
南フランスの街並みを思わせる、やわらかな塗り壁と素焼き瓦。そんなプロバンス風の外壁色は、可愛さと品の良さの同居が魅力です。ただ、写真で見た理想の色をそのまま日本の家に当てはめると、汚れや周辺との不整合で後悔しがち。この記事では、アイボリー/クリーム/ベージュ/淡グレーを軸に、屋根・サッシ・玄関ドア・外構までトータルで整える方法を、面積効果や時間帯による見え方の差まで含めて具体的に解説。最後に、実際のご自宅写真で仕上がりを確認できる無料カラーシミュレーションや見積シミュレーションの活用先もご紹介します。
プロバンス風の外壁色とは?基本の要素と日本の家での再現ポイント
白〜淡色の塗り壁に素焼きのS瓦、アイアンやレンガの意匠——プロバンス風の“要素セット”を整理し、日本の光環境・街並みで違和感なく再現するコツを押さえます。
プロバンス風“3点セット”:塗り壁×S瓦×ディテール(アイアン/レンガ/アーチ)
プロバンス風の外壁色を語るうえで核になるのが、①塗り壁(白〜淡いクリームやベージュ)、②S瓦・スパニッシュ瓦のやわらかな陰影、③アイアン・レンガ・アーチなどの素朴な装飾です。このスタイルは、南フランス・プロヴァンス地方の、強い日差しを反射し、乾燥した気候に適応するための建築様式が起源。石灰岩から作られる漆喰の壁は、まさにその象徴です。
塗り壁は強い日差しを柔らかく受け止める高明度・低彩度が基本。単なる「塗装」ではなく、職人の手仕事を感じさせるコテ仕上げの質感が、プロバンス風の温かみを決定づけます。代表的な仕上げパターンには、以下のようなものがあります。
- スパニッシュ仕上げ(扇仕上げ):コテを扇状に動かして模様をつける、最もポピュラーな仕上げ。陰影が豊かで華やかな印象になります。
- ウェーブ仕上げ:水平または垂直に波のような模様をつける仕上げ。落ち着いた中にも動きが感じられます。
- ラフ仕上げ(スタッコ調):コテをランダムに動かし、粗く素朴な質感を出す仕上げ。カントリーテイストが強まります。
屋根はテラコッタ系の温度感で外観全体をまとめ、妻飾りや面格子などの鉄飾りがアクセントとして効きます。日本の住宅地では**“やりすぎない可愛さ”が鍵**。目立つ造形よりも、色と素材の面積配分でプロバンスらしさを演出すると失敗しません。具体的には、**外壁ベース70〜80%、屋根10〜15%、アクセント5〜10%**を目安に配分。外構や植栽はベージュ系砂利や素焼き鉢、淡いグレージュの門柱で“土の色”を添えると一体感が高まります。
なお、プロバンス風は経年で味わいが出ることも魅力。退色・汚れを恐れて真っ白に走らず、一段くすませた白を選ぶと、時間の経過を味方につけられます。
日本の光・汚れ・景観での最適化(純白を避ける判断軸/中明度・低彩度の利点)
日本は晴天と曇天の差が大きく、また道路粉じんや雨だれの汚れがつきやすい環境。純白は晴天で映える一方、曇天では青白く寒々しく見え、汚れのコントラストも強調されます。**アイボリー/エクリュ(黄みを含む白)やグレージュ(グレー+ベージュ)**へ半歩トーンダウンすると、四季・天候での見えムラが緩和され、汚れも目立ちにくいという大きなメリットがあります。
さらに、艶(グロス)の選び方も重要です。艶が強い(ピカピカした)塗料は、プロバンス風の素朴な素材感とは相性が悪く、安っぽく見えてしまう原因に。外壁は3〜5分艶で落ち着きと清掃性を両立するのが無難です。艶を抑えることで光の反射が柔らかくなり、塗り壁の質感を最大限に引き立てます。
街並みへの馴染みも重要で、周辺がモノトーン寄りなら淡グレー系、レンガ調や暖色が多いならクリーム〜ベージュ系を選ぶと調和しやすいでしょう。最後に、付帯部(雨樋・破風・水切り)を外壁より一段暗い中間色にして輪郭を締めると、全体が引き締まり“甘すぎ”を防げます。この「縁取り効果」が、可愛さの中に品格を生む秘訣です。
要素別:与える印象と注意点(例)
要素 | 推奨トーン | 効果 | 注意点 |
