
外壁塗装を考え始めている方が最初に気になってくるのは「外壁塗装はいったいどれくらいの費用がかかるのか?」ということ。
外壁塗装は高いお買い物、だからこそ失敗したくないものです。
しかし、外壁塗装の金額は高額ながら、何がどう費用としてかかってくるのか、いくら費用がかかってくるのか、分かりにくい所があります。
分かりにくいからこそ、悪徳業者が多くいるのも事実。
適切な業者選び、適切な工事、適切な支払いをするためには、まずは外壁塗装にかかる料金について知ることが大事です。
この記事では、相場はどれくらいなのか?内訳はどうなっているのか?といったお客様の疑問に対し、外壁塗装の諸費用のあれこれや、悪徳業者を避けるための注意点、外壁塗装をするにあたって大事なポイントをお教え致します。
外壁塗装をお考えの方は、ぜひ参考にされてください。
外壁塗装の相場はズバリ

外壁塗装にかかるおおよその料金の相場は、ズバリ、80万円〜150万円(※一般的な2階建ての一戸建て住宅の場合)です。
外壁塗装をする際は、大体これくらいの金額がかかると想定して差し支えありません。
「80万円〜150万円って、かなり金額にばらつきがあるんじゃない?」とお気づきの方もいらっしゃることかと思います。
なぜ相場がきっぱりと定まらないかというと、外壁塗装は建物の規模や工事内容によって費用が大きく変動する工事であるからです。
費用の変動に関わってくる内容はおおよそ以下の通りです。
- 塗料の種類
- 塗装面積
- 外壁の劣化具合
- 足場面積
貰った見積もりが適正かどうか判断する際は、外壁塗装工事のおおよその内訳を把握する共に、どの費用が変動するのか、なぜ変動するのかを知っておく必要があります。
費用の変動については、3.費用の変動についてで詳しく解説いたします。
外壁塗装の内訳について

外壁塗装工事には、様々な諸費用がかかります。
大きく分けて材料費、人件費、足場代、その他の費用(運営費など)があります。
全体的な傾向としては、材料費が約20%、人件費で約30%、足場代で約20%、その他の費用で約30%です。
これら諸費用について、順に解説していきます。
材料費
材料費は塗料代、刷毛やローラーといった道具代、養生代、シーリング充填剤代、新しく張り替えるためのサイディングボード代、高圧洗浄代など、塗装工事を行う上で必要になる材料や補修、修理にかかる費用です。
塗装工事で使用する道具や塗料のほか、シーリング充填剤や高圧洗浄といった塗装前の補修に使う道具や作業も材料費に含まれています。
こうした補修作業も、外壁塗装になくてはならない大事な工程です。
外壁に隙間や汚れがついたまま塗装を行ってしまうと、結果的に雨水の侵入を防ぐといった塗料の効果を十分に発揮できなかったり、すぐに塗料が剥がれてしまったりなどに繋がりかねないからです。
人件費(工事費)
人件費は塗装工事を行う職人さんや営業マンにかかる費用です。
1人の職人が1日あたりに働く作業量は、人工(にんく)という言葉で表されます。
1人の職人が1日かかる作業量は1人工です。
人件費は、職人の人数×工事日数×人工で出すことができます。
経験と知識を持ったベテランの職人さんであればあるほど、工事期間が長くなればなるほど、費用は大きくなります。
足場代
安全に塗装作業を行うために組み立てられる仮設足場にかかる費用です。
足場代を計算するには、まず足場架面積(足場をかける面積)を出します。
足場架面積=[家の外周+8m]×高さ
※8mは外壁から足場までの距離に相当
算出した足場架面積に足場費用(1㎡あたり700〜1,200円)と飛散防止ネット(1㎡あたり250〜500円)を合わせた費用をかけることで足場面積を求めることができます。
足場にかかる費用=足場架面積×(足場費用/㎡+飛散防止ネット/㎡)
安定した足場を組むことで、職人さんの安全が確保され、工事品質も安定します。
また、近隣住宅への塗料の飛散を防ぐ飛散防止ネットも併用され、工事に伴うトラブルを防ぎます。
工事終了の際には解体してしまう足場ですが、塗装工事の品質や安全のためにも足場は必須であり、費用もその分かかります。
その他の費用
業者が塗装現場に移動するための交通費や駐車場代、事務手数料、廃材処理代などの雑費がその他の費用として挙げられます。
費用の変動について

