
「屋根の見積書を見たら『ルーフィング』という項目があるけれど、この単価は適正なの?」
「種類によって値段が違うみたいだけど、どれを選べばいいの?」
屋根の葺き替えや修理を検討する際、瓦やスレートなどの「屋根材」ばかりに目が行きがちですが、実は雨漏りを防ぐ最も重要な役割を担っているのは、その下にある**「アスファルトルーフィング(防水シート)」**です。
しかし、普段目に見えない部分だけに、その単価相場や種類の違いについて詳しく知っている方は多くありません。業者によっては、安価なルーフィングを高い単価で見積もったり、逆にコストカットのために耐久性の低いものを使用したりするケースも存在します。
この記事では、年間3,000件以上の施工実績を持つ外壁・屋根塗装の専門家(スターペイント)が、アスファルトルーフィングの適正な単価相場、種類ごとの費用対効果、そして失敗しない選び方まで徹底的に解説します。
見積もりの妥当性を判断し、大切な住まいを長く守るための知識として、ぜひお役立てください。
アスファルトルーフィングとは?基本と役割をわかりやすく解説
単価の話に入る前に、そもそもアスファルトルーフィングがどのような役割を果たしているのか、なぜ重要なのかを理解しておきましょう。ここを知ることで、価格だけで選ぶリスクが見えてきます。
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アスファルトルーフィングの仕組みと機能
アスファルトルーフィングとは、板紙(フェルト状の紙)にアスファルトを染み込ませ、表面に鉱物粉などを付着させたシート状の建材です。屋根の仕上げ材(瓦、スレート、金属など)の下に敷き詰められるため、**「下葺き材(したぶきざい)」や「防水シート」**とも呼ばれます。
屋根の防水は「二次防水」が要
屋根の防水は二段構えになっています。
- 一次防水(屋根材):雨水を表面で受け流す役割。しかし、強風時や経年劣化によって、隙間から雨水が侵入することは避けられません。
- 二次防水(ルーフィング):屋根材をすり抜けて侵入した雨水を、このルーフィングが完全にブロックし、屋内に水を入れずに軒先へと排水します。
つまり、**「ルーフィングが破れた時=雨漏りが発生する時」**なのです。どれだけ高価な屋根材を使っても、ルーフィングの質が悪ければ雨漏りは防げません。逆に言えば、ルーフィングさえしっかりしていれば、家は水から守られます。
他の防水シートとの違い(改質アスファルト・透湿ルーフィングなど)
一口にルーフィングと言っても、いくつかの種類があり、性能と価格が大きく異なります。
- アスファルトルーフィング(940)昔から使われている最もスタンダードな製品。安価ですが、耐久性は低め(約10年〜15年)。伸び縮みしにくいため、破れやすいのが欠点です。
- 改質アスファルトルーフィング(ゴムアス)アスファルトにゴムや合成樹脂を混ぜて改良したもの。弾力性があり、釘を打った穴からの水漏れを防ぐ「止水性」に優れています。現在の主流であり、耐久性も高い(約20年〜30年)です。
- 透湿(とうしつ)ルーフィング水は通さず、湿気だけを通す高機能シート。屋根裏の結露を防ぎ、野地板(下地の木材)の腐食を抑制します。価格は高めですが、住宅の長寿命化に貢献します。
アスファルトルーフィングの単価相場|材料費と施工費を詳細解説
それでは、具体的な費用の話に移ります。見積書を見る際は、「材料単価(シート自体の価格)」と「施工単価(手間賃)」の両方を把握しておく必要があります。
ルーフィング本体の材料単価(1㎡/1ロールあたり)
ルーフィングは通常、1m×20m程度のロール状で販売されています。業者への見積もりでは「㎡単価」で記載されることが一般的です。
【種類別・材料単価の目安】
| ルーフィングの種類 | ㎡単価の相場 | 1ロール(約20㎡)の目安 | 特徴 |
| アスファルトルーフィング940 | 400円 〜 600円 | 3,000円 〜 5,000円 | 最も安価。新築建売などで使われることが多いが、リフォームでは推奨されにくい。 |
| 改質アスファルトルーフィング(ゴムアス) | 600円 〜 1,000円 | 6,000円 〜 9,000円 | 推奨品。コストと耐久性のバランスが良い。 |
| 粘着層付きルーフィング | 1,000円 〜 1,500円 | 12,000円 〜 18,000円 | 裏面がシール状になっており、既存屋根に貼り付けるタイプ。カバー工法で多用される。 |
| 遮熱・透湿ルーフィング | 1,200円 〜 1,800円 | 15,000円 〜 25,000円 | 高機能タイプ。屋根裏の環境改善を重視する場合に選択。 |
※上記は材料のみの価格です。これに施工費や諸経費が加わります。
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施工費込みの総額相場(葺き替え・カバー工法での違い)
実際のリフォーム工事では、材料費に職人の人件費(施工手間)や、既存屋根の撤去費などが加わります。30坪(屋根面積 約80㎡〜100㎡)の一般的な2階建て住宅を想定した相場を見てみましょう。
【工事内容別・ルーフィング施工費用の目安(屋根面積100㎡の場合)】