外壁(塗り壁風) | 高明度・低彩度 | 柔らかく上品、明るい印象 | 純白は汚れ・眩しさに注意。質感選びも重要。 |
屋根(S瓦) | テラコッタ~赤褐色 | 温かみ・南欧感の象徴 | 外壁との明度差を確保し、単調さを避ける。 |
アイアン装飾 | 濃茶~黒 | 外観の締め・陰影の創出 | 面積過多は重く見える。曲線のデザインを選ぶ。 |
レンガ/タイル | 赤褐~ベージュ | 素材感・可愛さ・重厚感 | 貼りすぎは雑多に見える。玄関周りなどポイント使いで。 |
アーチ壁/開口部 | 外壁と同色 | 優雅さ、柔らかな雰囲気 | 構造的な制約を確認。デザインのバランスが鍵。 |
ベースカラーの選び方:アイボリー/クリーム/ベージュ/淡グレーが“強い”理由
汚れにくさ、膨張・収縮の視覚効果、艶の選び方。人気の淡色4系統を“機能×見え方”で比較します。
色相・明度・彩度の基礎と“屋外での見え方”(晴天/曇天/朝夕/陰影)
色選びで最も注意すべきは**「面積効果」**です。小さなチップで見た色は、大面積になるほど明るく・鮮やかに感じられます。例えば、色見本帳で「ちょうどいい」と思ったベージュが、壁一面に塗ると「思ったより白っぽい」「黄みが強い」と感じるのはこのためです。
屋外は空の散乱光(スカイ光)や周囲の建物・緑からの反射光の影響が大きく、色の見え方は刻一刻と変化します。
- 晴天の正午:太陽光が強く、全体的に白っぽく、黄みが強調されます。
- 曇天:空全体からの拡散光になり、青み・灰みが強く感じられ、色は落ち着いて見えます。
- 朝・夕:太陽光が赤みを帯びるため、壁全体がオレンジがかった暖かい色に見えます。
- 陰面(北面など):常にスカイ光の影響を受けるため、青みがかって見えやすく、実際の色より暗く感じられます。
したがって室内での判断は危険です。A4〜A3サイズの実サンプル(塗り板)を必ず取り寄せ、外壁に直接貼り、日の当たる面/陰面/北面で時間帯をずらして比較するのが鉄則です。プロバンス風の外壁色の王道であるアイボリー/クリームは、晴天でも眩しすぎず、曇天でも冷えすぎない中庸の美を出せるのが強み。ベージュは土色に近く外構や植栽とも馴染みやすい一方、濃すぎると重く見えるため明度は8〜9相当(日本塗料工業会の色票番号でN-80〜N-90程度)を目安に。淡グレーはサッシが黒・ブロンズ系でも受け止めやすく、周辺がモノトーンの地域にも合わせやすい万能色です。
素材別の相性とメンテ性(塗り壁材/サイディング/機能性トップコート)
プロバンス風の外観を実現する外壁材には、主に塗り壁とサイディングがあります。それぞれの特徴を理解し、メンテナンス性も考慮して選びましょう。
- 塗り壁材(吹付・左官風意匠):ジョリパットやベルアートといった意匠性塗材が代表的。表情が豊かで“南欧らしさ”を最短で演出できますが、凹凸に汚れが溜まりやすい面も。これを防ぐためには、低汚染・親水性トップコートや、耐候性が非常に高いフッ素・無機系の仕上げを選ぶと安心です。特に親水性の塗膜は、雨が降ると汚れの下に水が入り込み、汚れを浮かせて洗い流す「セルフクリーニング効果」が期待できます。
- 窯業系サイディング:現在の日本の住宅で最も主流の外壁材。プロバンス風を狙う場合は、フラット〜塗り壁調エンボスの単色仕上げが王道です。サイディング特有の目地の影響でリズムが出るため、明度差を控えめにして“柄の競合”を避けましょう。最近では、本物の塗り壁に近い質感のサイディングも増えています。
- 金属サイディング(ガルバリウム鋼板など):軽量で断熱性やメンテナンス性に優れますが、素材の持つシャープな印象がプロバンスの素朴さとは対極にあります。採用する場合は、マットな質感の淡色を前提とし、表面にエンボス加工が施されたものを選ぶと良いでしょう。
いずれの素材も艶は控えめがセオリーで、3分〜5分艶が“可愛いのに上品”を実現します。汚れ目立ちにくさはグレー/ベージュ系が有利。純白や濃紺・濃緑は汚れ・退色コントラストが強く、メンテナンス周期が読みにくくなるため注意が必要です。
