
外壁のサイディングボードの継ぎ目や窓枠(サッシ)の周りにある、ゴム状のパッキン材。「コーキング」あるいは「シーリング」と呼ばれるこの部材は、家を雨水から守るための「防水の要」とも言える非常に重要なパーツです。
新築から10年も経つと、紫外線や雨風の影響で硬化し、ひび割れや剥がれ(破断)が目立つようになります。「隙間から雨が入って雨漏りしたら大変だ」「見た目も悪いし、早く直したい」と考えるのは、家を大切にする施主様として当然の心理でしょう。
しかし、いざ業者に見積もりを依頼してみると、補修費用そのもの(材工費)よりも、項目の上の方にある「足場仮設費」の金額に驚愕されるケースが後を絶ちません。
「ほんの数カ所のひび割れを直すだけなのに、なぜ15万も20万もする足場が必要なのか?」
「ハシゴを使えば届くのではないか?」
「足場なしで安く済ませる方法はないのか?」
そうした疑問や不満を持つのは、決してあなただけではありません。実際、私たちスターペイントにも同様のご相談は数多く寄せられます。
本記事では、外壁コーキングを「足場なし」で行うことの是非について、忖度なしで徹底解説します。
単なる「可否」だけでなく、足場なし工事に潜む具体的なリスク(法的・物理的)、施工品質への影響、そして費用を抑えつつ安全に工事を行うための現実的な選択肢について、業界の裏事情も含めて詳しくお伝えします。
安易な判断で「安物買いの銭失い」になるだけでなく、取り返しのつかない事故や家の寿命を縮める結果にならないよう、正しい判断基準として本記事をお役立てください。
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外壁コーキングを「足場なし」でやりたい人が増えている理由
外壁コーキングだけを直したいのに、見積もりを見ると足場代が工事費用の大半を占めている…。こうした「費用のアンバランスさ」から、インターネット上で「足場なし 外壁補修」「コーキング DIY」「足場代 節約」といった検索を行う人が急増しています。
まずは、なぜ多くの施主様が足場を敬遠し、足場なし工事を熱望するのか。その背景にある費用構造のカラクリと、施主様の切実な心理的要因を整理し、現状を深く分析します。
なぜ足場代が高く感じるのか?費用構造と相場の基本
外壁塗装やコーキング補修において、見積書の中で最も「無駄」だと感じられやすい項目、それが「足場仮設費」です。
塗料やコーキング材は、壁に塗られ、埋められ、建物の一部として「形に残る」ものです。対して足場は、工事期間中だけ家の周りを囲い、工事が終われば跡形もなく撤去されてしまいます。施主様にとっては「形に残らないものにお金を払う」という心理的な抵抗感が強く働くのは無理もありません。
足場代の適正相場と内訳
一般的に、2階建て住宅(延床面積30坪前後)の場合、足場の相場は15万円〜25万円程度と言われています。
「鉄パイプを組むだけで20万?」と思われるかもしれませんが、この金額には以下の複雑なコストが含まれています。
- 部材の運搬費(物流コスト)足場部材は総重量で数トンにもなります。これをトラック(2t〜4t)に積み込み、現場まで運び、また持ち帰るための燃料費とドライバーの人件費がかかります。
- 組立・解体施工費(人件費・技術料)足場の組み立ては誰でもできるわけではありません。「足場の組立て等作業主任者」という国家資格を持つ専門の鳶(とび)職人が、労働安全衛生法に基づく厳しい基準を満たすように設置・撤去を行います。これには最低でも2〜3人の職人が丸1日(組立半日・解体半日)稼働する必要があります。
- 部材のリース・損耗費塗装店が自社で足場を持っている場合でも、部材のメンテナンスや保管場所のコストがかかります。リース会社から借りる場合は、日数に応じたレンタル料が発生します。
- 飛散防止ネット・養生費近隣へ塗料や高圧洗浄の水、ホコリが飛散するのを防ぐためのメッシュシート代や、その設置費用も含まれます。これは近隣トラブルを防ぐための「保険」のような役割も果たします。
「コーキング単独工事」の割高感の正体
コーキングの打ち替え工事単体の場合、施工範囲(メートル数)によっては工事費自体が10万円〜15万円で済むこともあります。
