
住宅の外壁は紫外線や雨風、冬の凍結や夏の高温など、過酷な環境に常時さらされています。特に築20年以上の戸建てでは、外壁素材の微細なクラックや劣化によって、塗膜が剥がれやすくなるリスクが高まります。
プラサフ(サーフェーサー)は、まさにそんな外壁の下地を保護し、仕上げ塗料の密着力と発色を最大限に引き出す重要な塗装工程です。
本記事では、プラサフの選び方から塗布方法、コストパフォーマンス、よくある疑問までをわかりやすく解説します。
プラサフとは何か
プラサフは塗装面と上塗り塗料の間に入る下塗り剤です。
下地の保護、密着向上、仕上がりの均一化など多くの効果を発揮します。
プラサフの定義と役割
プラサフ(サーフェーサー)は、外壁塗装における下塗り工程で使用する専用塗料で、主に以下の三つの役割を果たします。
- 凹凸の均一化:モルタルやサイディングの継ぎ目、微細なひび割れ、下地のわずかな凹凸をフィラー成分(充填剤)が埋め、平滑な塗膜面を形成します。これにより、上塗り塗料の厚みが均一になり、美しい仕上がりを実現します。
- 密着性の向上:プラサフに含まれる特殊なバインダー(樹脂)が下地と塗料の中間層として作用し、下地との接着力を強化。これによって浮きや剥がれを抑制し、塗膜の耐久性を飛躍的に高めます。
- 吸い込みの抑制:外壁の素材は吸水性が異なり、塗料が不均一に吸い込まれると色ムラや透けが発生しやすくなります。プラサフは下地への吸い込みを均一化し、上塗り塗料の発色を安定させる役割も担います。
また、プラサフの主成分にはアクリル樹脂やウレタン樹脂が用いられ、耐候性や防カビ性などの機能を付与する添加剤が配合されているものが多いです。
プライマー・サフェーサーとの違い
プライマー、サフェーサー(プラサフ)、いずれも塗装の下塗り工程で使われる用語ですが、その目的と機能には明確な違いがあります。
1. プライマーの役割
- 下地への密着性強化:プライマーは下地素材と上塗り塗料の間で化学的に結合しやすくする役割を担います。金属・コンクリート・樹脂系サイディングなど素材ごとに専用のプライマーが用意され、素材固有の表面エネルギーを調整します。
- 防錆・防腐機能:特に金属系外壁では、錆転換成分や防腐剤が配合された錆転換プライマーが使用され、錆の進行を抑制します。
- 吸い込み防止:非常に吸水性の高い素材(モルタルなど)には、シーラータイプのプライマーが用いられ、上塗り塗料の吸い込みを抑えます。
2. サフェーサー(プラサフ)の役割
- 凹凸の平滑化・色ムラ防止:プラサフはフィラー成分で微細凹凸を埋めるとともに、下地の色ムラを遮蔽します。上塗り塗料の発色と均一な膜厚形成に貢献し、仕上がりの美観を左右します。
- 複層塗装の基盤構築:プライマーに比べて塗膜厚が厚く、上塗り層の支持体としての役割が強いのが特徴です。
3. 使い分けのポイント
- 金属系サイディング:まず錆転換プライマーを塗布し、次に弾性プラサフを2回重ねることで、密着力と防水性を同時に確保します。
- モルタル:シーラータイププライマーで吸い込みを抑えた後、グレープラサフを塗布し、色ムラの隠蔽と密着性を両立します。
- FRP・樹脂系外壁:専用プライマーで表面エネルギーを調整し、プラサフを用いて凹凸平滑化と発色安定化を図ります。
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プラサフの効果とメリット
プラサフを正しく使うことで得られる耐候性、密着力、美観向上の具体的なメリットを紹介します。
耐候性・密着性を高める仕組み
プラサフに配合されるアクリル樹脂やウレタン樹脂は、紫外線や雨水に対する高い耐久性を有し、長期間にわたり塗膜の性能を維持します。
さらに、微細なフィラー(充填剤)がクラックやピンホールといった極小の凹凸を隙間なく埋めることで、塗膜表面を均一な厚さに整えます。
- 凍結融解サイクル試験
温度5℃⇔35℃、湿度62%の環境を100サイクル繰り返し、塗膜の膨張・収縮による剥離を評価 - 人工紫外線耐候性試験(UV-340)
1,000時間の連続照射で色あせやチョーキング(白化)の発生率を測定 - 塩水噴霧耐食試験
5%塩化ナトリウム水溶液を500時間噴霧し、錆や剥離の発生有無を確認
いずれの試験でも、プラサフ下塗りを2回(1回目塗布100μm、2回目塗布120μm)行うことで、剥離率1%以下、クラック発生ゼロを達成。これらの結果はプラサフが下地と強固に分子結合し、温度変動や化学的劣化からしっかりと保護している証拠です。
長期的な観点では、当社標準の下塗り厚である合計220μmが、10年以上にわたる耐候性と密着性を担保し、再塗装までの期間を延長します。
塗膜の美観と色ムラ防止
プラサフは上塗り塗料の発色を均一化し、ムラや色むらを抑制する光学的役割も担います。下塗り段階で下地の濃淡をカバーし、上塗りのピグメント(顔料)が均一に分散されるため、次のような効果が得られます。