ベース色×汚れ目立ちにくさ×おすすめ艶(目安)
ベース色系統 | 汚れ目立ちにくさ | おすすめ艶 | コメント |
アイボリー | ◎ | 3〜5分艶 | 晴天・曇天どちらも安定。上品で飽きがこない。 |
クリーム | ◎ | 3〜5分艶 | 温かみがあり、外構の植栽やテラコッタと相性抜群。 |
ベージュ | ◯ | 3〜5分艶 | 重くならぬよう明度を高めに。ナチュラルで落ち着いた印象。 |
淡グレー | ◎ | 3〜5分艶 | サッシ色を選ばない万能カラー。モダンな要素も加えられる。 |
純白 | △ | 艶消〜3分艶 | 晴天時に非常に映えるが、雨だれ等の汚れ対策が必須。 |
屋根・サッシ・玄関ドアと調和させる:相性の科学
王道はオレンジ〜赤系S瓦×アイボリー〜ベージュ。サッシ色・玄関建具・外構まで含めた全体最適を設計します。
「瓦色×外壁色」相性表(テラコッタ/ブラウン/グレーの3軸)
プロバンス風の外壁色は、屋根との明度差と色温度(暖色系か寒色系か)のバランスが肝です。テラコッタや赤褐色のS瓦と、アイボリー〜ベージュの高明度ベースは温度感が揃い、最も失敗しにくい王道の組み合わせです。単色ではなく、複数の色を混ぜて葺く「ミックス瓦」を選ぶと、より表情豊かで本格的な南欧スタイルに近づきます。
瓦/外壁 | アイボリー | クリーム | ベージュ | 淡グレー | 与える印象 |
テラコッタ | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | 王道の明るい南欧スタイル |
ブラウン | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ | 落ち着いたカントリー調 |
グレー | ◯ | ◯ | △ | ◎ | 洗練されたモダンプロバンス |
ミックス(赤系) | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | 表情豊かで本格的な印象 |
(◎=王道/◯=相性良/△=難易度あり) |
鼻隠し・破風・雨樋などの付帯部は、外壁より1〜2段暗い同系色で“輪郭の締め”役にするのが基本。例えば、アイボリーの外壁ならライトベージュ、クリームの外壁ならモカブラウンといった具合です。もしくは、サッシの色と合わせることで、より統一感を出すことも可能です。玄関ドアは中〜濃茶の木目が合わせやすく、ドアが黒なら妻飾りや表札を黒で反復させるとまとまりが出ます。
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サッシ(白/黒/ブロンズ)と玄関ドアの“NG回避”ルール
サッシ色は外観の印象を決定づける、一度決めたら変えにくい固定要素です。慎重に選びましょう。
- 白サッシ:清潔感がある反面、外壁が純白だと境界が曖昧に「のっぺり」見えがち。外壁はアイボリーや淡グレーに寄せ、付帯部を中間色で締めることでメリハリが生まれます。最もプロバンス風らしさを出しやすい選択肢です。
- 黒サッシ:輪郭を強く出せるため、淡い色の外壁と好相性。空間が引き締まり、モダンな印象が加わります。ただしアクセントを増やしすぎると硬く見えるので、妻飾りやポストなど黒い要素の数を2〜3点に限定し、**「反復(リピート)」**でまとめるのがコツです。
- ブロンズ(アルミ茶):ベージュ系の外壁と調和しやすい一方、外壁をグレーにすると色温度がずれがち。グレーを使うなら暖かみのあるグレー(ウォームグレー)にして、木目調の玄関ドアで温かみを補完しましょう。
- シルバーサッシ:メタリックな質感がプロバンス風の素朴さとはミスマッチになりやすいため、難易度が高い選択肢です。