その場合、工事費よりも足場代の方が高くなる、あるいは同額程度かかることになり、「工事費15万円+足場代20万円=合計35万円」という見積もりになります。
メインの工事(コーキング補修)をするための準備費用(足場)が、メイン工事以上の金額になる。この逆転現象こそが、多くの施主様が抱く「納得できない」「割高だ」という感情の正体です。
一方で、外壁塗装工事全体(総額100万円〜150万円)の中で見れば、足場代の比率は15〜20%程度に落ち着きます。業界全体で「塗装とコーキングはセットで行うべき」と推奨される最大の理由は、この足場代を一度の支払いで済ませ、トータルコストを圧縮する「賢い消費」をご提案したいためなのです。
| 工事内容 | 足場費用(目安) | 工事費用(目安) | 総額における足場の割合 | 備考 |
| コーキング単独(足場あり) | 15〜25万円 | 10〜30万円 | 約40〜60% | 工事費と同等以上の足場代がかかるため、最も割高に感じる。 |
| 外壁塗装+コーキング(足場あり) | 15〜25万円 | 80〜120万円 | 約15〜20% | 工事全体で見ると足場代の比率が下がり、納得感が出やすい。 |
| コーキング単独(足場なし・1階のみ) | 0円 | 5〜10万円 | 0% | 最も安価だが、施工範囲が限定的で根本解決にならないことが多い。 |
「足場無料キャンペーン」の罠に注意
ちなみに、訪問販売などでよくある「今なら足場代無料にします!」というセールストークには注意が必要です。
前述の通り、足場には確実に原価(人件費や運搬費)がかかっています。それが「無料」になるということは、その分の費用が「塗料代」や「工事費」に上乗せされているか、必要な工程を省いて手抜き工事をするかのどちらかである可能性が高いです。
「足場代」という項目が消えても、総額が変わっていなければ意味がありません。見積もりの総額と内容をしっかり見極める必要があります。
足場なし工事を検討する人の具体的な悩み5タイプ
私たちが日々お客様からご相談を受ける中で、「足場なしでお願いしたい」とおっしゃる方には、それぞれの家庭事情や建物の状況に応じた明確な理由があります。
大きく分けると以下の5つのタイプに分類され、それぞれの検索意図や悩みは異なります。
- とにかく費用を抑えたい層(コスト重視型)最も多いのがこのタイプです。「子供の教育費がかかる時期で、一度に数十万円の出費は厳しい」「数年後には建て替えや売却を検討しているため、今の家に高額なメンテナンス費用をかけたくない」といった切実な経済的理由があります。品質や耐久性が多少落ちても良いから、現在の雨漏りリスクだけを安価に回避したいというニーズです。
- 応急処置で一部だけ直したい層(スポット補修型)「サッシの周り1箇所だけ亀裂が入っている」「南面のベランダ周りだけ劣化が激しい」など、家全体ではなく局所的な不具合を解消したいケースです。「たった1箇所の修理に、家全体を囲う大掛かりな足場が必要なのか?」という疑問から、ハシゴや脚立でのピンポイント作業を希望されます。
- DIYでやりたい層(自己解決型)YouTubeなどの動画を見て、「これなら自分でもできそうだ」と考え、ホームセンターでコーキング材とガンを購入し、自分で直そうとしている方々です。1階部分は自分でできたものの、2階部分に手が届かず、「足場なしでどうやって高所を攻略するか」をネットで調べているケースが多く見られます。
- 狭小地で足場が建てられない層(物理的制約型)都市部の住宅密集地に多く、隣家との隙間が30cm〜50cmしかない場合です。「そもそも足場を組むスペースがないから、足場なしでやるしかないのではないか」という物理的な制約から検討されています。この場合、足場仮設には隣地の許可や道路使用許可などの複雑な手続きが必要になることもあり、それを回避したい心理も働きます。
- 近隣に迷惑をかけたくない層(トラブル回避型)過去のリフォームで騒音や埃について近隣からクレームを受けた経験がある、あるいは近隣関係が非常に繊細である場合です。足場の組立・解体時には「カンカン!」という大きな金属音が響き渡るため、その騒音を避けたい、または家の外観をシートで覆われる圧迫感を嫌うという理由で、足場なしのスッキリした工事を望まれます。