外壁塗装は費用の変動が大きい工事になります。
どんな工事をするのか、どんな工事条件なのかで費用も変動します。
ここでは「家の大きさ」「劣化」「塗料」「会社」という4つの観点からお話致します。
家の大きさ
家の大きさが大きければ大きいほど、塗装面積は大きくなり、費用も高くなります。
また、3階建てのご住まいであれば、2階建ての住宅よりも若干費用がかかります。
ここで注意しておきたいのが、「○坪」という家の面積を示す単位です。
家の大きさがわかる単位でもありますが、実際に塗装をする正確な面積を表している訳ではありません。
あくまでも、坪数は床面積を示しています。
外壁の面積から塗装をしない窓やドアなどの面積を差し引いて算出された面積が本当の塗装面積です。
この塗装面積を求める方法は3つあります。
- スケールなどで実際に家の大きさを測り計算する
- 延べ面積から計算する
- 図面から計算する
おおよその適正価格を知りたい方は、電卓やスケール、お家の図面を活用し、ご自宅の塗装面積を求めてみましょう。
① スケールなどで実際に家の大きさを測り計算する
実際にスケールを使い、家の外周や高さ、塗装しない窓やドア部分を測った後、面積を計算して求める方法です。
計算式は以下になります。
家の外周×高さ=外壁全体の面積
外壁塗装の面積−塗装しない窓やドア部分の面積=塗装面積
ただ、このやり方は時間がかかる上、お家によっては凹凸部分を考慮しなければならないなどの煩雑さがあります。
②延べ床面積から計算する
延べ床面積は、全ての階の床面積を合計した面積のことです。
1階が40㎡、2階が36㎡であれば、延べ床面積は76㎡です。
この延べ床面積に係数(1.1〜1.6)をかけます。
この係数をかけることで塗装をしない窓のような部分を省くことができます。
計算式は以下の通りです。
延べ床面積×係数(1.1〜1.6)=塗装面積
延べ床面積が大きい場合の係数は、小さい数字を使って計算しましょう。
その方が実測値に近くなると言われています。
こちらは、坪数を使っての計算も可能です。
1坪は3.3㎡なので、坪数に3.3をかけることで延べ床面積を求めることができます。
計算式は以下の通りです。
坪数×3.3×係数=塗装面積
この延べ床面積から塗装面積を求める計算方法は、比較的簡単にできますが、あくまで概算です。
お家によって窓の大きさ等に違いがあるため、ある程度の目安として考えておきましょう。
③図面から計算する
お家の立面図や平面図から塗装面積を計算する方法です。
平面図から各階の長さ、立面図から各階の高さを三角スケールを用いて測ります。
寸法の表記があれば、測らずともその数字を使えば問題ありません。
長さ×高さでお家の四方の壁の面積をそれぞれ算出します。
長さ×高さ=1面の外壁面積
長さ×高さ=他の1面の外壁面積…
算出した壁の面積を足し、外壁の総面積を出します。
1面の外壁面積+1面の外壁面積+1面の外壁面積+1面の外壁面積=外壁の総面積
次に、塗装しない窓やドアといった部分の面積をそれぞれ求めます。
(例)
(トイレの窓の)長さ×高さ=トイレの窓の面積
(部屋の窓の)長さ×高さ=部屋の窓の面積
(玄関のドアの)長さ×高さ=玄関のドアの面積…
算出した塗装しない部分の各面積を足し、塗装しない部分の総面積を求めます。
トイレの窓の面積+部屋の窓の面積+玄関のドアの面積+…=塗装しない部分の総面積
算出した外壁の総面積から、塗装しない部分の総面積を引き、塗装面積を算出します。
外壁の総面積−塗装しない部分の総面積=塗装面積
上記で求めた塗装面積に塗料の値段などをかけることで、外壁塗装にかかるおおよその塗料代を求めることができます。
塗料単価×塗装面積=塗料代
劣化
外壁塗装の内訳についてでも述べた通り、劣化部分の補修をしないまま塗装を行うと、雨漏りを防ぐといった塗料の効果は十分に発揮されないまま剥がれてしまいます。
そのため、補修工事をした上で外壁塗装を行うことが好ましいとされます。
つまり、外壁塗装工事をきちんと行うには補修工事が必須であり、お家の劣化部分が多ければ多いほど補修工事も多くなり、その分の費用がかかってくるということです。
具体的に、どのような劣化症状があるかをご紹介いたします。
ひび割れ