| 工事種別 | ㎡あたりの施工単価 | 総額目安(材料+手間) | 備考 |
| ルーフィング張り(新設・重ね張り) | 800円 〜 1,500円 | 8万円 〜 15万円 | 既存屋根の上にルーフィングを張る作業のみの費用。 |
| 既存ルーフィング撤去・処分 | 300円 〜 600円 | 3万円 〜 6万円 | 葺き替え工事の場合に発生。 |
| 野地板(下地)の増し張り | 1,500円 〜 2,500円 | 15万円 〜 25万円 | 下地が腐食している場合は必須。 |
注意点:
これらはあくまで「ルーフィングに関連する費用」です。屋根全体の工事としては、これに加えて「足場代(約15〜20万円)」「新しい屋根材の費用(スレート、ガルバリウム等)」「既存屋根材の撤去処分費(葺き替えの場合)」がかかります。
ルーフィング単体で見ると、一般品と高級品の総額差は数万円程度です。屋根リフォーム全体が100万円を超える工事であることを考えると、ルーフィングのグレードを上げておくことは、非常にコストパフォーマンスの良い投資と言えます。
アスファルトルーフィングの種類別「単価と耐久性」比較
「安く済ませたいけれど、すぐにダメになるのは困る」
そんな悩みを持つ方のために、代表的なルーフィングのコスパを比較解説します。
一般アスファルトルーフィングの特徴と相場
- 通称:アスファルトルーフィング940
- 単価:安い(㎡あたり400〜600円)
- 耐用年数:約10年〜15年
- メリット:初期費用を最も抑えられる。
- デメリット:経年劣化で硬くなりやすく、地震や建物の動きで破れやすい。釘穴のシール性が低い。
【専門家の見解】
正直なところ、現在のご自宅に「あと10年住めればいい」という場合以外は、おすすめしません。屋根材(瓦やガルバリウム)は30年以上持つのに、下地のルーフィングが10年で寿命を迎えてしまっては、結局すぐに大規模な補修が必要になり、トータルコストが高くつくからです。
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改質アスファルトルーフィング(ゴム・樹脂改質)の特徴と相場
- 通称:ゴムアスルーフィング
- 単価:標準的(㎡あたり600〜1,000円)
- 耐用年数:約20年〜30年
- メリット:合成ゴムが含まれているため伸縮性があり、破れにくい。釘を打った際にゴムが収縮して釘穴を締め付けるため、止水性が非常に高い。
- デメリット:一般品より少し高い(が、差額は小さい)。
【専門家の見解】
現在の屋根リフォームにおけるスタンダードであり、強く推奨する選択肢です。一般品との差額は、家一軒分でも3〜5万円程度。この金額で寿命が倍近く伸びるため、迷ったら「ゴムアス(改質)」を選んでください。
屋根形状・勾配・施工方法で変わる単価の違い
ルーフィングの単価は、屋根の形や勾配(傾斜)によっても変動します。見積もりが相場より高い場合、こうした条件が関係している可能性があります。
屋根勾配と単価の関係(急勾配は費用が上がりやすい理由)
- 急勾配の屋根(6寸勾配以上)屋根の傾斜が急な場合、職人が屋根の上で作業するのが困難になります。安全確保のために「屋根足場」という追加の足場が必要になることが多く、その分費用が加算されます。また、ルーフィング自体も滑り落ちやすいため、固定の手間が増え、施工単価が上がることがあります。
- 緩勾配の屋根(3寸勾配以下)傾斜が緩い屋根は、雨水が流れ落ちにくく、滞留しやすくなります。そのため、雨漏りリスクが高く、より防水性の高い「粘着層付きルーフィング」の使用や、ルーフィングの重ね代(オーバーラップ)を多く取るなどの対策が必要となり、材料費が増える傾向にあります。
葺き替え・カバー工法での単価差の出方
- 葺き替え工事古い屋根材をすべて撤去し、野地板(下地)を露出させてからルーフィングを敷きます。下地の状態が悪ければ補修が必要になるため、不確定要素による追加費用のリスクがあります。
- カバー工法(重ね葺き)既存の屋根材(スレートなど)の上から、直接ルーフィングを貼り付けます。この場合、釘で固定するタイプではなく、裏面がシールになった「粘着式ルーフィング(タッカー不要)」を使用するのが一般的です。粘着式は材料単価が高いため、通常のルーフィング工事より㎡単価は高くなりますが、廃材処分費がかからない分、工事総額は抑えられます。
アスファルトルーフィングの耐用年数と交換タイミング
ルーフィングは屋根の下に隠れているため、劣化を目視で確認することができません。適切な交換タイミングを逃さないための知識を整理します。
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劣化の進行具合と寿命目安(10〜30年の幅の理由)
ルーフィングの寿命は製品によって10年〜30年と幅がありますが、これは「素材のグレード」と「屋根材の種類」に依存します。
瓦屋根のように隙間が多く通気性が良い屋根の下では、ルーフィングへの熱ダメージが少なく長持ちしやすい傾向があります。一方、スレートや金属屋根のように密閉性が高く、熱がこもりやすい屋根の下では、熱による劣化が早く進みます。
劣化サイン(湿気・雨染み・屋根裏の症状・屋根材の浮きなど)
