
「家の基礎にひび割れを見つけたけれど、これは放っておいていいのだろうか」そう思って調べはじめると、「0.3mm」「ヘアクラック」「構造クラック」といった言葉が次々に出てきて、かえって分からなくなる。基礎のひび割れは、そういう悩み方をしやすいテーマです。
結論からお伝えします。基礎のひび割れには、国土交通省の告示が示している判定の目安があります。幅0.3mm未満か、0.3mm以上0.5mm未満か、0.5mm以上か。この3段階で「構造耐力上の安全性に問題が存する可能性」を見ていきます。
ただし、0.3mmは「これを超えたら欠陥」という線引きではありません。告示自身が、瑕疵の有無を特定するためのものではないと明記しています。
実際、公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住宅相談統計年報2025」(2024年度集計)によると、新築住宅に関する相談のうち戸建住宅5,759件で最も多かった不具合事象は「ひび割れ」で1,105件(19.2%)(複数回答)でした。同センターは、ひび割れが多くみられる部位として「外壁・基礎」を挙げています。それだけ多くの方が、同じところでつまずいています。
出典:住宅相談統計年報2025(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)
この記事では、一般住宅の外壁・屋根塗装を専門とし、全国でフランチャイズ展開するスターペイントが、基礎クラックの許容範囲の考え方と、危険なひび割れの見分け方を解説します。スターペイントは全国で累計施工実績10,000件以上(2026年8月末時点)。実際に住宅を診断してきた経験も踏まえてお伝えします。
なお、この記事は「そのひび割れが危険かどうかを判断する基準」に絞っています。
補修にかかる費用の内訳や保証の使い方は基礎のひび割れ補修費用はいくら?危険度の見極め方・DIY可否・相場・保証のすべてをプロが徹底解説、ベタ基礎をDIYで補修してよいかの判断はベタ基礎のクラック補修はDIYで直せる?プロが教える危険なひび割れ基準と正しい補修費用で、それぞれ詳しく解説しています。
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基礎クラックの許容範囲は「幅0.3mm」が目安|国が示す判定基準
基礎のひび割れを判断するとき、最初に押さえておきたいのが「誰が決めた、何のための基準なのか」です。ここを飛ばして数値だけを覚えると、かえって判断を誤ります。
国土交通省の告示が示す3段階の判定レベル
基礎のひび割れについて、国がもっとも明確な目安を示しているのが、国土交通省(旧建設省)の告示「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年7月19日建設省告示第1653号/最終改正 平成18年2月23日国土交通省告示第308号)です。
この告示では、住宅の基礎に生じたひび割れについて、構造耐力上の安全性に問題が存する可能性を3段階で判定する目安を示しています。コンクリート打放しなど仕上材のない基礎は「構造材による仕上げ」に該当します。
| レベル | 判定基準(ひび割れ幅) | 構造耐力上の安全性に問題が存する可能性 |
|---|---|---|
| レベル1 | レベル2・レベル3に該当しないひび割れ(=幅0.3mm未満) | 低い |
| レベル2 | 幅0.3mm以上0.5mm未満のひび割れ | 一定程度存する |
| レベル3 | 幅0.5mm以上のひび割れ/さび汁を伴うひび割れ | 高い |
出典:国土交通省「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年建設省告示第1653号、最終改正 平成18年国土交通省告示第308号)
ネット上でよく見かける「0.3mm」という数字は、ここから来ています。
0.3mmは「超えたら欠陥」という線引きではありません
ここを誤解したまま話を進めてしまう方が、少なくありません。
告示自身が、この基準は構造耐力上主要な部分における瑕疵の有無を特定するためのものではない、と明記しています。つまり0.3mmは、
「超えたら欠陥、超えなければ問題なし」
を分ける線ではなく、
「専門家に見てもらうかどうかを判断するための目安」
です。
0.29mmと0.31mmで住宅の安全性が突然変わるわけではありません。数値はあくまで入り口として使ってください。
新築なら10年間、基礎は瑕疵担保責任の対象になります