クラックとも呼ばれる外壁にできるひび割れです。
髪の毛ほどのひび割れ(ヘアークラック)であれば、DIYなどの補修で事足ります。
しかし、ひび割れが深いものであれば、建物の内部へ雨水が侵入してしまっている可能性が高くなるほか、シロアリなどの害虫の発生を招いてしまうこともあります。
ひび割れの補修は1㎡あたり1,700〜2,500円が相場です。
シーリング

シーリングはサイディングボードといった外壁材の継ぎ目に充填する伸縮性のある材料のことです。
充填された箇所の雨水の侵入を防ぐと共に、その伸縮性から、外壁同士の膨張・縮小の負担を和らげる緩衝材のような役割を果たしています。
「コーキング」という言い方もありますが、建築や外壁塗装業界では、シーリングとコーキングは同じものを指します。
シーリングの劣化は硬さやひび割れ、見た目の状態で判断できます。
固くなっていたり、黒ずんでいたりしていたら、劣化のサインです。
シーリングの補修工事は2つあります。
- 打ち替え
劣化したシーリングを剥がし、新しいシーリング剤を充填する工事です。相場は1mあたり900〜1,200円です。
業者によっては、剥がした古いシーリングを廃棄するのに別途料金がかかります。 - 打ち増し
シーリングはそのまま、上から新しいシーリング剤を充填する工事です。相場は1mあたり700〜1,200円です。
シーリングの打ち替え工事よりも安価ですが、古いシーリングの上から補填するため、その後の劣化は早く、機能性が確保できません。
カビ・コケ・藻

カビ・コケ・藻は太陽が当たらず湿気が溜まりやすい北側の外壁に多く発生します。
外壁についているカビやコケ、藻を除去した上で外壁塗装は行われます。
カビ・コケ・藻の除去には高圧洗浄、あるいはバイオ洗浄を行います。
高圧洗浄とは、水の圧力で汚れなどを剥がす洗浄方法をいいます。
バイオ洗浄は、薬品を用いて洗浄する方法をいいます。
カビ・コケ・藻にはバイオ洗浄の方がより効果的です。
薬品によって、カビ・コケ・藻を根の部分から剥がし、再発を防ぐことができます。
大まかな相場は以下の通りです。
高圧洗浄の場合 1㎡あたり200〜300円
バイオ洗浄の場合 1㎡あたり300〜500円
これらの値段に加え、洗浄の飛散を防ぐ飛散防止シート代(1㎡あたり250〜500円)、水道代(1,000〜2,000円)がかかります。
バイオ洗浄は①洗浄面を水で濡らす②洗剤塗布③水洗いという工程で行うため、水道代も2倍かかってきます。
サビ