これらの悩みはどれも切実であり、決して軽視できるものではありません。しかし、プロの視点から見ると、これらの要望をすべて「足場なし」で叶えることには、解決できない重大なリスクが潜んでいる場合があるのです。
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外壁コーキングは本当に“足場なし”でできるのか?専門家が線引きを解説
結論から申し上げますと、外壁コーキング工事において「足場なし」で施工できるケースは確かに存在します。しかし、それは非常に限定的な条件下に限られます。
「できるかできないか」で言えば「できる」かもしれませんが、**「安全に、かつプロとして対価をいただける品質で施工できるか」**と問われれば、そのハードルは一気に上がります。
ここでは、私たち専門家が現場調査を行う際に判断基準としている「足場なしOKのライン」と「足場必須のライン」を、事故リスク、施工品質、保証の観点から明確に線引きして解説します。
足場なしで可能なケース(1階部分・手が届く範囲など)
足場を組まずにコーキング補修が可能なのは、基本的に「作業者の安全が100%確保され、かつ適切な施工品質が保てる範囲」に限られます。具体的には以下の条件をすべて満たす場合です。
1. 物理的に手が届く「1階部分の低所」
最も基本的な条件です。地面に立った状態、あるいは安定した低い脚立(3〜4段程度)に乗って、無理なく手が届く高さ(概ね2.5m〜3m程度まで)であれば、足場は不要です。
この範囲であれば、職人も安定した姿勢でカッターやコーキングガンを操作できるため、既存のコーキングを撤去し、新しい材を充填し、ヘラで均すという一連の動作を正確に行うことができます。
2. 「部分補修」かつ「増し打ち」が可能な場合
施工範囲が極めて限定的(例えば玄関ドア周りの隙間だけ、勝手口のサッシ周りだけ)であれば、わざわざ足場を組む必要はありません。
また、外壁材自体が劣化しておらず、既存のコーキング撤去を伴わない「増し打ち(既存の上から新しい材を充填する工法)」であれば、強い力をかける必要がないため、多少不安定な場所でもハシゴ作業で対応できる場合があります。
(※ただし、増し打ちは耐久性が低く、あくまで簡易的な処置となります。)
3. 足場設置が物理的に不可能な狭小地
これは「可能だからやる」というよりは「やらざるを得ない」ケースです。隣家との隙間が人がやっと通れる程度しかない場合、足場を組むことができません。この場合は、ハシゴや脚立を駆使したり、屋根上から降りてくる工法などを検討したりしますが、これは非常に特殊な例です。
| 判定 | 具体的なケース | 理由・条件 |
| ◯ 可能 | 1階の掃き出し窓周り | 地面から作業可能で、危険性がほぼないため。 |
| ◯ 可能 | 1階の玄関・勝手口周り | 脚立等で安全に届く範囲。部分的な補修に適している。 |
| △ 条件付 | 1階の軒下・高めの窓 | 3mを超える場合、高所作業用の長梯子が必要。地面が平坦で安定していることが必須条件。 |
| △ 条件付 | 縦目地の一部補修 | 手が届く範囲のみ。全体を繋げて打つ必要がある場合は不向き。 |
足場が必須になるケース(高所・劣化が進んだ外壁など)
一方で、プロとして「これは絶対に足場が必要」と判断し、足場なしでの依頼をお断りするケースは以下の通りです。これらを無理に足場なしで行おうとする業者は、安全管理や品質管理において信頼できない可能性が高いと言えます。
1. 2階以上の高所作業(労働安全衛生法の壁)
法律(労働安全衛生法)では、高さ2メートル以上の箇所で作業を行う場合、足場の組み立て等の対策を講じることが義務付けられています。
ハシゴでの作業も不可能ではありませんが、ハシゴはあくまで「昇降設備」であり、「作業床」ではありません。両手がふさがるコーキング作業において、ハシゴ上でバランスを取りながら精密な作業を行うことは困難であり、転落事故のリスクが極めて高くなります。