- 色再現性の向上:グレーやホワイトのプラサフが下地の色や汚れを隠蔽し、上塗り塗料の本来の色味を忠実に再現します。とくに淡色系の外壁では、下地色が透けることで発色がくすむリスクがあるため、プラサフの下塗りが不可欠です。
- ムラ防止:プラサフのフィラーが細かな凹凸を埋めることで、塗料の厚みムラが抑えられ、均一な膜厚を実現。塗膜の厚さが一定になることで、光の反射も均一化し、見た目の美しさが向上します。
- 付着防止効果:プラサフの下地での滑らかな塗膜により、上塗り塗料の刷毛すじやローラー跡が目立ちにくくなります。当社では、プラサフ1回目塗布後に#400番の研磨紙で軽く研磨を行い、さらに平滑性と密着性を高めています。
プラサフの種類と選び方
色調や用途、外壁素材に応じた最適なプラサフ選定ポイントを解説します。
グレーとホワイトの使い分け
プラサフには主にグレーとホワイトの2種類があり、それぞれ下地の状態や上塗り塗料との相性に応じて使い分ける必要があります。
1. グレーの特徴とメリット
- 隠蔽力に優れる:コンクリートやモルタル、目立ちやすい下地の汚れやクラック跡を効果的に隠蔽します。とくに濃色系の上塗りをする場合は、下地の色ムラが透けるリスクを減らすため、グレーが最適です。
- 汚れ防止:グレーは汚れやカビが目立ちにくく、上塗り前の美観を維持しやすい特性があります。
- コストパフォーマンス:顔料量が多いため、隠蔽効率が高く、塗布回数を抑えられるケースもあります。
2. ホワイトの特徴とメリット
- 発色向上:淡色系やパステル調の上塗り塗料の色味をより鮮やかに再現します。白いベースが光を反射し、上塗りのピグメントが持つ本来の色を際立たせます。
- ムラ検知のしやすさ:塗りムラ、刷毛跡、ローラー跡などの不具合が白地で確認しやすく、研磨や重ね塗りのコントロールがしやすい点も大きなメリットです。
- 清潔感演出:ホワイトの下塗りは明るい印象を与え、特に住宅のファサードや窓まわりに使うことで、住まい全体を爽やかに見せることができます。
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外壁素材別おすすめプラサフ
外壁素材 | 推奨プラサフ | 特長 |
---|---|---|
モルタル | アレスダイナミックPSⅡ | 高密着・低VOC |
サイディング | 当社オリジナルプラサフ | 耐候性強化・美観重視 |
ALC | 高浸透型プラサフ | 微細クラックの封じ込めに優れる |
- モルタル外壁
モルタルは吸水性が高く、凹凸やクラックに塗料が不均一に吸い込まれると色ムラの原因になります。アレスダイナミックPSⅡは高分子フィラーが隙間をしっかり埋め、下地の吸い込みを均一化。さらに低VOC設計で、環境にも配慮した施工が可能です。 - サイディング
窯業系や金属系サイディングは下地が平滑かつ硬質で、塗料の密着性が課題となりがちです。当社オリジナルプラサフは弾性プライマーを配合し、下地への追従性を高めることで、ひび割れや剥離を防止。熱膨張対策としても有効です。 - ALC
ALCは多数の微細気泡を持ち、表面の微クラックが多発します。高浸透型プラサフは毛細管現象を利用して深部まで浸透し、クラックを封じ込めると同時に、下地保護層を形成します。施工事例では10年経過後のクラック発生率が1割以下を実証。
プラサフの塗布方法と注意点
効率的かつ品質を担保する施工フローと、DIY時の注意点をまとめます。
下地処理~重ね塗り~研磨までの工程
外壁塗装の品質は下地処理と工程管理に大きく依存します。
- 高圧洗浄と旧塗膜剥離(150~200bar)
- クラック補修とシーラー塗布(エポキシ注入+微弾性パテ→シーラー)
- プラサフ1回目塗布(エアレス噴霧、100~120μm)
- 初回研磨(#400番、研磨粉除去)
- プラサフ2回目塗布(120~130μm、合計220~250μm)
- 最終研磨・検査(#600番+光沢度・膜厚・撥水性テスト)
DIY施工の注意点&プロ施工のメリット
DIY施工の主な失敗要因:旧塗膜除去不足/膜厚管理不足/乾燥環境管理甘さ/研磨・養生不足/安全対策不十分
プロ依頼のメリット:現地調査+最適プランニング/環境制御・機材完備/膜厚測定+QC管理/足場・養生一式対応/長期保証+定期点検
プラサフの費用とコストパフォーマンス
材料費・施工費の相場と、長期視点でのお得な選び方を解説します。
価格相場の目安と材料費比較表
製品名 | 容量 | 単価(税別) | 特長 |
---|---|---|---|
アレスダイナミックPSⅡ | 16kg | ~2,500円/kg | 低VOC・高密着 |
当社オリジナルプラサフ | 15kg | ~3,000円/kg | 高耐候・美観重視 |
一般的な相場レンジと、長期視点でのコスト比較シミュレーションを掲載。
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プラサフに関するよくある質問(FAQ)
Q1. プラサフの乾燥時間は?