鉄部や木部のサビや汚れを除去する作業を「ケレン作業」といいます。
ケレン作業にはサビや汚れの除去のほか、表面に傷を付けて凹凸を作ることで、後に塗る塗料を密着させやすくする働きもあります。
密着した塗膜は剥がれにくくなり、長持ちにつながります。
サビを取るという作業も、外壁塗装の下地処理においては重要な作業です。
ケレン作業はサビの進行具合で4種類に分かれます。
1種ケレン
表面に研磨剤を吹き付けるブラスト工法で、ひどく腐食が進んだサビを除去する作業です。
橋や船で行われることが多く、一般住宅で行われることありません。
2種ケレン
電動工具を用いて広範囲に広がっているサビと古い塗膜全てを除去する作業です。
3種ケレン
手工具を用いて部分的なサビや塗膜を除去する作業です。
4種ケレン
紙やすりなどで表面の小さなサビや汚れを落とす作業です。
各ケレン工事の費用の相場は以下の通りです。
1種ケレン 3,000〜4,000円
2種ケレン 1,500〜2,000円
3種ケレン 600〜1,000円
4種ケレン 200〜400円
※1種ケレンは一般住宅では行われることはありません。
塗料

使用する塗料の違いによって、金額も大きく変わってきます。
塗料の種類のことを「グレード」とも言います。
金額や耐用年数、遮熱効果があるものや弾性のものなど、多種多様な塗料が多くのメーカーから発売されています。
ここでは代表的な5つの塗料の相場や特徴をご紹介いたします。
アクリル塗料
耐久年数:3〜5年
相場:1㎡につき1,000〜1,500円
発色が良く最も安価な塗料です。
扱いやすく、DIY用としてもよく販売されている塗料でもあります。
反面、耐久年数が短く、頻繁な塗り替えが必要です。近年では、塗り替えへの使用はあまりされなくなっています。
短期間で何度も塗り替えたい場合には選択肢に入る塗料と言えるでしょう。
ウレタン塗料
耐久年数:5〜7年
相場:1㎡につき1,800〜2,500円
密着性と弾性があり、金属や木材といった素材にも使用でき、複雑な形の外壁にも塗ることができる万能塗料です。
比較的安価で耐用年数も悪くありませんが、より効果が高く値段もそこまで変わらない塗料にシリコン塗料があり(後述)、外壁塗装においては主流な塗料ではありません。
ベランダの防水工事や雨樋といった付帯部によく使用されます。
独特なツヤ(光沢感)があるものが多いため、仕上がりがどうなるかを業者に確認しておくことをおすすめします。
シリコン塗料
耐久年数:7〜10年
相場:1㎡につき2,500〜3,500円
低汚染性があるため汚れにくく、耐候性もあるため日差しや雨に強い塗料です。
さらに、防水しながら湿気を家の外に出す透湿性にも優れており、耐用年数も比較的高いことから、よく外壁塗装で使われている人気塗料です。
ただしシリコン塗料は、柔らかなウレタン塗料とは違い、塗膜は硬く、ひび割れが起きやすい塗料でもあります。
ひび割れが起きやすいモルタルやコンクリート壁にシリコン塗料を使う場合は、弾性塗料タイプのシリコン塗料を選んだり、そのほかの弾性を持つ塗料を選んだりすることをおすすめします。
フッ素塗料
耐久年数: 13〜15年
相場3,500〜5,000円
耐候性と耐久性に優れ、酸性雨や紫外線に対しとても強く、あらゆる気候に対応できる塗料です。
一番の特徴は耐久年数の長さです。比較的高価な塗料ですが、長持ちする塗料である分、将来的に塗り替えが少なくて済み、外壁塗装にかかる費用も少なくなることも。
東京スカイツリーやレインボーブリッジにも使用されており、耐久性は折り紙付きです。
水と密着しやすい性質があるため、雨が降った際には汚れも流れ落ちていきます。
デメリットとしては、塗膜の硬さでひび割れが起きやすいこと、値段が高いことです。
値段の高さや紫外線への強さを考慮して、屋根への塗装に使用されることも多くあります。
また、フッ素塗料はツヤありのものしかありません。ツヤが気になる方は、別の塗料を検討しましょう。
無機ハイブリッド塗料
耐久年数:15〜25年
相場:1㎡につき4,000〜5,500円
無機ハイブリッド塗料は、鉱物やガラスといった無機物を配合した塗料です。
前述のアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などの塗料は、炭素が含まれている有機塗料であり、紫外線によって徐々に劣化してしまいます。
無機物は紫外線で劣化することは無いため、無機ハイブリッド塗料はかなりの耐久性を有します。
無機ハイブリッド塗料という名前の通り、有機物も含まれています。そのままでは固すぎて塗ることができないため、最低限の量の有機物も配合されているのです。
特徴としては、高耐久性のほか汚れがつきにくく、雨で汚れが流れ落ちること、カビ・コケが発生しにくくなること、燃えにくい性質であることが挙げられます。
反面、硬さがあるため割れやすいこと、高額であること、ツヤありのものしかないことがデメリットとして挙げられます。
圧倒的な耐久年数を誇るため、長く住む予定で、しっかりとお家を劣化から守りたい方は、無機ハイブリッド塗料のような比較的高価な塗料を選ぶことをおすすめします。
業者の形態

