
はじめに
アパートの第一印象は「外観」で決まります。
現代の入居者探しは、インターネットのポータルサイトが主流です。無数の物件写真が並ぶ中で、まず目に留まり、「クリックして詳細を見たい」と思わせる力、それが外観の魅力です。入居者の多くは物件を内見する前に、その外観の雰囲気で“住みたいかどうか”を無意識のうちに判断していると言われています。そんな中、「築年数が経って古く見える」「他の物件と比べて印象が薄い」「おしゃれにリフォームしたいけど、どうすればいいか分からない」と悩むオーナー様も多いのではないでしょうか。
この記事では、アパートの外観をおしゃれに一新するための「色選び」「デザイン」「素材」「費用対効果」のすべてを徹底的に解説します。空室対策と資産価値向上を目指すオーナー様必見。リフォームや外壁塗装で失敗しないためのプロの視点を、実例を交えながら詳しく紹介します。
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1. アパートの外観が“おしゃれ”に見える理由とは?
なぜ外観のデザインが、入居率や物件の資産価値にまで大きく影響するのでしょうか。まずは、おしゃれな外観が持つ「力」とその心理的効果について深く掘り下げます。

1-1. 第一印象で差がつく「おしゃれな外観」の心理効果
アパートの外観は、建物の“顔”であり、オーナー様の“管理意識”を映し出す鏡でもあります。
例えば、あなたが新しい服を買いに行ったとします。同じ品質・同じ価格の服が2着あり、一方はきれいにアイロンがけされてショーウィンドウに飾られ、もう一方はしわくちゃで埃をかぶって隅に置かれていたら、どちらを手に取るでしょうか。答えは明白です。
物件探しも全く同じです。清潔感があり、統一感のあるデザインのアパートは、入居希望者に対して次のようなポジティブなメッセージを発信します。
外観の印象 | 入居者が感じるイメージ(心理) |
---|---|
明るく清潔な外観 (例:ホワイト、アイボリー系、ツヤのある塗膜) | 「管理がしっかり行き届いているな」「住みやすそう」「トラブルが少なそう」という安心感。 |
モダンで落ち着いた外観 (例:グレー、ネイビー、チャコール系) | 「防音性や耐久性が高そう」「プライバシーが守られそう」「住人の質も良さそう」という信頼感。 |
汚れや色あせが目立つ外観 (例:カビ、コケ、ひび割れ、チョーキング) | 「老朽化している」「清掃や管理が不十分」「家賃が安くても住みたくない」という不安感・嫌悪感。 |
アメリカの犯罪心理学で「割れ窓理論(Broken Windows Theory)」というものがあります。窓ガラスが1枚割れたまま放置されている建物は、やがて他の窓も割られ、ゴミが捨てられ、犯罪の温床になりやすいという理論です。これはアパート経営にも当てはまります。外壁の汚れや剥がれを放置することは、「この物件は管理されていません」という負のシグナルを発信し、入居者の質やマナーの低下、さらには空室率の増加を招く危険性があるのです。
1-2. 外観リフォームがもたらす具体的な入居率改善データ
外観の改善は、単なるイメージアップに留まりません。スターペイントが過去に施工したオーナー様への追跡調査では、外観(外壁塗装・共用部含む)のリフォームを実施した後、入居率が平均して15%〜25%向上したというデータが確認されています。特に、周辺の競合物件が未塗装で古い外観のままである場合、その効果は絶大です。
例えば、埼玉県で築25年のアパート(全12戸)を所有するオーナー様は、空室が4戸続いていました。家賃を下げても埋まらなかったため、思い切って外壁塗装とエントランスのリフォームを実施。ネイビーとホワイトのモダンなツートンカラーに一新し、集合ポストもデザイン性の高いものに交換しました。その結果、リフォーム完了後わずか2ヶ月で満室となり、さらに家賃を3,000円アップしても入居希望者が途絶えない状態になりました。
このように、アパート経営において外観は「デザイン(おしゃれさ)」と「清潔さ(管理意識)」の両輪が重要であり、これらを改善することは、空室対策における最も強力な武器の一つとなります。
2. アパートの外観デザインをおしゃれにする3つのポイント