環境条件 | タッチドライ | 重ね塗り可能 | 完全硬化 |
---|---|---|---|
20℃・湿度60% | 1.5時間 | 4時間 | 7日間 |
10℃・湿度80% | 3時間 | 6時間 | 10日間 |
30℃・湿度40% | 1時間 | 3時間 | 5日間 |
Q2. 雨の日に施工しても大丈夫?
施工可否ライン:湿度75%以下、露点差3℃以上
雨天直後対策:24時間以内は前処理乾燥を徹底
見解と施工事例
選ばれる3つの理由
- 品質管理:専門スタッフが定期巡回+ラボ連携改善サイクル
- 全国ネットワーク:詳細な施工マニュアル+定期研修で品質均一化
- アフターサポート:施工完了後の長期保証+定期点検で安心
施工事例&お客様の声
- 神奈川県 A様邸(築25年・モルタル):クラック補修+220μm下塗りで光沢度+18%、ひび割れゼロ。 「完成後の美しさに家族全員が驚きました。保証も安心です。」
- 東京都 B様邸(築15年・金属系):錆転換プライマー+210μm下塗りで密着性大幅向上。 「仕上がりも鏡のような艶で、毎日眺めています。」
コラムのまとめ
本記事では、外壁塗装における下塗り材「プラサフ(サーフェーサー)」の全容を詳しく解説しました。ここで改めて、押さえておくべきポイントを振り返りましょう
- プラサフの3大機能
凹凸平滑化:微細なひび割れや表面の凹凸をフィラー成分でしっかり埋め、上塗り塗料の膜厚を均一化。ムラや刷毛跡を抑え、美しい仕上がりを叶えます。
密着強化:アクリル樹脂・ウレタン樹脂によるバインダー効果で、塗膜と下地を強固に分子結合。剥がれや浮きに強い塗膜を築きます。
吸い込み抑制:外壁素材ごとに異なる吸水性を均一化し、上塗り塗料の色ムラや透けを防止。淡色系の鮮やかな発色をサポートします。 - プライマーとの役割分担
プライマーは主に「下地への密着」「防錆・防腐」「吸い込み抑制」が目的。一方プラサフは「美観確保」と「均一膜厚形成」に特化。素材(モルタル/サイディング/金属/樹脂系)や施工目的に応じて、プライマー+プラサフの組み合わせを選ぶことが品質向上の鍵です。 - 色調・外壁素材別の選び方
グレー:コンクリートや濃色系塗料に最適。隠蔽力が高く、下地の色ムラをしっかりカバー。
ホワイト:淡色系やパステルカラーの発色をより鮮やかに。ムラ検知もしやすく、仕上がりチェックが容易です。
素材別推奨:モルタル…吸い込みを抑えるアレスダイナミックPSⅡ(高密着・低VOC)
窯業系サイディング…弾性配合のオリジナルプラサフ(耐候性強化)
ALC…深部まで浸透する高浸透型プラサフ(クラック封じ込めに有効) - 施工工程の徹底管理
下記6ステップで、誰が塗っても同じ品質を担保
高圧洗浄(150–200bar)で旧塗膜・汚れを除去
クラック補修+シーラー塗布
プラサフ1回目塗布(100–120μm、エアレス噴霧)
400番研磨→研磨粉除去
プラサフ2回目塗布(120–130μm、合計220–250μm)
600番最終研磨+光沢度・膜厚・撥水性テスト
これらを数値(膜厚計・光沢度計)で管理し、基準をクリアした場合のみ次工程へ進みます。
- 費用相場とコストパフォーマンス
標準プラン(100㎡)…約37万円(材料・技術料・足場・諸経費込み)
コスパ重視プラン…約35.5万円(オリジナルプラサフ+省スペース足場)
プレミアム保証プラン…約42万円(膜厚増量+10年保証パス)
初期費用だけでなく、長期保証・定期点検を活用すれば再施工サイクルが延び、トータルコス トを抑えることが可能です。
- リスク管理とよくある質問
乾燥時間:20℃・湿度60%でタッチドライ1.5時間、重ね塗り4時間、完全硬化7日。
雨天施工:湿度75%以下、露点差3℃以上が施工可否ライン。雨上がり24時間はヒーター除 湿で前処理乾燥。
上記基準を守ることで、失敗リスクを大幅に低減できます。
- 実績とサポート体制
現場巡回チェック+ラボ分析によるPDCAサイクル
詳細マニュアルと定期研修で全国均一品質
長期保証(10年)+定期点検で施工後も安心
下塗りのプラサフは、小さな工程に見えて塗装全体の仕上がり・耐久性を左右する要です。ここでまとめた要点を参考に、最適な製品選定と入念な工程管理を行い、長く美しい外壁を実現してください。
さいごに
春と秋は外壁塗装・屋根塗装のベストシーズンです!雨が少なく気温や湿度が安定している3~5月は狙い目なのです。
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