錆びにくく、長期間にわたって美観と性能を維持できる点が、ガルバリウム鋼板が選ばれる最大の理由です。
コロニアルとガルバリウムの違いを比較(重量・寿命・コスト表あり)
コロニアル屋根からガルバリウム鋼板へリフォームするメリットを、具体的な数値で比較してみましょう。
| 比較項目 | コロニアル(スレート) | ガルバリウム鋼板 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 重量(1㎡あたり) | 約20kg | 約5kg | ガルバリウムは和瓦の約1/10 |
| 耐用年数(目安) | 約20〜25年 | 約30〜40年 | SGL製品ではさらに長期 |
| メンテナンス | 7〜10年で点検10〜15年で塗装が必要 | 10〜15年で点検塗膜の劣化があれば塗装(15~25年目安) | 塗装周期が長く、メンテコストが低い |
| 耐震性 | 普通(軽量なため) | 非常に高い | 圧倒的な軽さで揺れを軽減 |
| 初期費用 | 安価 | やや高価 | 塗装リフォームよりは高い |
| トータルコスト | メンテナンス(塗装)費用が複数回発生するため割高 | メンテナンス回数が少なく割安になる傾向 |
この表で最も注目すべきは「重量」と「耐用年数」です。 重量はコロニアルの約1/4。屋根が軽くなることは、この後のセクションで解説する「耐震性」に直結します。 耐用年数については、コロニアルが10~15年ごとに塗装メンテナンス(1回あたり数十万~100万円程度)を必要とするのに対し、ガルバリウム鋼板(特に近年の遮熱塗料が施された製品)は、塗膜自体の耐久性が高いため、塗装メンテナンスの周期が15年~25年と非常に長くなります。 つまり、リフォーム時の初期費用はガルバリウム鋼板の方が高くつきますが、その後の30年間でかかる「トータルコスト(生涯コスト)」で比較すると、メンテナンス費用が抑えられるガルバリウム鋼板の方が経済的になる可能性が非常に高いのです。
ガルバリウムに変えた場合の費用は? これだけの違いがあると、実際に自分の家(〇〇坪)の場合はいくらかかるのか気になりますよね。当社の「無料見積シミュレーション」なら、簡単な入力だけで、お客様のご自宅に最適なプランの費用目安がすぐに分かります。
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軽量化で耐震性アップ!ガルバリウムが地震に強い理由
日本は地震大国です。住宅の耐震性を考える上で、「屋根の重さ」は非常に重要な要素です。 地震が発生すると、建物は水平方向(横方向)に強く揺さぶられます。この時、建物の重心が高い位置にあるほど、振り子のように大きく揺れてしまいます。最も高い位置にある「屋根」が重ければ重いほど、地震のエネルギーを強く受けてしまい、柱や壁にかかる負担が爆発的に増加します。
例えば、和瓦(1㎡あたり約50kg)からガルバリウム鋼板(同約5kg)に葺き替えた場合、屋根の重さは約1/10になります。 コロニアル(同約20kg)からガルバリウム鋼板(同約5kg)への葺き替えでも、屋根の重さは約1/4になります。
延床面積30坪(屋根面積約60㎡と仮定)の住宅で計算してみましょう。
- コロニアル屋根の総重量: 20kg/㎡ × 60㎡ = 1,200kg(軽自動車1台分以上)
- ガルバリウム屋根の総重量: 5kg/㎡ × 60㎡ = 300kg
葺き替えによって、屋根の重さが約900kgも軽減されます。これは、建物の最上階に載せていた重い荷物を降ろすのと同じ効果があります。 屋根が軽くなることで建物の重心が下がり、地震の揺れに対する建物の「揺れ幅」が小さくなります。揺れ幅が小さければ、柱や壁、接合部へのダメージが減り、建物の倒壊リスクを大幅に低減できるのです。 特に、現在の耐震基準(新耐震基準)が定められる1981年(昭和56年)以前に建てられた住宅(旧耐震基準)や、1990年代の住宅であっても、コロニアル屋根の劣化と合わせて耐震性に不安を感じている場合、ガルバリウム鋼板へのリフォームは「屋根の防水」と「耐震性向上」を一挙に実現できる、極めて有効な選択肢となります。
コロニアルからガルバリウムへのリフォーム方法