「おしゃれにしたい」と思っても、具体的に何から手をつければ良いのでしょうか。デザインの方向性と配色、そして素材感のバランスを明確にすることが、成功への第一歩です。
2-1. ポイント1:デザインコンセプトを明確にする(ターゲットと立地)
最も重要なのが「誰に住んでもらいたいか」を明確にするデザインコンセプトの策定です。ターゲット層やアパートの立地によって、好まれるデザインは大きく異なります。
ターゲット層 | 立地(例) | おすすめデザイン | 配色傾向 |
---|---|---|---|
単身者(学生・社会人) | 駅近・大学周辺 | シンプル・モダン スタイリッシュ | グレー、ネイビー、ホワイト、ブラック。シャープな印象。 |
ファミリー層 | 郊外・住宅街 | 温かみのあるナチュラル オーソドックス | ベージュ、ブラウン、アイボリー、アースカラー系。安心感。 |
高級志向・Dinks | 都心・人気エリア | スタイリッシュ・重厚感 デザイナーズ | ブラック、チャコールグレー、シルバー、木目調アクセント。 |
女性単身者 | 駅近・セキュリティ重視 | 柔らかく上品 南欧風(プロヴァンス風) | グレージュ、アイボリー、テラコッタ(レンガ色)。清潔感と安全性。 |
2-2. ポイント2:素材と質感で“高見え”を実現する
色は簡単に変えられますが、「素材感」や「質感」はデザインの高級感を左右する重要な要素です。アパートでよく使われる外壁材と、その印象を変える方法を見てみましょう。
- サイディング(窯業系・金属系) 現在のアパートで最も主流な外壁材。色や模様のバリエーションが非常に豊富です。塗装リフォームの際、既存のサイディングが比較的状態が良ければ、塗装で色を変えるのが最もコスト効率が良いです。ただし、ベランダ部分や1階部分だけを新しい金属サイディングや木目調サイディングに「張り替える」または「重ね張り(カバー工法)」するだけで、劇的にモダンな印象に変わります。
- モルタル 築年数の古いアパートに多い、塗り壁仕上げ。温かみのある質感が特徴ですが、ひび割れ(クラック)が起きやすいのが難点。塗装の際は、ひび割れを徹底的に補修(Vカット・Uカット工法)した上で、弾性塗料(ひび割れに追従する塗料)を選ぶことが必須です。
- ALC(軽量気泡コンクリート) 耐久性・断熱性・防音性に優れるため、中層アパートでよく使われます。パネルの継ぎ目にある「シーリング(コーキング)」のメンテナンスが非常に重要です。
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【プロの技】意匠性塗料でコストを抑えて高級感を出す
「タイル張りのような重厚感は欲しいが、張り替えは予算オーバー」というオーナー様にスターペイントが推奨するのが、「意匠性塗料(多彩仕上げ塗料・石調塗料)」です。
- 多彩仕上げ塗料(サイディング用) 単色で塗りつぶすのではなく、2色以上(または色のチップ)が含まれた塗料で、サイディングの凹凸感を立体的に見せることができます。新築時のような高級感が蘇ります。
- 石調塗料(モルタル・ALC用) 細かい石の粒が含まれており、吹き付けることで御影石のような重厚な質感に仕上げられます。エントランス周りや建物の基部に使うだけで、全体のグレードが格段にアップします。
これらの塗料は、一般的なシリコン塗料よりは高価ですが、外壁材を張り替えるよりもはるかに低コストで「高見え」を実現できるため、費用対効果が非常に高いリフォーム手法です。
2-3. ポイント3:共用部・付帯部で「引き締める」
おしゃれな外観は「外壁の色」だけで決まるのではありません。むしろ、玄関ドア、階段、手すり、雨樋(あまどい)、破風板(はふいた)といった「付帯部」の色使いが、全体の印象を大きく左右します。
よくある失敗は、外壁をきれいな色に塗り替えたのに、玄関ドアや手すりの色がバラバラだったり、塗装が剥げたままだったりするケースです。これではすべてが台無しです。
成功の秘訣は「付帯部をアクセントカラーで統一する」こと。
例えば、外壁が「ベージュ×ブラウン」のナチュラル系なら、手すりや雨樋は「ブラウン」で統一。外壁が「グレー×ホワイト」のモダン系なら、手すりや玄関ドア枠を「ブラック(マットブラック)」で引き締めると、一気に洗練された印象になります。