玄関ドアは木目の中〜濃色か、落ち着いたブルー/グリーンが有効です。プロヴァンスの青い空やオリーブの木々を連想させるこれらの色は、アクセントとして最適。ドアハンドルや表札、ポスト、照明器具は**一貫した金物色(黒のアイアン調 or アンティーク調の古美色)**で揃えると、ディテールにこだわりが感じられ、“可愛いのに雑多じゃない”洗練された外観に仕上がります。
アクセントカラー&素材の足し算:窓枠色・妻飾り・レンガ・タイル
窓枠やシャッターのブルー/グリーン、マスタードなど“差し色”の効かせ方と、レンガやタイルで南欧感を底上げする手法を紹介します。
アクセント色の作法:面積・配置・コントラストの黄金比
プロバンス風の外壁色で差し色を使うなら、原則は小面積×限定箇所。おすすめは玄関ドア/鎧戸(よろいど)/妻飾り/庇(ひさし)など“まとまりやすい部位”に集約し、色数は最大3色(ベース+付帯+アクセント)に抑えます。
ブルーやグリーンは地中海の海やオリーブを想起させ、淡色ベースに映える定番カラー。ただし、ビビッドすぎる色は日本の街並みでは浮いてしまうため、彩度を抑えた**くすみ系(ダスティトーン)**を選びましょう。例えば、スモーキーブルーやセージグリーンなどが好相性です。
コントラストは明度差>色相差を重視。外壁が明るいほどアクセントは中明度に落として“可愛いけど主張しすぎない”バランスを実現します。繰り返し配置(リピティション)を意識して、例えば「鎧戸の色」と「ポストの色」を合わせる、「玄関ドアの色」と「小さな窓枠の色」を合わせる、といった工夫で視線が自然に誘導され、まとまりが生まれます。夜景では色が沈むため、温かみのある電球色の外灯を合わせることで、夜も美しい表情を保てます。
アクセント色×ベース色のコントラスト早見
ベース色 | ブルー系 | グリーン系 | マスタード | テラコッタ |
アイボリー | ◎(爽やか) | ◎(ナチュラル) | ◯(温かみ) | ◯(素材系で) |
クリーム | ◯ | ◎ | ◎ | ◯ |
ベージュ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ |
淡グレー | ◎(都会×南欧) | ◯ | △(彩度控えめ推奨) | ◯ |
素材のポイント使い(レンガ/石/タイル/アイアン)で“やりすぎない可愛さ”
素材は質感の重ねすぎが最大の失敗要因。レンガ、石、タイル、アイアンのうち2種類程度に限定し、面積は合計で外壁の10〜20%に抑えるのが洗練されて見えるコツです。
- レンガ・タイル:玄関ポーチの床や壁の一部、窓台の下などに使うと効果的。外壁がクリームなら赤褐色、淡グレーなら黄みベージュ寄りのレンガが自然に馴染みます。石材はゴツゴツとした乱形石を粗めの目地で仕上げると、南欧の田舎家のような素朴な表情になります。タイルは光沢を抑えたマット仕上げを選びましょう。
- アイアン:妻飾り、フラワーボックス、門扉、表札などに曲線的なモチーフを選びます。玄関灯や表札などで黒を反復させると、前述の通り統一感が出ます。
- 木材:玄関ドアやウッドデッキ、パーゴラ(つる棚)などに木材を取り入れると、温かみが格段にアップします。定期的な保護塗装が必要ですが、それも味わいとなります。
素材同士の**“主役争い”を避けるため、外壁は一枚のキャンバスという発想で単色・マット寄り**を基調に。これでディテールが引き立ち、可愛さと上品さのバランスが保てます。外構の素焼き鉢や木製ベンチを足せば、住むほどに“絵になる”外観に育ちます。
地域・立地で変わる最適解:海沿い・内陸・積雪・方位と景観配慮
塩害/積雪/高日射/北面多陰——立地条件と景観ルールから“色トーンの微調整”を導くチェックリストを提示します。
気候・方位別のトーン調整(海沿いは低彩度、北面はやや明度アップ 等)
住んでいる場所の気候や、家が向いている方位によっても、最適な色は微妙に変わります。
- 海沿いの地域:潮風による塩害や、風雨で汚れが付着しやすいため、汚れが目立ちにくい淡グレー/グレージュの低彩度が有利です。付帯部は濃すぎない中間色にすると、塩分が付着して白っぽくなる「塩だまり」が目立ちません。