新築住宅の基礎は、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)第94条・第95条により、引渡しから10年間の瑕疵担保責任の対象です。木造戸建住宅の「基礎」は構造耐力上主要な部分に位置づけられており、この10年という期間は契約で短縮できません。
| 根拠・基準 | 位置づけ | 内容 |
|---|---|---|
| 住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準(平成12年建設省告示第1653号) | 国土交通省の告示 | 基礎のひび割れを0.3mm・0.5mmで3段階に区分し、構造耐力上の安全性に問題が存する可能性を判定する目安を示す |
| 品確法 第94条・第95条 | 法律 | 新築住宅の構造耐力上主要な部分(基礎を含む)について、引渡しから10年間の瑕疵担保責任を義務づけ(短縮不可) |
| 住宅瑕疵担保履行法 | 法律 | 上記10年間の責任を確実に履行するため、事業者に保険加入または供託を義務づけ |
| JASS5(建築工事標準仕様書・同解説 鉄筋コンクリート工事)ほか日本建築学会の指針 | 業界標準仕様 | コンクリートのひび割れ管理に関する実務基準。数値は版によって異なるため、引用時は該当版の原典で確認が必要 |
出典:国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要」(令和4年9月15日)
ただし、10年以内ならどんなひび割れでも無償補修になるわけではありません。そのひび割れが構造耐力上主要な部分の瑕疵にあたるか、あるいは雨水の浸入を防止する部分の瑕疵にあたるかで判断されます。まずは写真を残し、施工会社と保険法人に確認してください。
💡 現場のプロから:数値より「広がっているかどうか」を見る
現場で基礎を見せていただくとき、私たちが真っ先に測るのは幅ですが、それ以上に知りたいのは「いつからあるのか」です。
同じ0.4mmでも、10年前からその幅のまま止まっているひび割れと、この半年で0.2mmから広がってきたひび割れでは、意味がまったく違います。前者は経過を見るという判断がしやすい一方、後者は原因を突き止める必要があります。
ところが、この「進行しているか」という情報は、住んでいる方にしか記録できません。私たちが訪問するのは、たいてい一度きりだからです。
ですので、気になるひび割れを見つけたら、すぐに業者を呼ぶ前にまず撮影と記録をおすすめします。スマートフォンで撮った写真1枚と、日付と幅をメモした紙。それだけで、半年後の判断材料がまったく変わります。
「0.3mmを超えているかどうか」より、「前より広がっているかどうか」。現場ではこちらの方が、はるかに判断に使えます。
基礎クラックの種類と、危ないものの見分け方
基礎クラックは、コンクリート基礎に生じたひび割れの総称です。ただし、すべてが同じ意味を持つわけではありません。まずは4つの種類を押さえておきましょう。
4つのクラックの種類と特徴
| クラックの種類 | 主な特徴 | 構造上の影響 |
|---|---|---|
| ヘアクラック | 幅0.3mm未満の細いひび割れ。表面のみ | 原則として問題になりにくい |
| 乾燥収縮クラック | 基礎全体に細かく発生する | 原則として問題になりにくい |
| 構造クラック | 幅0.3mm以上で、深さのある亀裂 | 要注意。専門家の確認が必要 |
| 沈下クラック | 斜め方向に走る大きなひび割れ | 早急に対応したい |
ヘアクラックや乾燥収縮クラックは、コンクリートが固まる過程で水分が抜けるときや、経年変化によって生じます。見た目は気になりますが、強度が落ちるリスクは低いものです。
一方、構造クラックや沈下クラックは、建物の強度や地盤の状態に関わっている可能性があります。幅・深さ・発生している場所を、正確に見極める必要があります。
幅が細くても注意したい3つのサイン
幅0.3mm未満でも、次の症状があれば数値だけで判断しないでください。
さび汁が出ている
ひび割れから茶色い筋が垂れていたら、内部の鉄筋が錆びている可能性があります。告示でも「さび汁を伴うひび割れ」は、幅に関係なくレベル3(可能性が高い)とされています。
水がしみ出している
雨のあとにひび割れ周辺が濡れている、湿気やカビが出ている。ひび割れが内部まで達しているサインかもしれません。
建物の傾きや床の段差を伴う
ひび割れと同時に、床に傾きを感じる、サッシの動きが悪くなった、壁紙に新しいシワができた。こうした変化があれば、基礎表面だけの問題ではない可能性があります。
このほか、長さ30cm以上が連続している、基礎の立ち上がり全体をまたいでいる、といったひび割れも確認の対象です。
💡 現場のプロから:黒っぽい筋は「さび汁」かもしれません
基礎の汚れで意外と見落とされるのが、さび汁です。