3. おしゃれなアパート外観の人気配色パターン
色の選び方ひとつで印象は激変します。入居者に選ばれ続ける「定番の配色」と、競合物件と差をつける「トレンドの配色」を、色彩心理学の観点も交えて解説します。
3-1. 定番で失敗しない!入居者に安心感を与える落ち着いた配色
アパートは長く住む場所です。奇抜すぎるデザインよりも、多くの人に受け入れられる「安心感」と「清潔感」のある配色が、結果的に高い入居率を維持します。
パターン1:グレー × ホワイト(清潔感・スタイリッシュ)
- 印象: 清潔感、都会的、洗練、クール。
- 特徴: 最も失敗が少なく、汚れが目立ちにくい組み合わせの一つ。グレーは中間色(無彩色)であるため、どんな街並みにも調和します。白が清潔感を、グレーが落ち着きを演出します。付帯部を黒で引き締めると、よりモダンになります。
- スターペイントのおすすめ: 汚れが気になる交通量の多い立地や、単身者・Dinks向け物件に最適です。
パターン2:ベージュ × ブラウン(温もり・親しみやすい)
- 印象: 温かみ、安心感、ナチュラル、安らぎ。
- 特徴: 土や木を連想させるアースカラーの組み合わせ。ファミリー層に絶大な人気を誇る王道の配色です。ベージュをベースに、バルコニーや1階部分に濃いブラウン(茶色)を合わせることで、安定感と高級感が生まれます。
- スターペイントのおすすめ: 郊外の住宅街にあるファミリー向け物件、または女性入居者を意識した物件に。
パターン3:ネイビー × ホワイト(モダン・高級感)
- 印象: 知的、信頼感、高級感、シャープ。
- 特徴: 近年、戸建てでも人気の高い配色。濃いネイビー(紺色)は、ブラックよりも柔らかく、かつ重厚感を演出できる色です。ホワイトをアクセントに使うことで、重くなりすぎず、清潔感とメリハリが生まれます。
- スターペイントのおすすめ: 若年層の社会人や学生向け物件。競合との差別化を図りたい場合に有効です。
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3-2. トレンド感を出す!競合と差がつく個性派デザイン
「ありきたり」を脱し、ポータルサイトの写真で目を引くためのトレンド配色です。ただし、アクセントとして部分的に取り入れるのが成功のコツです。
パターン4:ブラック(チャコールグレー) × 木目調
- 印象: 最高級、重厚、デザイナーズ、プライベート感。
- 特徴: 全体をブラックや濃いチャコールグレーで統一し、エントランス周りやバルコニーの一部に「木目調」のサイディングやシートをアクセントとして加えるデザイン。非常に高級感が出ます。
- スターペイントのおすすめ: 高めの家賃設定が可能なエリア、デザイナーズアパートとして打ち出したい場合に。ただし、黒は熱を吸収しやすく、汚れ(砂埃など)が目立ちやすいデメリットもあるため、塗料の性能(遮熱性・低汚染性)が重要です。
パターン5:ホワイト × グレージュ
- 印象: 柔らかく上品、優しい、ニュアンスカラー。
- 特徴: グレージュとは、グレーとベージュの中間色。冷たすぎず、温かすぎない絶妙な色合いが、洗練された上品さを演出します。ホワイトと組み合わせることで、明るく開放的ながらも落ち着いた印象に仕上がります。
- スターペイントのおすすめ: 女性専用アパートや、おしゃれなカフェが似合うような街並みに。
3-3. ツートンカラー(2色分け)成功の法則
ツートンカラーは、アパートの外観にメリハリをつける定番の手法ですが、色の分け方にはセオリーがあります。
- 上下で分ける(1階と2階) 最もオーソドックスな方法。1階を濃い色(ブラウン、グレー)、2階を明るい色(ベージュ、ホワイト)にすると、建物に安定感が出ます。
- 縦のラインで分ける(建物の角、中央) 建物の出っ張った部分(バルコニーなど)や、逆にへこんだ部分(階段室など)で色を変えると、建物が立体的でスタイリッシュに見えます。
- 配色の黄金比率 ベースカラー(壁面の大部分):70% アソートカラー(もう1色):25% アクセントカラー(玄関ドア、手すりなど):5% このバランスを意識すると、まとまりのあるデザインになります。