塗装工事の契約をする業者の形態によっても費用は変動します。
同じ工事であっても、中間マージンが発生するか、アフターケアに対応しているかといった違いから、費用に幅が出ます。
失敗しない塗装工事をするためには、どの業者に工事を依頼するか?といった観点も重要です。
以下、業者の特徴についてご紹介していきます。
大手ハウスメーカー
品質:良い
相場:約180〜200万円
ハウスメーカーはお家の内外のリフォーム工事を幅広く行っています。
知名度から信頼感があり、施工品質やアフターケアが充実しています。
しかし、広告費用がかかるなど、工事は下請けなど外注業者に頼むため、中間マージンが発生し、費用が高くなります。
リフォーム営業会社
品質:注意が必要
相場:約150〜200万円
リフォーム営業会社は、訪問営業を主とする会社です。
営業マンの対応が丁寧など、サービスが豊富な点や、外壁塗装以外の工事も頼むことができ、わざわざ別の業者に工事をお願いする手間がかからない点がメリットです。
しかし、工事は下請けに任せるため、中間マージンが発生します。
また、外壁塗装に対しての実績があるとは限らないため、質の高い塗装工事をしてくれるかわからない点に注意です。
塗装専門店
品質:良い
相場:約80〜150万円
塗装専門店は塗装の実績も豊富で、塗装工事の質は安定しています。
ただし、補修工事等が必要な際は、下請けに頼むことが多くなり、値段も高くなってしまうことがあります。
塗装工事を中心に工事をしたい場合には、塗装専門店にお願いすることをおすすめします。
個人営業職人
品質:職人にとってばらつきがある
相場:60万〜120万円
個人営業職人は中間マージンが発生することなく安く施工することができます。
ただし、会社・店舗等と比較すると保証がつかない場合があったり、職人さんの腕次第で工事品質が変わったりしてきます。
相場費用の注意点〜悪徳業者を避けるには?〜

塗装工事は素人目には判断しにくいことも多いため、中には手抜き工事や不当な料金の見積りなどを行う業者がいます。
そんな悪徳業者に工事を依頼して被害に遭わないよう、悪徳業者を見抜くための注意点を費用の観点からご紹介します。
複数の見積もりを取る
複数の業者から見積もりを取ることを「相見積もり」といいます。
相見積もりを取ることによって、金額や業者の説明を比較することができます。
初めての見積もり、久しぶりの見積もりだと、提示された金額が妥当かどうか判断し辛い所があります。
そこで相見積もりによって、一社だけではなく、複数の業者の見積もりの金額や説明を比較することで、工事金額に妥当性があるか、業者が信用できるかどうかを判断しやすくなります。
相見積もりのポイントは、「同じ希望条件で見積もりを依頼すること」です。
例えば、「外壁塗装のみ」の工事と「外壁塗装+屋根塗装」の工事とでは金額に違いができます。
条件に違いがあれば見積もりの金額も変わってしまい、単純な比較ができなくなってしまうということです。
見積もりを依頼する業者は、3社くらいをおすすめします。
1社や2社だけでは金額の比較がしにくく、4社以上だと見積もり依頼や調査に応対する手間がかかってしまい、少し大変だからです。
また、それぞれの業者から説明を受けることで、お家や工事に対する知識が身に付きます。
「塗装工事の費用は大体これくらいかかる」というおおよその金銭感覚を掴むこともできます。
見積もりを出した際に業者がわかりやすく説明してくれるか、質問をした際にうやむやにしないできちんと受け答えしてくれるか、といったことも、信用に足る業者かを判断する重要なポイントです。
使用する塗料や劣化状況によっては、今後も定期的に工事を行っていくかもしれません。
適切な金額がどれくらいか、質問にも真摯に細かく対応してくれる業者はどこなのかを探すためにも、相見積もりを行うべきです。
見積もりの「一式」について