2. 雨漏りを起こしている場合の「全面打ち替え」
これが最も重要なポイントです。雨漏りの原因がコーキングにある場合、原因箇所を含む広範囲、あるいは家全体のコーキングを「打ち替え(既存を完全撤去して新設)」する必要があります。
既存の硬化したゴムをカッターで外壁から削ぎ落とす作業は、かなりの力を要します。不安定なハシゴの上で力を入れると、手元が狂って外壁やサッシを傷つけたり、職人自身がバランスを崩して転落したりする危険性があります。
また、雨漏り修理は「原因箇所の特定」が命です。足場がないと、疑わしい箇所をくまなく点検することができず、見落としが発生して雨漏りが止まらないという最悪の結果を招きます。
3. サイディングの反り・浮きなどの劣化が進行している場合
コーキングが切れているだけでなく、外壁材(サイディング)自体が反り返ったり浮いたりしている場合、コーキングだけで直すことはできません。ビスを打ち直して外壁を固定するなどの下地補修が必要になります。
これらの作業は電動工具を使用するため、揺れるハシゴの上で行うのは極めて危険かつ不正確になります。
4. 「3面接着」を防ぎ、正しい施工品質を担保したい場合
コーキング施工において最も忌避すべき施工不良が「3面接着」です。
サイディングの目地は、ワーキングジョイントといって、建物の動きに合わせて動くように設計されています。そのため、底面には接着させず、両側面のみの「2面接着」にする必要があります。
これを実現するには、「ボンドブレーカー」という絶縁テープを底面に貼るなどの繊細な作業が必要です。足場がないと、こうした見えない部分の処理がおろそかになりやすく、結果としてすぐに切れてしまう「3面接着」になってしまうリスクが高まります。
| 判定 | 具体的なケース | 理由・リスク |
| × 不可 | 2階以上の全ての箇所 | 労働安全衛生法違反のリスクおよび重大事故(死亡・後遺障害)の危険性大。 |
| × 不可 | 雨漏り修理 | 確実な原因究明と完全な止水処理には、安定した足場での精密作業が不可欠。 |
| × 不可 | サイディングの反り・浮き | ビスの打ち直し等の下地補修が必要なため、ハシゴでは力が入れられない。 |
| × 不可 | 全面打ち替え工事 | 数百メートルに及ぶ長さをハシゴ移動で施工するのは非効率かつ品質ムラが生じる。 |
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足場なし工事の“危険性”と“仕上がり問題”|なぜプロが推奨しないのか
「法律や理屈はわかるが、それでも安く済ませたい」
「事故が起きても自己責任でいいからやってほしい」
そう考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私たちが強く警鐘を鳴らしたいのは、単なる法令遵守の観点だけではありません。足場なし工事には、お客様自身の家や生活を守る上で無視できない「実質的なデメリット」が存在するからです。
落下事故のリスクと労働安全基準
建設業における死亡事故の中で、最も多いのが「墜落・転落」です。そして、その多くが足場のない場所や、ハシゴ・脚立からの転落によって起きています。
「プロだから大丈夫だろう」というのは大きな誤解であり、プロであっても不安定な足元での作業は常に死と隣り合わせです。
事故が起きた時の「施主責任」
もし、ご自宅の工事中に職人が転落し、大怪我や死亡事故が発生した場合、どうなるでしょうか。
- 工事の中断と現場検証警察や労働基準監督署による現場検証が行われ、工事は長期間ストップします。家の周りに規制線が張られ、「事故物件」のような扱いを受けることになります。
- 近隣への心理的影響「あの家での工事で人が落ちた」という事実は、近隣の方々に強烈な印象を残します。その後のご近所付き合いに影を落とすだけでなく、将来家を売却する際の資産価値にも悪影響を及ぼす可能性があります。
- 損害賠償リスク基本的に労働災害は事業主の責任ですが、施主が無理な注文(安全対策を無視したコストダウンの強要など)をしたと判断された場合、民事上の責任を問われるリスクもゼロではありません。