コロニアル屋根をガルバリウム鋼板へリフォームするには、大きく分けて「葺き替え(ふきかえ)工法」と「カバー工法(重ね葺き)」の2種類があります。どちらを選ぶかで費用や工期、メリット・デメリットが大きく異なります。
葺き替え工法とは?古い屋根を撤去して新しい屋根を施工
「葺き替え工法」は、既存のコロニアル屋根材を「すべて撤去」し、その下にある下地(野地板)の状態を確認・補修した上で、新しい防水シート(ルーフィング)とガルバリウム鋼板を施工する工法です。
メリット:
- 下地の点検・補修が可能: 最大のメリットです。屋根材を剥がすため、普段は見えない下地(野地板)の腐食や、防水シートの劣化具合を直接確認できます。もし雨漏りによって下地が傷んでいても、このタイミングで張り替えや補強ができるため、雨漏りの根本的な解決が可能です。
- 屋根の総重量が最も軽くなる: 古い屋根材がなくなるため、建物にかかる重量は新しいガルバリウム鋼板の分だけとなり、耐震性が最大限に向上します。
- 長期的な安心感: 下地から防水シート、屋根材まですべて一新するため、次のメンテナンスまでの期間(30年以上)を安心して過ごすことができます。
デメリット:
- 費用が高額になる: 既存屋根材の撤去費用と、廃材の処分費用(特にアスベスト含有の場合は高額)が別途発生するため、カバー工法よりもコストがかかります。
- 工期が長くなる: 撤去作業が加わるため、工期はカバー工法よりも数日長くなります(天候にもよりますが7~10日程度)。
- 工事中の天候リスク: 屋根を一時的に剥がすため、その間に雨が降らないよう、天気予報を注視し、適切な養生(ブルーシートなど)を徹底する必要があります。
カバー工法とは?既存屋根の上に新しい屋根を重ねる方法
「カバー工法」(または「重ね葺き」)は、既存のコロニアル屋根材を「撤去せず」、その上から直接、新しい防水シート(ルーフィング)とガルバリウム鋼板を被せて施工する工法です。
メリット:
- 費用が安い: 既存屋根の撤去費用や廃材処分費用が発生しないため、葺き替え工法と比較して大幅にコストを抑えられます。
- 工期が短い: 撤去作業がない分、工期が短縮できます(4~7日程度)。
- 断熱性・防音性の向上: 既存の屋根材と新しい屋根材が二重になるため、単純に断熱性能や遮音性能が向上するという副次的なメリットがあります。
- アスベスト飛散のリスクがない: もし既存のコロニアルにアスベストが含まれていても、撤去・破砕せずにそのまま覆ってしまうため、アスベストが飛散するリスクがありません。(ただし、将来的に家を解体する際には処分費用がかかります)
デメリット:
- 下地の状態が確認できない: 最大のデメリットです。もし既存の屋根材の下で雨漏りが発生し、野地板が腐食していたとしても、それを確認・補修することができません。腐食した下地の上に新しい屋根を被せても、根本的な解決にはならず、数年後に重大な問題に発展する可能性があります。
- 屋根の総重量が増える: 既存の屋根材(約20kg/㎡)の上にガルバリウム鋼板(約5kg/㎡)が加わるため、屋根の総重量は増加します(約25kg/㎡)。(ただし、和瓦などからのカバー工法に比べれば増加幅は小さく、耐震性に重大な影響を与えない範囲とされることが多いです)
- 施工できる屋根材が限られる: カバー工法で施工できるのは、ガルバリウム鋼板のような軽量な金属屋根材に限られます。重い瓦屋根などへのカバー工法はできません。
どちらを選ぶべき?判断基準と施工事例の比較
「葺き替え」と「カバー工法」、どちらを選ぶべきかの最大の判断基準は、「既存の屋根下地が健全であるか否か」です。
「葺き替え工法」を強く推奨するケース
- 過去に雨漏りをしたことがある、または現在雨漏りしている
- 屋根裏(天井裏)から確認して、野地板に雨染みやカビ、腐食が見られる
- 築年数が25年以上経過しており、下地の劣化が強く疑われる
- アスベスト含有屋根材で、将来の解体費用なども考慮し、この機に撤去・処分しておきたい
すでに下地が傷んでいる可能性が高い場合、カバー工法で蓋をしても問題の先送りにしかならず、最悪の場合、数年後に再度カバー工法部分も剥がして葺き替え直すという、二重のコストが発生するリスクがあります。