4. 築年数別・おしゃれ外観へのリフォーム戦略
アパートの築年数に応じて、外壁の劣化状況や必要なメンテナンスは異なります。築年数に応じた最適な改修方法を選ぶことが、コストを抑えて効率的に印象を変える秘訣です。
4-1. 築10〜20年のアパート:塗装によるイメージチェンジ
- 典型的な劣化症状:
- チョーキング(手で触ると白い粉が付く)
- シーリング(コーキング)のひび割れ、肉やせ
- 軽微なひび割れ(ヘアクラック)
- 色あせ、カビ、コケの発生
- リフォーム戦略: この時期は、外壁材そのものの劣化はまだ深刻ではありません。最もコストパフォーマンスが高いのは「外壁の再塗装」です。 前回の塗装が単色だった場合、このタイミングで「ツートン化」や「アクセントカラー」を取り入れることで、コストを抑えながら新築時とは全く異なるおしゃれな外観に刷新できます。 スターペイントの視点: この時期に最も重要なのは「シーリングの打ち替え」です。塗装の前に古いシーリングをすべて撤去し、新しい高耐久シーリング材を充填することで、建物の防水性能が格段に向上します。この下地処理を怠ると、いくら良い塗料を塗っても数年で雨漏りの原因となります。
4-2. 築20〜30年のアパート:補修+デザインリニューアル
- 典型的な劣化症状:
- 塗膜の膨れ、剥がれ
- 深いひび割れ(構造クラック)
- サイディングの反り、浮き
- 金属部分(階段、手すり)のサビ、腐食
- リフォーム戦略: 塗装だけでは対応しきれない劣化が出始める時期です。状況に応じて、塗装以上のリフォームを検討します。 ① 徹底した下地補修+再塗装: 劣化が軽微であれば、ひび割れの補修、サイディングの部分交換などを行った上で、高性能な塗料(シリコン以上)で再塗装します。 ② サイディング重ね張り(カバー工法): 既存の外壁(特にモルタルや古いサイディング)の上から、新しい軽量の金属サイディングや窯業系サイディングを重ね張りする工法。塗装よりも費用はかかりますが、デザインを一新でき、断熱性や防音性が向上するメリットがあります。 ③ サイディング張り替え: 既存の外壁をすべて撤去し、下地(防水シート)からやり直して新しい外壁材を張る工法。最も費用がかかりますが、新築同様の外観と性能を取り戻せます。下地の腐食が疑われる場合は必須です。
4-3. 改修方法別 費用目安と効果の比較(30坪・2階建てアパートの場合)
改修方法 | 費用目安 | 効果・メリット | デメリット |
---|---|---|---|
外壁再塗装 (シリコン塗料) | 約80〜120万円 | ◎ 美観回復・耐久性UP ◎ コストが安い | △ 下地の劣化が激しいと不可 |
タイル調・石調仕上げ塗装 | 約100〜140万円 | ◎ 高級感・防汚性UP ◎ 張替えより安い | △ 通常塗装より高い |
サイディング重ね張り (カバー工法) | 約150〜200万円 | ◎ デザイン刷新・断熱性UP ◎ 工期が短い | △ 建物の重量が増える △ 下地の状態が確認不可 |
サイディング張り替え | 約180〜250万円 | ◎ 新築同様・下地から一新 ◎ 建物の寿命が延びる | × コストが高い・工期が長い |
※上記費用には足場代が含まれます。アパートの形状や階数、劣化状況により変動します。
5. リフォーム費用と投資効果(ROI)の考え方
外観リフォームは単なる「支出」ではありません。入居率と家賃を維持・向上させ、将来の収益性を高めるための「投資」です。費用対効果(ROI)を意識することが、アパート経営成功の鍵です。
5-1. 改修内容別 費用目安と期待できる投資効果
リフォーム費用を「何年で回収できるか」という視点を持ちましょう。
- 外壁再塗装(約80〜120万円) 効果: 美観回復、防水性向上。 投資効果(例): 空室率が20%(例:10戸中2戸空室)改善した場合。家賃6万円なら月12万円の収益改善。投資回収期間は約7〜10ヶ月。 さらに、塗装により「家賃を3,000円アップ」できれば、回収期間はさらに短縮されます。