| 高さ | 想定される作業 | 落下時のリスク | 安全対策の基準 |
| 1m以下 | 脚立・立ち馬 | 捻挫・打撲 | ヘルメット着用推奨 |
| 1.5m〜2m | 大型脚立 | 骨折・頭部強打 | ヘルメット着用、作業床の確保推奨 |
| 2m以上 | ハシゴ・屋根上 | 死亡・脊髄損傷 | 作業床(足場)設置義務、フルハーネス型安全帯使用 |
| 3m超 | 2階外壁・軒天 | 即死リスク高 | 足場必須(ハシゴ作業は原則禁止レベル) |
仕上がり・耐久性が落ちる理由(均一なプライマー塗布が難しい)
足場なし工事のもう一つの大きな問題は、「施工品質の低下」です。コーキングの寿命は、材料の性能だけでなく、職人の施工技術に大きく左右されます。特に重要なのが以下の3工程です。
- プライマー(接着剤)の塗布:目地とコーキング材を密着させるための下塗り。これが不十分だとすぐに剥がれます。
- 充填(じゅうてん):空気が入らないように奥まで材を入れる。
- ヘラ押さえ(圧着・仕上げ):表面を整え、内部の空気を抜き、目地の端まで密着させる。
足場があれば、職人は目地の正面に立ち、両手を使って安定した筆圧・ガン圧で作業ができます。しかし、ハシゴ作業の場合、片手はハシゴを掴んで体を支える必要があり、もう片方の手だけで作業することになります。また、目地に対して斜めや下から見上げる姿勢になることが多くなります。
具体的に発生する不具合
- プライマーの塗りムラ・塗り忘れ見えにくい角度や、手が届きにくい箇所でプライマーの塗布量が不足し、そこから早期に剥離(界面剥離)が始まります。
- 充填不足による空洞力が十分に入らず、目地の奥まで材が届かないため、内部に空洞ができます。ここから破断しやすくなり、雨水の侵入経路となります。
- 仕上げのガタつきヘラの角度が安定せず、表面がデコボコになります。美観が悪いだけでなく、凹凸に水や汚れが溜まりやすくなり、劣化を早める原因となります。
「とりあえず穴が塞がればいい」という一時的な応急処置なら許容できるかもしれませんが、「今後10年家を守るためのメンテナンス」として考えるなら、足場なし施工は耐久性を著しく下げる選択と言わざるを得ません。
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足場を組んだとしても、無駄な中間マージンを省けば費用は抑えられます。
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足場なしの代替案|費用を抑えて安全に工事する方法
ここまで足場なしのリスクをお伝えしましたが、「それでも予算オーバーで工事ができない」という切実な事情もあるでしょう。
そこで、家全体を囲う全面的な足場(ビケ足場)を組まずに、費用を抑えつつ最低限の安全と品質を確保する代替案をご紹介します。
部分足場・単管足場を使う方法(必要な場所だけ最小限)
家全体を囲うのではなく、補修が必要な一面や一角だけに足場を組む方法です。これを「一面架け」や「部分足場」と呼びます。
- メリット部材量や組立の手間が減るため、家全体の足場に比べて費用を1/2〜2/3程度(例:全面20万→一面8万〜10万)に抑えられます。また、必要な場所だけ組むため、隣家への圧迫感が少なくなります。
- デメリット工事中に他の面の劣化が見つかっても、足場がないため対応できません。後から「やっぱりあっちも直したい」となった場合、再度足場代がかかり、結果的に割高になります。また、狭い場所で使われる「単管足場(パイプを抱き合わせた簡易的な足場)」は、足を乗せる板(踏板)がない場合があり、作業性は通常の足場(ビケ足場)より劣ります。
ロープアクセス(ブランコ作業)のメリット・デメリット
ビルの窓拭きなどで見かける、屋上からロープを垂らしてぶら下がりながら作業する工法です。「無足場工法」として、一部の専門業者が提供しています。
- メリット足場を組む必要がないため、仮設費用を大幅にカットできます。また、足場を建てるスペースがない狭小地でも、人が通れる隙間さえあれば施工可能です。「2階の特定の窓周りだけ」といったピンポイント補修に最適です。