「カバー工法」が適しているケース
- 築年数が15~20年程度で、まだ屋根塗装でのメンテナンスも可能な時期である
- 過去に雨漏り履歴がなく、屋根裏からの点検でも下地の健全性が確認できる
- とにかく費用を抑えて、今後20~30年の防水性を確保したい
- アスベスト含有屋根材だが、飛散リスクを避けて低コストにリフォームしたい
下地が健全であることが大前提となります。カバー工法を選ぶ際は、必ず経験豊富な業者に依頼し、屋根裏からの点検(小屋裏点検)をしっかり行ってもらい、下地の状態を診断してもらうことが不可欠です。専門家が「この状態ならカバー工法で問題ない」と判断した場合にのみ、有効な選択肢となります。
ガルバリウム葺き替えの費用相場と内訳
リフォームにおいて最も気になるのが費用です。ここでは、工法別の費用相場と、その内訳、費用を左右する要因について解説します。
葺き替え工法とカバー工法の費用比較
一般的な30坪(屋根面積60~70㎡)の戸建て住宅を想定した費用相場と工期の目安です。
| 工法 | 費用相場(30坪目安) | 工期 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 葺き替え工法 | 約120万〜180万円 | 7〜10日 | 下地も交換・補修でき、根本的解決で長寿命化。 |
| カバー工法 | 約90万〜130万円 | 4〜7日 | 廃材処分費が少なく、工期も短く低コスト。 |
上記の費用には、足場代、高圧洗浄(カバー工法の場合)、防水シート(ルーフィング)、ガルバリウム鋼板本体、棟板金などの役物工事、諸経費などが含まれます。 葺き替え工法がカバー工法よりも30万~50万円程度高くなるのは、主に「既存屋根の撤去費用」と「廃材処分費用」が上乗せされるためです。 また、葺き替え工法の場合は、撤去後に下地(野地板)の腐食や損傷が見つかれば、その「下地補修・張替え費用」(数万~数十万円)が追加で発生する可能性があるため、見積もり段階では幅を持たせておく必要があります。
我が家の正確な費用は? 葺き替えとカバー工法、どちらがご自宅に適しているか、また正確な費用は、屋根の形状や現状によって大きく変わります。より詳しい内訳や、どちらの工法が良いか知りたい方は、年間3,000件の施工実績を持つ当社の「無料見積シミュレーション」をご利用ください。
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費用を左右するポイント(屋根面積・勾配・足場費用・下地の状態)
見積もり金額は、家ごとに条件が異なるため変動します。以下のポイントが費用に大きく影響します。
- 屋根面積と形状: 当然ながら、屋根の面積が広ければ広いほど材料費と施工費は上がります。また、形状が複雑(寄棟屋根、入母屋屋根など)な場合は、切断加工や棟・谷(たに)部分の板金処理(役物工事)が増えるため、シンプルな切妻屋根(三角屋根)よりも費用が高くなります。
- 屋根の勾配(こうばい): 屋根の傾斜角度のことです。勾配が急(「急勾配」と呼ばれる6寸勾配以上)な屋根は、職人が作業するための「屋根足場」が別途必要になるため、その分の費用が加算されます。また、作業効率も落ちるため、施工費が割増しになる場合があります。
- 足場費用: 屋根工事には、安全確保と作業品質向上のために「足場」が必須です。足場代は総費用の約20%(20万~30万円程度)を占めます。この足場は、外壁塗装を行う際にも必ず必要になります。もし、近い将来に外壁塗装も検討している場合は、屋根リフォームと同時に行うことで、足場代を1回分節約できるため、トータルコストを大幅に削減できます。
- 下地の状態(葺き替えの場合): 葺き替え工法を選んだ場合、既存の屋根材を剥がした後の下地の状態が見積もりを左右する最大の変動要因です。防水シートの劣化が軽微で、野地板がしっかりしていれば補修費はかかりませんが、広範囲に腐食やカビが発生している場合は、野地板の張替え費用(コンパネ代+施工費)が追加となります。
助成金・補助金制度の有無も確認しておこう
屋根のリフォームは、国や地方自治体(都道府県・市区町村)が実施する助成金・補助金制度の対象となる場合があります。