- 外壁張り替え(約150〜250万円) 効果: 新築同様の印象、資産価値そのものの向上、断熱性改善による入居者満足度UP。 投資効果(例): 塗装では埋まらなかった空室が埋まり、さらに「家賃を5,000円アップ」できた場合。空室2戸改善(月13万円)+既存8戸の家賃UP(月4万円)=月17万円の収益改善。投資回収期間は約9〜15ヶ月。
- アクセント塗装・部分改修(約30〜50万円) 効果: エントランス周りや1階部分など、目立つ箇所だけを意匠性塗料や木目調サイディングで改修。手軽に印象を一新できます。 投資効果(例): 全面塗装の予算がない場合の「応急処置」兼「イメージアップ」として。低コストで内見率を上げる効果が期待できます。
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5-2. 投資効果を最大化する3つのポイント
同じ費用をかけるなら、投資効果を最大化しなくてはなりません。
ポイント1:ターゲットに合わせたデザイン選定
前述の通り、ファミリー向け物件にブラック基調のデザイナーズ風塗装をしても、入居者には響きません。投資(リフォーム費用)を誰に向けるのか、その「ペルソナ」を明確にすることが最も重要です。
ポイント2:周辺物件との「差別化」を意識する
ポータルサイトで、あなたの物件の「左右」に表示される競合物件を研究してください。もし周辺がベージュやグレーの似たような物件ばかりなら、あえてネイビーやツートンカラーを選ぶことで、外観写真が際立ち、内見率・成約率が劇的に上昇します。
ポイント3:長期視点のメンテナンス性(塗料選び)
リフォームは「支出」ではなく「収益改善投資」です。最大のコストは「足場代」(1回15〜20万円)です。 目先の費用をケチって安価な塗料(例:ウレタン塗料/耐用年数7年)を選ぶと、7年後にまた足場を組んで塗装が必要になります。 一方、高耐久な塗料(例:フッ素塗料/耐用年数15年)を選べば、次の塗装は15年後です。 15年間で見た場合、ウレタンは2回以上の塗装が必要(費用×2)ですが、フッ素なら1回で済みます。初期費用は高くても、長期的なトータルコスト(ライフサイクルコスト)は高耐久塗料の方が圧倒的に安くなるのです。 これが「投資」としてのリフォームの正しい考え方です。
6. 外観リフォームで失敗しないための注意点・よくある失敗例
「こんなはずじゃなかった」を防ぐために。オーナー様が陥りがちな失敗例と、それを防ぐための具体的な対策を、プロの視点から解説します。
よくある失敗例 | 原因 | スターペイントの防止策 |
---|---|---|
① 思っていた色と違う (明るすぎる・暗すぎる・汚く見える) | ・小さな色見本帳だけで決定。 ・「面積効果」の無理解。 ・太陽光下での確認不足。 | ・必ずA4サイズ以上の塗り板(サンプル板)で確認。 ・PCでのカラーシミュレーションで全体のイメージを掴む。 ・晴天時と曇天時、朝と夕方でサンプル板を現地で確認する。 |
② 派手すぎて浮いている (近隣からクレーム) | ・オーナー様の好み優先。 ・周辺環境(街並み)との不調和。 ・景観条例の確認漏れ。 | ・プロが現地調査し、街並みに調和しつつ差別化できる色を提案。 ・アクセントカラーは壁面積の10%程度に抑え、上品に仕上げる。 |
③ 安価な塗料で3年で劣化 (ツヤがなくなり、汚れが目立つ) | ・「シリコン塗料」という名前だけで判断。 ・コスト最優先で耐久性を無視。 | ・「シリコン」にもランクがあることを説明(1液型より2液型が高耐久など)。 ・長期投資の観点から、最低でもラジカル制御型シリコン、推奨はフッ素・無機塗料と、その費用対効果を説明する。 |
④ ムラ・剥がれが発生 (施工品質が低い) | ・下地処理(高圧洗浄、補修)の手抜き。 ・塗料の希釈率、乾燥時間の不徹底。 | ・自社専属の職人による施工管理。 ・メーカー規定の塗布量・乾燥時間を厳守。 ・施工工程を写真で報告し、透明性を確保。 ・最長10年以上の「施工保証」を発行する。 |
【特に注意】色の「面積効果」とは? 色は、見る面積によって明るさや鮮やかさが違って見えます。 ・明るい色(白など) → 小面積より大面積の方が、より明るく見える。 ・暗い色(黒など) → 小面積より大面積の方が、より暗く重く見える。 ・鮮やかな色(赤など) → 小面積より大面積の方が、より鮮やかに(派手に)見える。 色見本帳(小さい)で「ちょうどいい」と思った色は、壁全体に塗ると「思ったより明るすぎる(派手すぎる)」と感じるケースが非常に多いため、必ずA4サイズ以上のサンプルで確認することが成功のカギです。