業者から貰った見積もりの中には「〇〇一式」と記載されているものがあります。
これは、正確な長さや大きさを測ることが難しい場合に使われる表記です。
業者ごとに見積書の書き方が異なるため、相見積もりの際は少し戸惑うこともあるかと思います。
ひび割れの補修などの下地処理や養生の「一式」記載は問題ありません。
しかし、mや㎡で表せるものが「一式」で記載されていたり、工事内容が具体的に明記されていなかったりするものは注意が必要です。
例えば、下記の表記をご覧ください。
- 塗装工事 シリコン 一式 ○万円
- 外壁塗装(下塗り) 〇〇シーラー ○㎡ 単価○円 金額○円
外壁塗装(中塗り) 〇〇シリコン ○㎡ 単価○円 金額○円
外壁塗装(上塗り) 〇〇シリコン ○㎡ 単価○円 金額○円
①では、どんな工事を行い、何がどれくらい値段がかかったのかよくわかりません。
②では、どんな塗料を使うのか、計測した面積と単価から金額が割り出されていて、わかりやすい見積もりになっています。
工事金額は、建物の長さや高さを正確に計測した上で算出されるものです。
一式を多用している見積もりは、きちんと面積や長さを把握して金額を出しているか分かりません。
「一式」と書かれてあり、その内訳が不透明な際は「なぜこの金額になっているのか、詳しく教えてもらいたい」と質問するようにしましょう。
金額がどのように算出されたかはっきり答えてくれない業者に工事を頼むのは、あまりおすすめできません。
大幅な値下げ
「今だけ50%半額!」
「特別に30%オフで工事ができます!」
このような訪問販売のセールストークや過剰な値引きに注意しましょう。
外壁塗装の内訳についてでも述べた通り、塗装工事にかかる諸費用には、基本はそれだけの費用になる理由があります。
工事を行うために必要な材料代や職人さんの人件費など、工事の品質を維持するためには欠かせない部分であり、大幅な値下げすることはできないのです。
このような大幅値下げは「あえて高い金額の見積もりを出して、『値下げ』と称して普通の相場価格に下げることでお得感を演出している」というケースが多いです。
契約を急かすような文言には重々注意し、「なぜ値下げができるのか?」ということについての確認を徹底するようにしましょう。
何かの記念で「おひとり様限定!」などの特別な理由が無い限り、大幅な値引きには警戒しておいた方が良いです。
ただ、値引き自体が悪い訳ではありません。
少しであれば、業者の利益分を差し引いてなんとか値引きに応じてくれる業者もいます。
工事品質を維持しながらの値引きであれば、最大でも10%ほどが値引きの限度額です。
「どうしても費用を抑えたい…」という方は業者に相談しましょう。
お住まいの地域では、助成金や補助金が利用できるかもしれません。
助成金・補助金の制度の探し方、申請についてはこちらの記事をご覧ください。
足場代は減らせない