- 耐震化リフォーム: 屋根を軽量化(例:瓦→ガルバリウム)することは耐震性向上に寄与するため、自治体によっては「耐震改修補助」の対象となる場合があります。(※コロニアル→ガルバリウムは「軽量→軽量」とみなされ、対象外となるケースもありますが、自治体にご確認ください)
- 省エネ(断熱・遮熱)リフォーム: 遮熱塗料が塗布されたガルバリウム鋼板や、断熱材一体型のガルバリウム鋼板を使用する場合、「省エネ改修補助」や国の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」などの対象となる可能性があります。
- アスベスト除去: アスベスト含有屋根材を撤去・処分する場合、その費用の一部を補助する制度を設けている自治体もあります。
これらの制度は、予算の上限が決まっていたり、申請期間が限られていたり、そして何より「工事の契約前に申請が必要」という共通点があります。 リフォームを検討し始めたら、まずは「お住まいの自治体名+屋根リフォーム+補助金」などのキーワードで検索してみるか、リフォーム業者に補助金活用の実績があるか相談してみましょう。利用できる制度を逃さないことも、賢くリフォームする重要なポイントです。
ガルバリウム葺き替えのメリット・デメリット
どんなリフォームにも利点と注意点があります。ガルバリウム鋼板の特性をしっかり把握し、長期的に満足できる判断をしましょう。
ガルバリウム葺き替えの主なメリット(軽量・長寿命・デザイン性)
これまでに解説した内容と重なりますが、ガルバリウム鋼板へリフォームするメリットを改めて整理します。
- 圧倒的な軽量性による耐震性の向上: コロニアル屋根の約1/4の重さ。建物の重心が下がり、地震時の揺れを大幅に軽減します。住宅の安全性を高める上で、これ以上ないメリットです。
- 長期的な耐久性とメンテナンスコストの削減: 錆びに非常に強く、耐用年数は30年~40年とされています。コロニアル屋根のように10~15年ごとに必ず塗装が必要、というわけではなく、メンテナンスサイクルが飛躍的に長くなります(※メンテナンスフリーではありません)。長期的なトータルコストを大幅に削減できます。
- 高いデザイン性: 金属ならではのシャープでモダンな質感が、現代の住宅デザインに非常にマッチします。色はブラック、シルバー、ブラウン、グリーンなど多彩な選択肢があります。また、表面に凹凸(リブ)をつけたスタイリッシュなデザイン(立平葺き)だけでなく、天然石チップを吹き付けた「石粒付き鋼板(ジンカリウム鋼板)」や、瓦の形状を模した「瓦調デザイン」など、洋風・和風問わず合わせられる製品も増えています。
注意したいデメリット(断熱・防音・費用面)
ガルバリウム鋼板を選ぶ上で、必ず知っておくべきデメリットもあります。ただし、これらは近年の製品や施工法である程度カバーすることが可能です。
- 断熱性の低さ(熱伝導率の高さ): ガルバリウム鋼板は金属です。金属は熱を伝えやすいため、夏の太陽光が当たると屋根材の表面温度が非常に高くなり、その熱が小屋裏(屋根裏)に伝わりやすくなります。その結果、2階の部屋が暑くなる可能性があります。
- 防音性の低さ(雨音の問題): これも金属特有の性質ですが、薄い板状であるため、雨粒が屋根に当たる音(特に大粒の雨)が響きやすくなります。コロニアル屋根はセメントの塊である程度重さがあるため、比較的雨音は静かですが、ガルバリウム鋼板に変えることで「雨音が気になるようになった」というケースがあります。
- 初期費用の高さ: コロニアル屋根の「塗装」リフォーム(50万~100万円程度)と比較すると、葺き替えやカバー工法(100万円以上)は、初期費用がどうしても高くなります。「まだ塗装で10年持たせられる」状態の屋根にとっては、費用面がデメリットとなります。
デメリットが心配…専門家の意見は? ガルバリウムのデメリットは、適切な材料選びと施工技術でカバーできます。「断熱材一体型って何?」「雨音対策はどうすれば?」など、どのような対策が必要か、専門家の意見を聞いてみませんか?当社の「無料見積シミュレーション」では、お客様の状況に合わせたアドバイスも可能です。