7. 地域別・気候特性から見るおすすめ外観デザイン
デザインは、地域の気候や特性に合わせることで、美観をより長く保つことができます。地域別の推奨デザインと塗料機能を紹介します。
- 北海道・東北(寒冷地・積雪地域) 特徴: 凍害(水分が凍って外壁を破壊する)、積雪による汚れ。 配色例: グレー×ブラウン、ベージュ×ブラウン。 ポイント: 雪解け水の汚れが目立ちにくい「中間色(グレー、ブラウン)」が人気。温かみのあるアースカラーも好まれます。塗料は、水の侵入を防ぎ、ひび割れに追従する「弾性塗料」や、凍害に強い塗料を選ぶことが重要です。
- 関東・関西(都市部・太平洋側) 特徴: 排気ガスや砂埃による汚れ、夏の猛暑。 配色例: ホワイト×チャコール、ネイビー×ホワイト。 ポイント: 都会的で洗練されたモダンな印象が好まれます。汚れ対策として、雨で汚れを洗い流す「低汚染(セルフクリーニング)塗料」が必須。また、最上階の入居者満足度向上のため「遮熱塗料」を選ぶオーナー様が急増しています。
- 九州・沖縄(台風・塩害・日差しが強い地域) 特徴: 強い紫外線、台風による飛来物、潮風による塩害。 配色例: ホワイト×ブルー、アイボリー×テラコッタ。 ポイント: 日差しに映える明るく開放的な配色が人気。塗料は、紫外線による色あせに最強の耐性を持つ「フッ素塗料」や「無機塗料」が最適。塩害地域では、サビに強い塗料選びと、金属部の入念な下地処理(ケレン作業)が必須です。
- 日本海側・北陸(多湿・雨が多い地域) 特徴: 湿度が高く、日照時間が短い。カビやコケが発生しやすい。 配色例: グレー系、ベージュ系。 ポイント: 塗料の選定が最も重要。強力な「防カビ・防藻剤」が配合された塗料を選ぶことで、北側や日陰部分の美観維持性能が格段に変わります。
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8. 塗料性能と美観維持の関係(高性能塗料のすすめ)
「おしゃれな外観を、いかに長く保つか」これは投資効果に直結する問題です。塗料の性能を正しく理解し、物件の立地に最適なものを選ぶことが不可欠です。
8-1. 塗料の種類別 耐久性と美観維持力
アパート塗装で現在主流の塗料を比較します。
塗料の種類 | 特徴 | 耐久年数(目安) | 美観維持力 |
---|---|---|---|
シリコン塗料 | コストと性能のバランスが良く、標準的。 | 約10〜12年 | ◎(標準) |
ラジカル制御型塗料 | シリコンの弱点(紫外線)を克服。コストはシリコン並。 | 約12〜15年 | ★★★(優) |
フッ素塗料 | 高耐久・高光沢・防汚性が非常に高い。 | 約15〜18年 | ★★★★(極優) |
無機塗料 | 紫外線に最強。超高耐久・超低汚染。 | 約20年以上 | ★★★★★(最高) |
【スターペイントの推奨】 アパート経営(投資)の観点からは、次の塗装までの期間を最も長く取れる「フッ素塗料」または「無機塗料」を強く推奨します。初期費用はシリコンより20〜30%高くなりますが、足場代の節約効果を考えれば、最も投資効率が高い選択です。最低でも「ラジカル制御型塗料」を選ぶべきです。
8-2. 美観を保つ最新の「付加機能」
塗料は耐久性だけでなく、美観を保つための「付加機能」で選ぶ時代です。
- 低汚染(セルフクリーニング)機能 塗膜の表面に特殊なコーティング(親水性)が施されており、汚れが付着しても、雨が降ると汚れの下に雨水が入り込み、汚れを浮かせて洗い流します。交通量が多い、砂埃が立つ立地のアパートには必須の機能です。
- 遮熱機能 太陽光の赤外線を反射し、外壁表面の温度上昇を抑える機能。特に夏場、アパートの最上階や西日が当たる部屋の室温上昇を緩和します。入居者の「エアコン代節約」や「快適性向上」につながり、空室対策として非常に有効です。
- 防カビ・防藻機能 湿気の多い地域、日当たりの悪い北側の壁、川や緑地に近いアパートでは、カビやコケが美観を著しく損ねます。強力な防カビ・防藻剤が配合された塗料を選ぶことで、長期にわたり清潔な外観を維持できます。