外壁の雨だれ汚れを見慣れている方ほど、基礎に垂れた茶色い筋も「汚れだろう」と判断しがちです。しかし、ひび割れの線に沿って上から下へ細く垂れている茶色や赤茶色の筋は、汚れではなく内部の鉄筋から染み出したさびである可能性があります。
見分け方は単純で、筋の出発点を見ることです。
汚れなら、基礎の上端や隙間など、外から水が流れてきた場所が起点になります。さび汁なら、ひび割れそのものが起点になります。
ここは幅を測るより先に確認していただきたいポイントです。さび汁が出ているなら、幅が0.2mmでも専門家に見てもらう理由になります。
基礎クラックの幅を自分で測る方法
判断の出発点は、正確に測ることです。難しい道具は必要ありません。
クラックスケールでの測り方
用意するのは、0.1mm単位の目盛りが入ったクラックスケールです。ホームセンターやネット通販で、数百円程度から購入できます。
測るときのポイントは3つです。
- 一番広い箇所を測る — ひび割れは場所によって幅が変わります。細いところを測っても意味がありません
- 明るい場所で測る — 日陰や夕方は、目盛りが読みにくく誤差が出ます
- 測った位置に印を付ける — 次回、同じ場所を測るためです
深さについては、ご自身で正確に測るのは難しいものです。無理に針などを差し込むと、かえってひび割れを広げてしまうことがあります。深さが気になる場合は、専門家に依頼してください。
記録の残し方
測った数値は、必ず記録に残してください。判断を分けるのは、一度の測定値ではなく変化だからです。
残しておきたいのは次の4つです。
- 撮影日
- ひび割れの幅(mm)
- 長さ(おおよそで構いません)
- 写真(建物全体が分かる引きの1枚と、スケールを当てた寄りの1枚)
スマートフォンの写真は撮影日が自動で残るので、アルバムを1つ作っておくのが手軽です。半年から1年ごとに同じ場所を撮り続ければ、進行しているかどうかが自分で判断できるようになります。
💡 現場のプロから:埋める前に、必ず記録を
DIYでひび割れを埋めようと考えている方に、ひとつだけお願いしたいことがあります。
埋める前に、必ず記録を残してください。
シーリング材で埋めてしまうと、そのひび割れが進行していたのかどうか、あとから誰にも分からなくなります。数年後に別の場所が割れてきたとき、原因を考える手がかりが失われるのです。
私たちが診断に伺って困るのも、まさにこのケースです。何箇所か補修跡があるけれど、元がどんな状態だったか分からない。そうなると、建物全体を見て推測するしかありません。
補修そのものを止めたいわけではありません。記録が1枚あるかないかで、次の判断の精度が変わるという話です。
基礎クラックが発生する主な原因
原因が分かると、放置していいものかどうかの見当がつきやすくなります。
乾燥収縮と温度変化によるもの
コンクリートは、固まる過程で水分が抜けるときにわずかに縮みます。また、季節の寒暖差でも伸び縮みします。この動きによって生じるのが、乾燥収縮クラックと温度変化クラックです。
新築直後に細かいひび割れが出るのは、多くがこれにあたります。
| クラックの種類 | 発生しやすい時期・条件 | 一般的な目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 乾燥収縮クラック | 新築施工から1年ほど | 幅0.3mm未満 | 構造への影響は少ない |
| 温度変化クラック | 季節の変わり目、急激な温度変化 | 幅0.3mm未満 | 表面部に多い |
| 構造的クラック | 強い外力や地盤の変化 | 幅0.3mm以上は要確認 | 補修や専門調査を検討 |
地震や地盤沈下によるもの
地震や地盤沈下によって生じたひび割れは、慎重に見る必要があります。内部の鉄筋腐食や強度低下につながる可能性があり、住宅の耐震性にも関わるからです。
特に、不同沈下(建物が部分的に沈む現象)が疑われる場合や、地震のたびに同じ箇所が割れる場合は、幅0.3mmを超えていなくても専門家の診断をおすすめします。
施工や下地に起因するもの
配筋やコンクリートの打設、養生の条件によって、ひび割れが出やすくなることもあります。
見分けるのは簡単ではありませんが、新築から間もない時期に幅の大きなひび割れが出た、同じ形状のひび割れが規則的に並んでいる、といった場合は、施工会社に経緯を確認してみる価値があります。
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基礎の種類別に見る許容範囲の考え方
基礎の形式によって、ひび割れが出やすい場所や補修の難しさが変わります。
ベタ基礎・布基礎・独立基礎