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デメリットをカバーする最新ガルバリウム屋根の工夫(遮熱鋼板・断熱材併用など)
前述した「断熱性」と「防音性」のデメリットは、近年の製品開発と施工技術によって大幅に改善されています。
- 断熱性(暑さ)対策:
- 遮熱塗料(遮熱鋼板)の採用: 現在主流のガルバリウム鋼板製品の多くは、太陽光の赤外線を反射する「遮熱塗料」があらかじめ塗装されています。これにより、屋根表面の温度上昇を従来品より10~20℃程度抑えることができます。
- 断熱材一体型製品の採用: 屋根材の裏側に、ポリウレタンフォームなどの断熱材が一体となっている製品(例:アイジー工業「スーパーガルテクト」、ニチハ「横暖ルーフ」など)が非常に人気です。屋根材自体が断熱性能を持つため、熱の侵入を大幅にカットできます。
- 下地への断熱材敷設(葺き替えの場合): 葺き替え工法で下地(野地板)も新しくする場合、野地板の上にさらに断熱ボードを敷設してから防水シート、屋根材を施工する方法もあります。
- 防音性(雨音)対策:
- 断熱材一体型製品の採用: 上記の「断熱材一体型製品」は、裏側の断熱材(ウレタンフォーム)が振動を吸収・減衰させるため、雨音を大幅に軽減する効果も併せ持っています。
- カバー工法による施工: カバー工法の場合、既存のコロニアル屋根材が下にあるため、それがクッション(緩衝材)となり、雨音が響くのを防ぐ効果が期待できます。
- 遮音シートの敷設(葺き替えの場合): 葺き替え工法の場合、防水シートの下に「遮音シート」を敷設することで、振動を伝わりにくくする方法もあります。
このように、特に「断熱材一体型」のガルバリウム鋼板を選ぶことは、断熱と防音の両方のデメリットを一度に解決できる、非常に有効な選択肢となります。
施工の流れと工期の目安
屋根リフォームは数日~10日程度かかります。どのような流れで工事が進むのかを知っておくことで、施工中の不安を軽減できます。
現地調査から施工完了までの流れ(チェックリスト付き)
一般的な葺き替え(またはカバー工法)の施工フローです。
【STEP1:契約前】
- 問い合わせ・現地調査依頼: Webサイトや電話で業者に連絡し、屋根の状態を見てほしい旨を伝えます。
- 現地調査(診断): 業者の担当者(診断士)が訪問。ドローンや高所カメラ、または許可を得て屋根に登り、屋根材の劣化状況、棟板金の浮き、雨樋の状態などを確認します。同時に、可能であれば小屋裏(屋根裏)に入り、下地の雨染みや腐食がないかをチェックします。ここで採寸も行います。
- 見積もり提示・プラン説明: 現地調査の結果に基づき、「葺き替え」と「カバー工法」のどちらが適しているか、使用する屋根材(断熱材の有無など)の提案と共に、詳細な見積書が提示されます。
- 契約: 見積もり内容、保証内容、工期などを十分に確認し、納得した上で工事請負契約を結びます。
【STEP2:工事開始】 5. 近隣挨拶: 工事開始の1週間~数日前に、業者が施主様と一緒に(または業者のみで)、近隣の住宅へ工事の案内(騒音、車両の出入りなど)を行います。 6. 足場設置・養生: 工事初日。足場専門の業者が足場を組み立て、塗料や埃が飛散しないようメッシュシートで家全体を覆います。 7. (葺き替えの場合)既存コロニアル撤去: 既存の屋根材を一枚ずつ剥がしていきます。アスベスト含有の場合は、飛散防止措置をとりながら慎重に撤去し、専用の袋に密閉して搬出します。 8. (カバー工法の場合)高圧洗浄・棟板金撤去: カバー工法の場合は、まず屋根全体のコケや汚れを高圧洗浄で洗い流します。その後、既存の棟板金など、重ね葺きの邪魔になる部分だけを撤去します。
【STEP3:本体施工】 9. 下地調整・補修(葺き替えの場合): 屋根材を撤去した後、下地(野地板)の状態を確認。腐食や傷みがある部分は、新しいコンパネ(構造用合板)を上張り、または部分的に張り替えます。 10. 防水シート(ルーフィング)敷設: 屋根の防水において最も重要な工程です。軒先(下側)から棟(上側)に向かって、防水シートを隙間なく張っていきます。このシートの品質(改質アスファルトルーフィングなど高耐久なものが推奨されます)と施工の丁寧さが、住宅の寿命を左右します。 11. ガルバリウム鋼板 本体施工: 防水シートの上に、ガルバリウム鋼板本体を施工していきます。雪止め金具などもこの時に取り付けます。 12. 役物(やくもの)施工: 屋根の頂点である「棟板金」、屋根の端である「ケラバ板金」、谷部分の「谷板金」など、雨水の侵入を防ぐための主要な板金部材を取り付け、コーキング処理(隙間を埋める)を行います。