外観デザイン(色)とこれらの高機能塗料を両立させることで、おしゃれな外観の“見た目寿命”を、一般的な塗装の1.5倍から2倍以上に延ばすことが可能です。
9. アパートの価値を高める「外観とエントランス・外構の一体化」
“おしゃれなアパート”を完成させるための最後のピース。それは、外壁塗装と同時に「エントランス」や「外構」もトータルコーディネートすることです。入居者が毎日通る場所の印象が、物件全体の価値を決定づけます。
9-1. 外壁塗装と「同時施工」すべき共用部・外構リフォーム
高額な足場を組む機会は、外壁塗装のためだけではありません。足場があるからこそ低コストで施工できる「共用部・外構」のリフォームを同時に行うことが、賢いオーナー様の選択です。
部位 | デザインポイント | 期待できる効果 |
---|---|---|
玄関ドア(各戸) | 塗装、またはダイノックシート張り。外壁のアクセントカラー(例:黒、茶)と色を合わせる。 | 一体感・高級感UP。入居者の満足度向上。 |
階段・廊下(共用部) | 鉄骨階段や手すりのサビ止め塗装(マットブラック推奨)。廊下床面の長尺シート張り替え。 | モダンでシックな印象。安全性向上、足音軽減。 |
エントランス・集合ポスト | 集合ポストのデザイン性の高いものへの交換。照明をLEDの間接照明やダウンライトに変更。 | アパートの「顔」が洗練される。夜間の高級感・安心感UP。 |
外構(フェンス・駐車場) | フェンスの再塗装。駐車場のライン引き直し。駐輪場の整備。 | 敷地全体の清潔感・管理意識の高さをアピール。 |
植栽・ゴミ置き場 | シンボルツリーの設置。ゴミ置き場に目隠しフェンスを設置。 | 緑による安らぎ。生活感を隠し、美観を向上。 |
これらをバラバラに発注すると、その都度費用と手間がかかります。しかし、外壁塗装と同時にスターペイントのような専門業者に一括で依頼すれば、コストを抑えつつ、外壁からエントランス、外構まですべてのデザインコンセプトを統一できます。
外観・エントランス・植栽を連動させることで、ポータルサイト用の写真映えも格段に良くなり、「この物件、なんだか素敵だな」と入居者の心に残る、“選ばれる物件”へと生まれ変わるのです。
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10. コラムのまとめ
アパートの外観をおしゃれにすることは、単なる美観の向上ではありません。それは、入居率の改善、家賃の維持・向上、そして物件の資産価値そのものを高めるための「戦略的投資」です。
成功の鍵は、以下の3つをトータルで考えることです。
- デザイン戦略: 誰に住んでもらうか(ターゲット)を明確にし、周辺と差別化できる配色(定番+トレンド)を選ぶ。
- 機能性・耐久性: 目先のコストに捉われず、フッ素や無機、遮熱、低汚染といった高性能塗料を選び、長期的なメンテナンスコスト(足場代)を削減する。
- トータルコーディネート: 外壁だけでなく、エントランス、階段、外構まで一体で改修し、物件全体の「管理意識の高さ」と「高級感」を演出する。
築年数が経過したアパートでも、これらのポイントを押さえた費用対効果の高いデザイン戦略と適切なリフォームを行えば、新築同様、あるいはそれ以上の魅力を取り戻すことは十分に可能です。
スターペイントでは、全国ネットワークを活かした地域特性・気候への対応と、年間3,000件の実績に基づくプロの塗料選定・デザイン設計を組み合わせ、オーナー様の大切な資産価値を最大化するご提案をワンストップで行っています。
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さいごに
春と秋は、アパートの外壁塗装・屋根塗装のベストシーズンです! 特に、雨が少なく気温や湿度が安定している3〜5月、9〜11月は、塗料の乾燥・硬化に最適なため、品質の高い工事が期待できます。
「うちのアパートも、そろそろ塗り替え時期かも?」 「空室対策のために、外観をおしゃれにしたい!」
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