- デメリット施工できる業者が非常に少なく、一般的な塗装店では対応できません。特殊な技術が必要なため、単価設定が高めな場合もあります。また、品質のバラつきが出やすく、足場に比べて姿勢の安定性は劣るため、職人の腕による差が激しく出ます。さらに、ロープを固定する強固な支持物(丸環など)が必要であり、軒の出が深い和風住宅などは、壁に体が密着できず施工困難な場合があります。
高所作業車の利用(条件が合えば)
道路に面している場所であれば、高所作業車を使って工事を行うことも可能です。
- メリット:足場を組むよりも早く、安価(1日3万〜5万円程度+オペレーター代)に済む場合があります。
- デメリット:道路使用許可が必要になる場合があり、車両が入れる広いスペースが必要です。また、あくまで「その日限り」の作業になるため、乾燥期間が必要な工程には不向きです。
DIYで外壁コーキングはできる?足場なしでやっていい範囲と限界
ホームセンターのDIYコーナーには、プロが使うのと似たコーキング材が並んでいます。YouTubeなどでもDIY動画が人気ですが、素人が手を出して良い範囲と、絶対にプロに任せるべき境界線はどこにあるのでしょうか。
DIYで可能な範囲(1階の一部・応急処置レベル)
DIYでコーキング補修を行っても良いのは、以下の条件がすべて揃った場合のみです。
- 1階の手が届く範囲であること脚立を含め、転落しても大怪我に至らない高さでの作業に限ります。
- 雨漏りなどの実害が出ていない箇所の「予防・美観維持」であることあくまで「隙間を埋める」「見た目を良くする」目的であること。
- 失敗してもリカバリーが効く場所であること
必要な道具は、コーキングガン、コーキング材、マスキングテープ、カッター、プライマー、ヘラなど、数千円〜1万円程度で揃います。
DIYの最重要ポイント:材料選びの罠
DIYで最も多い失敗が「材料選び」です。ホームセンターには数百円で買える「シリコンコーク(シリコン系)」が売られていますが、これは絶対に使用してはいけません。
シリコン系は水を弾く油分を含んでおり、一度塗ってしまうと、その上から塗装ができなくなります。将来プロに塗り替えを依頼した際、シリコンを完全に削り取り、特殊な逆プライマー処理をするための追加費用が発生します。
外壁には必ず**「変成シリコン系」または「ウレタン系(塗装前提)」**を使用してください。価格はシリコン系の2〜3倍しますが、ここをケチると後で数十万円の損をすることになります。
DIYでやってはいけないケース(雨漏り・高所・劣化進行)
一方で、以下のようなケースでのDIYは「百害あって一利なし」となる可能性が高いため、絶対に避けてください。
1. 雨漏りが疑われる場合
「雨漏りを止めるためにコーキングを打つ」のは、プロでも難しい高度な作業です。
建物の構造上、雨水は入っても抜けるように設計されています。素人が適当に隙間を塞いでしまうと、入った水の「出口」を塞いでしまい、壁の中で水が滞留します。
その結果、柱や断熱材を腐らせたり、シロアリを呼び寄せたりする「二次被害」を引き起こします。雨漏りは「止める」のではなく「直す」必要があり、これはプロの領域です。
2. サイディングの浮き・反り
板自体が浮いている場合、コーキングで無理やり押さえつけることはできません。ビスの打ち直しや張り替えが必要なレベルであり、DIYでは対応不可能です。
3. 2階以上の高所作業
前述の通り、落下リスクが高すぎます。また、ハシゴを外壁に立てかけることで、サイディングを割ってしまったり、雨樋を変形させてしまったりする事故も多発しています。自分の家を自分で壊してしまっては元も子もありません。
DIYのリスクとプロの費用を比較
道具を揃える手間、材料費、失敗のリスク、怪我の危険性。それらを天秤にかけた時、実はプロに部分補修を任せた方が安く済むこともあります。まずは費用の目安を確認してみましょう。
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足場ありでコーキング工事を行うメリット(長期的コストで考える)