【STEP4:完了】 13. 点検・清掃: 施工箇所全体をチェックし、釘の打ち忘れやコーキングの不備がないかなどを確認します。足場解体前に、雨樋の清掃なども行うことが多いです。 14. 足場解体: 足場を解体・撤去します。 15. 最終確認・引き渡し: 施主様立ち会いのもと、工事の完了確認を行います。工事写真(施工前・施工中・施工後)をまとめた報告書や、保証書を受け取り、引き渡しとなります。
天候・季節による工期の違い
屋根工事は屋外の高所作業であるため、天候に大きく左右されます。 「雨」「雪」「強風」(風速10m/s以上が目安)の日は、作業員の安全確保と施工品質(特に防水シート施工時)の観点から、作業は原則中止となります。
- 梅雨(6~7月)、秋雨・台風シーズン(9~10月): 雨が続くため、予定通りに作業が進まず、工期が延びやすい季節です。特に葺き替え工法の場合、屋根を剥がした状態での雨は厳禁なため、天気予報を見ながら慎重に工程を組みます。
- 夏(7~8月): 晴れの日が多く、乾燥も早いため作業は進みやすいですが、夕立(ゲリラ豪雨)に注意が必要です。また、屋根の上は非常に高温(60℃以上)になるため、職人の体調管理や熱中症対策が重要になります。
- 春(3~5月)、秋(11月): 気候が安定しており、雨も少なく、気温も適度なため、最も屋根リフォームに適した季節と言えます。
- 冬(12~2月): 空気は乾燥しており雨も少ないため作業はしやすいですが、日照時間が短いため1日の作業時間が限られます。また、地域によっては降雪や霜の影響で作業ができない日もあります。
工期が延びた場合でも、施工品質を担保するため(濡れた下地に施工しない、など)の順延であれば、追加費用を請求されることはありません。焦らず、天候の回復を待つことが重要です。
工事中の注意点とトラブル防止策
工事期間中は、普段の生活と異なる点がいくつか発生します。
- 騒音と振動: 特に葺き替え工法での「撤去作業」時、カバー工法での「棟板金撤去」時、そして新しいガルバリウム鋼板を「固定する(ビス打ち、板金加工)」時には、大きな音や振動が発生します。日中の作業(通常8:30~17:00頃)とはいえ、在宅ワークをされる方や小さなお子様がいるご家庭は、事前に時間帯を確認しておくと良いでしょう。
- 職人・車両の出入り: 工事期間中は、職人や業者の車両が自宅敷地内や前面道路に出入りします。駐車スペースの確保や、小さなお子様・ペットが誤って工事エリアに入らないよう注意が必要です。
- 塗料や埃の飛散: 足場の設置場所によっては、エアコンの室外機が養生シートで覆われ、一時的に使用できなくなる場合があります。特に夏場・冬場の工事では、事前に業者が室外機を使えるよう養生してくれるか確認しておきましょう。
- エアコンの使用: 足場の設置場所によっては、エアコンの室外機が養生シートで覆われ、一時的に使用できなくなる場合があります。特に夏場・冬場の工事では、事前に業者が室外機を使えるよう養生してくれるか確認しておきましょう。
これらのトラブルを未然に防ぐためにも、契約前の「近隣挨拶」を丁寧に行ってくれる業者かどうか、工事中の「現場管理」(清掃・整理整頓)がしっかりしている業者かどうかを見極めることが重要です。
業者選びのポイントと失敗しない見積もり比較
屋根リフォームの成功は、使用する材料もさることながら、「どの業者が施工するか」で決まると言っても過言ではありません。高額な費用をかけても、施工不良があれば数年で雨漏りしてしまいます。
信頼できる業者の特徴とチェック項目
屋根工事は専門性が高く、外から見えにくい部分の作業が多いため、信頼できる業者を見極めることが非常に重要です。