足場代は塗装工事の内訳の約20%を占めます。
足場代が無料になれば100万円の工事が約80万円になるので、とてもお得に感じられるでしょう。
しかし、足場代が無料になることはほとんどありません。
実は、足場は「足場の組立て等作業主任者」という国家資格を持つ監督者がいないと組み立てられません。
足場を組み立てられる専門の業者に依頼するため、中間マージンや人件費が発生します。
中には自社で足場が組める塗装業者もいますが、どちらにせよ、足場の組み立てには運搬費や人件費といった諸費用がかかってきます。
こうした費用を0円にすることは難しいです。
「足場代が無料!」にも当然、裏があります。
足場代を無料にしている分、他の費用に上乗せというケースが多いです。
足場代も特別な理由が無い限り無料にならないものです。
無料になるからといってすぐに連絡を取ったり即決したりするのはやめておいた方がいいでしょう。
気になるようでしたら業者に確認を取るようにしましょう。
高所での工事がある際は足場代がかかってしまいます。
なので、外壁塗装と屋根塗装を別々の時期に行うよりも、セットで工事契約をすれば足場にかかる費用が1回分で済み、お得になります。
費用とともに大事なポイント

相場費用を知った上で、なるべく安く、信頼できる業者に任せたい…とお思いの方は決して少なくないはずです。
その観点も大事ですが、失敗しない塗装工事をするためには、もう一つ重要なポイントがあります。
それは「家の将来を考えた上で、何を目的に塗装をするのか」という点です。
「これからも家に住むつもりだから、家の劣化を直し、きれいに塗り替えたい」
「子どもに継いでもらいたいと思っているから、長持ちさせるために塗装工事をしたい」
このようなご要望がおありでしたら、シリコン塗料やフッ素塗料、無機ハイブリッド塗料のような、耐久年数が高くお家の寿命を延ばすことに適した塗料が選択肢に入ります。
予算はそれなりに高く設定していた方が良いでしょう。
また、外壁のみならず、日差しで劣化しやすい屋根も同時に塗装するといったことも考えられます。
こうした場合、一度の工事にかかる費用は高くなってしまうものですが、メンテナンスの工事の回数が減ることで将来的には割安になります。
「定期的に外壁の色を変えることで気分転換したい」
「数年後に引っ越す予定がある」
このような場合であれば、無理に高価な塗料を使う必要はありません。
比較的安価な塗料を使用して、工事を安く済ませてしまっても問題ないかと思います。
数年先、10年先、20年先のお家がどうなっているか、どうなっていたいかによって、塗料の選び方や適切な工事内容は変わります。
つまり、工事内容が変わるということは、費用にも当然違いが出てくるということです。
費用にだけ目を向けてしまいがちですが、「こちらが求めている要望を聞き入れて、適切な工事をしてくれるか?」という点も重視して業者選びを行っていくことをおすすめします。
こちらの要望を汲み取って最善の工事を真摯に提案してくれるかどうかも、優良業者を見分ける一つのポイントであり、自分が納得のいく工事を行うことに繋がります。
分からないことはできるだけたくさん質問しましょう。
どうせお金がかかる工事をやるなら、有意義な工事にしていきたいものです。
大切なお家の将来のことについてお伝えした上で、塗装工事のプランをプロの業者と一緒に考えていきましょう。
信頼のできる業者であれば、ヒアリングとこれまでの実績から最適の工事を提案してくれるはずです。
まとめ
外壁塗装の相場費用や変動、内訳、悪徳業者を避けるための注意点、外壁塗装をするにあたって大事なポイントをご紹介しました。
以下、今回の記事のまとめになります。
- 外壁塗装の相場は80万円〜150万円(※一般的な二階建ての住宅の場合)
- 費用の内訳は材料費が約20%、人件費で約30%、足場代で約20%、その他の費用で約30%
- 費用の変動の例として「家の大きさ」「劣化」「塗料」「業者の形態」が挙げられる。
- 悪徳業者を避けるポイントとしては
「相見積もりを取って金額・業者比較をすること」
「『一式』に注意」「大幅な値下げや足場代無料を疑う」 - 適切な費用とともに、将来的にお家をどうするか、どうしたいかで塗装工事を考えることも大事
失敗しない塗装工事を行うには、適正価格はおおよそどのくらいか、費用が変動するものは何か、悪徳業者の特徴は何か、何を目的に塗装工事をするかなどを把握した上で考えていくことが好ましいです。
相見積もりを行い、どの業者に依頼するか迷った時は、計算で大まかな料金を出して確かめてから判断すると安心です。
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