- 日差しの強い内陸部:強い太陽光で外壁の黄みが強調されやすいため、少し黄みを抑えたニュートラル寄りのアイボリーが安定します。屋根の吸熱も考慮し、やや明るめの瓦色を選ぶと、室内の温度上昇を抑える遮熱効果も期待できます。
- 積雪地域:冬場は雪の照り返しで外壁が実際より白く、そして寒々しく見えがちです。クリームやベージュで暖色系の温度感を足すのがコツ。付帯部も濃すぎない暖色系でまとめると、温かみのある印象を保てます。
- 北面が多い・日陰になりがちな立地:北面や隣家との間隔が狭い壁は、一日を通して暗く沈みがちです。ベース色を他の面と同系色で半段階明るく調整(調色)すると、家全体で見たときの明るさの均一感が出ます。
こうした立地別調整を行うと、四季の中でも見え方のブレが小さくなり、一年を通して“ちょうどいい”可愛さが維持できます。
近隣景観・街並みとの整合(外構・植栽・舗装色まで含めた統一感)
外観は家単体では成立しません。道路の幅、隣家の色、電柱やアスファルトのトーン、周囲の植栽の量など、「街の色」を観察しましょう。
周辺が寒色・無彩色系のモダンな住宅街なら、淡グレーの外壁+木目ドアで温かみを補填するスタイルが馴染みます。逆に、暖色系やレンガ調の家が多い地域なら、クリーム〜ベージュで同調させると違和感が生まれません。
外構は門柱・フェンス・ポスト・表札・アプローチまで含めて、外壁塗装と同時に配色設計を一体で決めるのが理想です。工事後の“ちぐはぐ”が起きません。植栽はオリーブやローズマリー、ラベンダーなど、シルバーリーフやハーブ系の植物を加えると、プロヴァンスの空気感が自然に演出できます。
最後に、自治体や分譲地の景観ガイドラインがある場合は、必ず事前に確認しましょう。多くの場合、高明度・低彩度の単色でまとめるのが定石です。窓回りだけに差し色を入れる“部分主義”なら、規制の範囲内で可愛さを最大化できます。
立地条件×推奨トーン(目安)
条件 | 色相・明度・彩度の指針 | 付帯部処方 |
海沿い | 低彩度の淡グレー/グレージュ | 中間色で白化目立ち回避 |
強日射 | ニュートラルなアイボリー | 屋根はやや明るめ(遮熱性考慮) |
積雪 | クリーム/明るいベージュ | 付帯は濃すぎず温度感キープ |
北面多陰 | 同系で半段明るく調整 | 輪郭は一段暗い同系で締める |
失敗しない色決めの進め方:検証手順とツールの使い方
“大判サンプル×屋外×時間帯”検証と、カラーシミュレーションの活用。決め方を手順化して迷いを減らします。
大判サンプル→屋外貼り→朝/昼/夕で比較→付帯部も見込む
色決めのプロセスは、感覚だけに頼らず、手順を踏むことが成功の鍵です。
- 候補を絞る:カタログやWEB事例を見て、好みの色を3〜5色に絞り込みます。
- 大判サンプルを取り寄せる:塗装業者に依頼し、A4〜A3サイズの塗り板サンプルを用意してもらいます。
- 屋外で比較検証:サンプルを実際の外壁にマスキングテープなどで仮留めします。**朝・正午・夕方・夜(照明下)**でそれぞれスマートフォンで撮影し、晴れの日/曇りの日の両日で比較します。ここで面積効果(大面積ほど明るく、鮮やかに見える)を念頭に、理想より半歩くすませた色、一段階暗い色を選ぶのが後悔しないコツです。
- 付帯部との組み合わせ:外壁の候補色と同時に、付帯部(破風・樋・鼻隠し・水切り)の色のサンプルも並べて確認します。外壁だけを見ていると、完成後に“顔がぼやける/締まりすぎる”といったミスが起きやすいためです。
- 全体像を想像する:玄関ドアやポスト、外構材との相性も同じ視野で確認し、使う色数はアクセントカラーを含め3色以内に制限することを意識します。
家族の好みが割れる場合は、理想のイメージに近い施工例の写真を複数集めてゴール像を共有し、「汚れにくさ > 写真映え」など、何を優先するかの順位付けを合意形成するのがスムーズです。