- 建設業許可または板金工事業の許可: 軽微な工事(500万円未満)以外は、「建設業許可」が必要です。特に屋根工事の場合、「板金工事業」や「屋根工事業」の許可を持っているかは、専門業者としての一つの目安になります。
- ガルバリウム鋼板の施工実績が豊富か: 塗装専門の業者よりも、ガルバリウム鋼板(金属屋根)の「葺き替え」や「カバー工法」の施工実績が豊富にある業者を選びましょう。実績は、その業者のホームページの施工事例などで確認できます。
- メーカーの施工ID(認定施工店): 屋根材メーカー(アイジー工業、ニチハ、ケイミューなど)は、自社製品の正しい施工知識と技術を習得した業者を「認定施工店」や「責任施工ID」として登録している場合があります。メーカーのお墨付きがある業者は信頼性が高いです。
- 自社施工・自社管理か: 契約だけを取り、実際の工事は下請け業者に丸投げ、という会社も存在します。下請け構造が深くなると、中間マージンが発生して費用が割高になるだけでなく、施工品質の管理や責任の所在が曖昧になりがちです。「自社の職人」または「専属の協力業者」が責任を持って施工管理する体制かを確認しましょう。
- 現地調査(診断)の丁寧さ: 見積もり前の現地調査が丁寧かどうかも重要なポイントです。「屋根に登らず下から見ただけ」「屋根裏を確認しない」といった業者は要注意です。ドローンや高所カメラを使ったり、許可を得て屋根裏までしっかり確認し、写真や動画を撮って「なぜこの工法が必要か」を具体的に説明してくれる業者は信頼できます。
- 保証体制の明確さ: 工事後に「メーカー保証」と「自社施工保証」の両方を発行してくれるかを確認しましょう。(詳細は後述)
業者選びの前に、まずは相場を知ろう 信頼できる業者を選ぶ第一歩は、まず「適正な相場」を知ることです。悪徳業者に騙されたり、不要な工事を勧められたりしないためにも、まずは当社の「無料見積シミュレーション」で、ご自宅の屋根リフォーム費用の基準を把握しておきましょう。
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複数見積もりで確認すべき項目一覧(費用・工期・材料・保証)
屋根リフォームの際は、必ず2~3社から相見積もり(あいみつもり)を取り、内容を比較検討することが鉄則です。ただし、単純な「総額」だけで比較してはいけません。
【見積もり比較チェックリスト】
- ① 施工面積: 「屋根面積 〇〇㎡」という記載が、各社で大きく異なっていないか。計測方法によって多少の誤差は出ますが、極端に差がある場合は、採寸が不正確な可能性があります。
- ② 工法: 「葺き替え工法」なのか「カバー工法」なのか。なぜその工法を推奨するのか、理由が明確か。
- ③ 使用する屋根材: 「ガルバリウム鋼板」という記載だけでなく、「メーカー名(例:アイジー工業)」「商品名(例:スーパーガルテクト)」「色」「遮熱・断熱の有無」まで詳細に明記されているか。
- ④ 防水シート(ルーフィング): 屋根の寿命を左右する重要な部材です。「アスファルトルーフィング」とだけ書かれているか、「改質アスファルトルーフィング(ゴムアス)」など、耐久性の高いものが使われているか。
- ⑤ 下地補修: (葺き替えの場合)「下地補修費 一式」となっていないか。「野地板張替え 〇〇㎡」「コンパネ代 〇〇枚」など、単価と数量が明記されているか。もし見積もり段階で不明な場合は、「下地補修が発生した場合は、1㎡あたり別途〇〇円」といった取り決めが明記されているか。
- ⑥ 役物(やくもの)工事: 「棟板金」「ケラバ板金」「雪止め」などが、本体工事とは別項目でしっかり計上されているか。
- ⑦ 廃材処分費: (葺き替えの場合)「既存屋根撤去費」「産業廃棄物処分費」が計上されているか。アスベスト含有の可能性がある場合、その調査費用や「アスベスト処分費」が見積もりに含まれているか。
- ⑧ 足場代: 足場代が適正な価格(総額の15~20%程度が目安)か。極端に安い(または「足場代無料」)場合は、他の項目に上乗せされている可能性があり、逆に高い場合は不要なマージンが乗っている可能性があります。
- ⑨ 「一式」表記の多さ: 「〇〇工事 一式」という表記が多すぎる見積もりは、何にいくらかかっているのか不明瞭です。詳細な内訳(単価×数量)を提示してくれる業者を選びましょう。