最後に、あえて「足場を組んで工事を行うこと」のメリットを、長期的なコストパフォーマンス(ライフサイクルコスト)の視点から解説します。
目先の20万円を節約することが、必ずしも正解とは限りません。
足場を組むことで耐久性が大幅に変わる
足場がある最大のメリットは、「職人が最高のパフォーマンスを発揮できる環境が整う」ことです。
外壁コーキングは、単純作業に見えて非常に繊細です。気温や湿度に合わせて硬化速度を計算し、目地の深さに合わせて適切な量の材を充填し、均一な力で圧着して空気を抜く。
これら全てが完璧に行われて初めて、メーカーが保証する「10年〜15年」という耐久性が実現します。
足場なしの不安定な姿勢で施工されたコーキングは、3年〜5年で切れてしまうことも珍しくありません。
もし15年の間に、足場なしの補修を3回繰り返せば、それだけでコストは膨れ上がります。
- 足場あり施工(30万円):耐久15年 → 年間コスト 2万円
- 足場なし施工(15万円):耐久3年 → 年間コスト 5万円
このように、「1年あたりのコスト」で考えると、しっかり足場を組んで高品質な施工をした方が、結果的に安上がりになるケースが多いのです。
外壁塗装とセットで施工費が最も安くなる仕組み
冒頭でも触れましたが、最も経済合理性が高いのは「外壁塗装と同時にコーキング打ち替えを行うこと」です。
外壁塗装工事でも足場は必須です。コーキング工事のためだけに足場を組むと、数年後に塗装をする際にまた足場代がかかります。
例えば、
- 今年:コーキングのみ(足場代20万+工事費20万=40万)
- 3年後:外壁塗装(足場代20万+塗装費80万=100万)合計:140万円(うち足場代40万円)
これを一度に行えば、
- 今年:塗装+コーキング(足場代20万+工事費100万=120万)合計:120万円(うち足場代20万円)
このように、タイミングを合わせるだけで20万円以上の節約になります。
また、塗装の塗膜がコーキングの上を覆うことで、コーキング材自体が紫外線から守られ、耐久性がさらに向上するという相乗効果も期待できます。
さらに、足場があることで、普段は見ることのできない「屋根の点検」や「雨樋の掃除」、「高所の窓拭き」なども同時に行うことができます。これらは足場がないと絶対にできないメンテナンスです。
| 工事パターン | 足場代の回数 | トータル費用 | 耐久性 | その他メリット |
| 別々に実施 | 2回 | 割高 | 塗膜保護がないため標準的 | 特になし |
| 同時実施 | 1回 | 最安 | 塗膜保護により長持ち | 屋根点検・雨樋掃除も可能 |
コラムのまとめ
外壁コーキングを「足場なし」で行いたいという要望は、費用面を考えれば当然の心理です。しかし、そこにはプロとして看過できないリスクと、品質への懸念があります。
今回のポイントをまとめます。
- 足場なしの可否1階の手が届く範囲や、ごく部分的な補修なら可能。2階以上や雨漏り修理は原則不可。
- リスク転落事故の危険性(法的・道義的責任)、施工品質の低下(早期剥離)、雨漏りの悪化(二次被害)を招く恐れがある。
- DIYの限界応急処置としては有効だが、材料選び(変成シリコン必須)を間違えると、将来の塗装工事で高額な補修費がかかる。
- 代替案一面だけの部分足場や、条件が合えばロープアクセスという選択肢もあるが、業者が限られる。
- 長期的視点足場を組んでしっかり直す、あるいは外壁塗装とセットで行うことが、トータルコストでは最も安く、家の寿命を延ばす最適解となることが多い。
大切なご自宅だからこそ、「安さ」だけでなく「安心」と「長持ち」を基準に選んでいただきたいと私たちは考えています。
今の劣化状況において、足場が必要なのか、部分補修で済むのか。まずは正しい現状把握から始めましょう。
おわりに
雨漏りや外壁のひび割れは、放置すればするほど内部の構造材にダメージを与え、最終的な修繕費用が膨らんでしまいます。
「うちの場合は足場なしでいける?」
「塗装と一緒にやったらいくらくらい?」
「とりあえず概算だけ知りたい」
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