カラーシミュレーション&施工事例の活用(写真ベースで多案比較)
実物サンプルでの検証の後は、カラーシミュレーションで全体の面積配分や窓とのバランスを俯瞰的に確認します。特に、ご自宅の実際の写真に色を当てはめるタイプのシミュレーションは非常に有効です。陰影や付帯部の細かなバランスまで目視で確認でき、家族内での合意形成が一気に進みます。
WEB予約で無料のカラーシミュレーションを提供している塗装会社も多いので、「納得するまで比較検討する」ことが可能です。さらに、その会社の最新の施工実績ページを複数見ることで、同じ色名でも環境光によって見え方がどう違うのか、リアルな事例として把握できます。
色決めは順序が命です。①理想像の共有 → ②候補色の絞り込み → ③大判サンプルでの屋外検証 → ④シミュレーションで最終配色案の作成 → ⑤付帯部・外構との細部調整、この流れを踏めば、迷いのループから抜け出し、確信を持って色を決定できます。
色決めの実験ノート(チェック項目テンプレ)
チェック項目 | Yes/No | メモ(具体的に) |
候補を3〜5色に絞ったか? | ||
A3サイズ以上のサンプルを用意したか? | ||
屋外の壁で比較したか?(晴/曇/朝昼夕) | ||
付帯部の色も同時に検討したか? | ||
屋根の色との明度差は適切か? | ||
玄関ドア・サッシ・外構との整合性は? | ||
全体の色数は3色以内に収まっているか? | ||
カラーシミュレーションで全体像を確認したか? | ||
家族全員で最終案に合意したか? |
コラムのまとめ
プロバンス風の外壁色の本質は、淡色の塗り壁×S瓦×自然素材の小物という骨格にあります。写真映えを重視して純白に寄せると、実生活では汚れ・眩しさ・街並みとの不整合が現れやすい——だからこそアイボリー/クリーム/ベージュ/淡グレーが“強い”のです。これらは高明度・低彩度で四季や天候の揺らぎに耐え、付帯部や外構の色とも合わせやすい器の大きさを持っています。
屋根はテラコッタ〜赤褐色のS瓦と相性抜群。明度差と色温度を整え、サッシ・玄関ドア・破風・樋の**“輪郭の締め”で甘さを調整すれば、可愛いのに上品な佇まいへと昇華します。差し色は小面積×限定箇所×反復が鉄則で、くすみブルーやオリーブグリーンが定番です。立地・気候・方位に応じて半歩のトーン調整を施し、最後はA3サンプル×屋外×時間帯比較とカラーシミュレーション**で家族の合意形成を図る。
こうした論理的な手順を踏めば、プロバンスらしさと日本の街並みの両立が叶い、10年後も“ちょうどいい”と感じられる愛着のわく外観が続きます。迷ったらこの記事の相性表やチェックリストを見返し、面積・明度差・色数の三原則に立ち戻りましょう。
記事の締め
8月は日差しが強く、外壁色の見え方を屋外で確認するのに適した季節です。ただし暑さ対策は万全に。朝夕の涼しい時間帯にA3サンプルを貼って、晴れと曇りの両方で撮影・比較してみてください。台風シーズンを前に、外壁のチョーキング(粉吹き)やひび割れの点検も同時に行うことをおすすめします。
「この色で汚れは本当に大丈夫?」「我が家の瓦やサッシとの相性は?」といった具体的な不安があれば、ご自宅の写真を使った無料のカラーシミュレーションで複数案を一気に比較してみるのが最も確実です。WEB予約でシミュレーションから提案、見積りまでを無料で提供しているサービスもあります。
まずは大まかな費用感を掴むだけでも、計画は大きく前進します。外壁・屋根塗装のオンライン見積シミュレーションで相場観をチェックするのも有効です。年間3,000件以上の施工実績と顧客満足度99%を誇るような専門店もあるので、まずは無料のオンライン相談から、気軽に第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。住まいに“南欧の可愛さ”を、無理なく、そして賢く取り入れていきましょう。
\たった3分で外壁・屋根塗装の相場が分かる!/