総額が一番安い業者がベストとは限りません。必要な材料(特に防水シート)のグレードを落としていたり、必要な工程(下地補修)を省いていたりする可能性があるため、上記の項目を詳細に比較することが重要です。
契約前に確認したい注意点と保証制度
工事内容と見積もりに納得したら、最後に契約書を交わします。その前に、保証制度について必ず確認しましょう。屋根工事の保証には、大きく分けて2種類あります。
- メーカー保証(製品保証): 屋根材メーカーが、その「製品自体」の品質を保証するものです。
- 例1:塗膜の変色・褪色保証(10年~20年): ガルバリウム鋼板の表面の塗膜が、極端に色あせたり剥がれたりした場合の保証。
- 例2:穴あき保証(20年~25年): 屋根材自体が腐食して穴が開いた場合の保証。(※沿岸部などの塩害地域は保証年数が短くなるか、対象外となる場合があります) これらはあくまで製品の不具合に対する保証であり、施工業者のミス(施工不良)による雨漏りは対象外です。
- 自社施工保証(工事保証): リフォーム業者が、自ら行った「工事」に対して責任を持つ保証です。
- 例:雨漏り保証(5年~10年): 施工業者の工事が原因で雨漏りが発生した場合、無償で補修するという保証です。 屋根リフォームにおいて最も重要な保証です。保証年数が何年か(一般的に5年~10年)、どのような場合に適用されるのか(台風などの天災は免責か、など)、書面(保証書)で明確にしてもらう必要があります。
契約書にサインするということは、これらの条件すべてに同意したことになります。「言った」「言わない」のトラブルを避けるためにも、疑問点はすべて解消し、保証内容を書面で確認してから契約に臨みましょう。
コラムのまとめ
今回は、築20年を過ぎたコロニアル(スレート)屋根のリフォームとして、「ガルバリウム鋼板」への葺き替え(またはカバー工法)が最適である理由について、費用、工法、メリット・デメリットの観点から徹底的に解説しました。
コロニアル屋根は、新築時のコストパフォーマンスには優れますが、10年~15年ごとの塗装メンテナンスが欠かせません。築20年~30年を迎え、色あせやひび割れ、コケの発生といった劣化サインが出ている場合、次のメンテナンスとして「塗装」を選ぶか、それとも「屋根材自体を一新」するか、大きな分岐点に立たされています。
もし、この先も30年以上、その家に安心して住み続けたいと考えるならば、「ガルバリウム鋼板」へのリフォームは非常に有力な選択肢です。 コロニアルの約1/4という圧倒的な軽さは、地震大国日本において「耐震性の向上」という大きな安心をもたらします。また、30年~40年という高い耐久性と、錆びにくい性質により、その後のメンテナンス(塗装)サイクルが大幅に長くなり、長期的な「トータルコスト」を抑えることができます。
リフォーム方法には、下地から一新する「葺き替え工法」と、コストを抑えて施工できる「カバー工法」の2種類があります。どちらが適しているかは、現在の屋根の雨漏り履歴や下地の劣化状況によって変わるため、専門家による正確な診断が不可欠です。
ガルバリウム鋼板の「断熱性(暑さ)」や「防音性(雨音)」といったデメリットも、遮熱塗料や断熱材一体型の製品を選ぶことで、現在ではその多くが解消されています。 高額なリフォームだからこそ失敗しないためには、信頼できる施工実績豊富な業者を選び、複数の見積もりを「総額」ではなく「詳細な内訳」で比較すること、そして「メーカー保証」と「自社施工保証」の内容を契約前にしっかり確認することが鍵となります。
メンテナンスの負担を減らし、日々の安心と長期的なコストパフォーマンスを両立させたい方にとって、コロニアル屋根からガルバリウム鋼板へのリフォームは、最も合理的で効果的な投資と言えるでしょう。
7月は梅雨が明け、本格的な夏の日差しが屋根に降り注ぐ季節です。屋根工事には天候の安定が欠かせず、梅雨明けのこの時期はリフォームに適した好タイミングと言えます。
夏の暑さや台風シーズンで劣化が進む前に、ご自宅の屋根の点検・メンテナンスを検討してみませんか?
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