直接見えなくても、以下のようなサインがあればルーフィングの寿命、あるいは機能不全が疑われます。
- 天井や壁の雨染み:これは最終段階です。すでにルーフィングを突破して雨水が侵入しています。
- 屋根裏のカビ臭さ・湿気:雨漏りまではしていなくても、防水機能が低下して湿気が侵入している証拠です。
- 軒天(のきてん)のシミ・剥がれ:屋根の内部に入った水が、軒先に回ってきている可能性があります。
- 築20年以上経過:一度もメンテナンスをしていない場合、使用されているのが昔の「一般アスファルトルーフィング」である可能性が高く、寿命を超えていると考えられます。
DIYでルーフィングを張る場合の単価と注意点
ホームセンターなどでルーフィング材が販売されているため、「自分で安く修理したい」と考える方もいらっしゃいますが、専門家としてはおすすめできません。その理由をコストとリスクの両面から解説します。
DIY時の材料費と必要工具(総額の目安)
DIYで行う場合、材料費のみで済むため見かけのコストは安くなります。
- ルーフィング材:4,000円〜8,000円(1ロール)
- タッカー(固定用ホッチキス):1,000円〜3,000円
- カッター・ハサミ:数百円
- 安全靴・ヘルメット:3,000円〜5,000円
小規模な小屋や物置の屋根(10㎡程度)であれば、1〜2万円程度で材料は揃います。
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DIY施工のリスクと失敗事例(防水不良・固定の甘さ・継ぎ目の浮き)
しかし、住居の屋根でDIYを行うのは極めて危険です。
- 転落事故のリスク:慣れていない高所作業、特に足場のない傾斜地での作業は、命に関わる転落事故の危険性が非常に高いです。
- 施工不良による雨漏り悪化:ルーフィングには「下から上へ重ねる」「重ね代は縦100mm、横200mm以上」といった厳格な施工ルールがあります。これを間違えると、雨水を逆に内部へ引き込んでしまい、雨漏りを悪化させます。
- 端部の処理:谷部や壁際、棟(屋根の頂点)の処理は複雑で、プロでも気を使う箇所です。ここが甘いと確実に水が入ります。
「安く済ませるつもりが、雨漏りで下地を腐らせてしまい、結果的に数百万円の修繕費がかかった」という事例も少なくありません。住居に関しては、プロに任せるのが鉄則です。
施工店に依頼する場合の見積書の見方と単価の妥当性チェックポイント
最後に、業者から出てきた見積書が適正かどうかを判断するポイントをお伝えします。
見積りに必ず入るべき項目(材料・施工手間・撤去費・諸費用)
優良な見積書には、以下の情報が明確に記載されています。
- 製品名(メーカー名):「ルーフィング張り」だけでなく、「田島ルーフィング PカラーEX+」のように具体的な商品名が書かれているか。
- 種類:「ゴムアス」「改質アスファルト」といったグレードの記載があるか。
- ㎡数:一式ではなく、施工面積が記載されているか。
- 施工単価:材料費と施工費が明確か(込みの場合でも単価の妥当性を見る)。
相場より高い or 安い場合に疑うべきポイント
- 相場より極端に安い場合(㎡単価 400円以下など)耐久性の低い「一般アスファルトルーフィング(940)」を使用している可能性があります。または、重ね代を少なくして材料をケチろうとしているかもしれません。「ゴムアスを使ってほしい」と指定して、再見積もりを取りましょう。
- 相場より極端に高い場合(㎡単価 2,000円以上など)不要な高機能ルーフィングを提案されているか、単純に利益を乗せすぎている可能性があります。なぜその単価なのか、根拠(特殊な施工が必要な屋根なのか、最高級グレード品なのか)を確認しましょう。
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コラムのまとめ
アスファルトルーフィングの単価と選び方について解説しました。
- 材料単価:一般品は400円〜、推奨のゴムアスは600円〜1,000円/㎡程度。
- 工事総額:屋根リフォーム全体の中で見れば、ルーフィングのグレードアップによる差額は数万円程度。
- 選び方:耐久性・止水性に優れた**「改質アスファルトルーフィング(ゴムアス)」**を選ぶのがコスパ最強。
- タイミング:築20年を超えている場合、または雨漏りの兆候がある場合は、見えない部分でルーフィングが寿命を迎えている可能性大。
ルーフィングは、一度施工すると次のリフォーム(数十年後)まで交換できません。目先の数万円を節約してグレードを下げるよりも、良いものを選んで将来の雨漏りリスクを減らす方が、長い目で見れば圧倒的にお得です。
最後に
気温が下がり、雨や雪の心配が増えてくるこれからの季節。屋根の防水機能が低下していると、冬の間に見えない場所で雨漏りや結露が進行し、大切な家を傷めてしまうかもしれません。
本格的な冬が来る前に、一度ご自宅の屋根の状態をチェックしてみませんか?
「うちの屋根面積だと、ルーフィング交換はいくらくらい?」
「ゴムアスで見積もりを取ると総額はどうなる?」
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