| 基礎の種類 | 主なクラック発生箇所 | 補修の難易度 | 確認したいこと |
|---|---|---|---|
| ベタ基礎 | 表面・立ち上がり | 低〜中 | 面全体を点検。浅いひび割れは防水性を重視 |
| 布基礎 | 立ち上がり・接合部 | 中 | 接合部のひび割れは要注意。鉄筋の露出がないか |
| 独立基礎 | 柱の接点・角部 | 高 | 沈下や傾きも同時に確認 |
判定の目安となる幅は、いずれも告示が示す0.3mm・0.5mmが基本です。ただし独立基礎は、ひび割れそのものより「沈下していないか」が重要になります。
ベタ基礎は戸建住宅でもっとも採用例が多い形式です。ベタ基礎に特化した判断基準とDIYの可否は、ベタ基礎のクラック補修はDIYで直せる?プロが教える危険なひび割れ基準と正しい補修費用で詳しく扱っています。
新築住宅で見つかったときの保証
新築住宅では、乾燥収縮によるヘアクラックが発生しやすいものです。幅0.3mm未満で鉄筋まで達していなければ、構造への影響は少ないとされています。
一方、次のいずれかにあてはまる場合は、瑕疵担保責任や住宅瑕疵担保責任保険の対象となる可能性があります。
- 幅0.3mm以上で、深さが鉄筋まで達している
- ひび割れ部分から水分の侵入が確認される
- 不同沈下などの兆候と関連している
申請の基準は保険法人や保証内容によって細かく定められています。不安な場合は、写真を残したうえで早めに施工会社へ相談してください。
💡 現場のプロから:新築でひび割れを見つけても、慌てなくて大丈夫です
新築の引き渡し直後に基礎のひび割れを見つけて、強い不安を感じてご連絡くださる方がいらっしゃいます。
まず知っておいていただきたいのは、新築でひび割れが出ること自体は珍しくないということです。コンクリートは乾く過程で必ず縮むので、細いひび割れはむしろ自然に生じます。
ただし「珍しくない」ことと「確認しなくていい」ことは別です。
やっていただきたいのは3つだけです。日付入りで写真を撮ること。幅を測っておくこと。そして施工会社に連絡して、記録として残してもらうこと。
この3つをやっておけば、仮に数年後に広がってきても、経緯を証明できます。品確法の10年という期間は、記録があってはじめて活きるものです。
感情的に問い詰める必要はありません。「記録しておきたいので、見ておいてもらえますか」で十分です。
基礎クラックの補修方法と費用の目安
判断の結果、補修が必要となった場合の選択肢を整理します。
代表的な4つの補修工法
| 工法 | 施工の流れ | 主な効果 | 適したケース |
|---|---|---|---|
| エポキシ樹脂注入 | ひび割れ内部を清掃し、樹脂を注入する | 構造的な一体性の回復 | 幅0.3mm以上の亀裂 |
| シーリング充填 | ひび割れにシーリング材を充填する | 水分の侵入防止 | ヘアクラックなど表面の割れ |
| モルタル埋め戻し | ひび割れ部分を目荒らしし、埋める | 表面の補修・仕上がりの改善 | 軽微な部分的補修 |
| アラミド繊維シート | シートを貼り付けて補強する | 耐震性の向上 | 構造強度の低下が明確な場合 |
工法選びの考え方はシンプルです。幅0.3mmを超える、または構造上重要な箇所であればエポキシ樹脂注入が基本。ヘアクラックのような微細なひび割れは、シーリングや表面の塗装で対応できます。
DIYで対応してよい範囲
工法が分かっても、自分でやっていいのかどうかは別の問題です。ここで、DIYと業者の境目を整理しておきます。
| ひび割れの状態 | 対応の目安 |
|---|---|
| 幅0.3mm未満、表面のみ、さび汁なし | 防水と美観を目的に、シーリング材で埋めるDIYなら可能 |
| 幅0.3mm以上 | 業者に依頼。表面を埋めるだけでは構造的な回復にならない |
| さび汁が出ている | 幅に関係なく業者に依頼。内部の鉄筋に問題がある可能性 |
| 建物の傾き・床の段差を伴う | 業者に依頼。基礎表面だけの問題ではない可能性 |
DIYで対応してよいのは、表の一番上のケースだけです。それ以外は、埋めても原因が残ります。
なお、DIYを選ぶ場合も、前述のとおり埋める前の記録だけは忘れないでください。
災害で生じたひび割れと保険
地震や豪雨のあとは、基礎のひび割れが一気に増えることがあります。次のような場合は、保険の適用や専門家による再診断を検討してください。
- ひび割れの幅が0.3mm以上、または長さが数十cm以上に拡大した
- 壁や床に新たな段差・沈下・不陸が生じている
- 水漏れや湿気、カビの発生といった二次被害の兆候がある
保険の申請を想定するなら、損傷状況の写真と報告書が必要になります。
ただし、火災保険は経年劣化による損傷を対象としないのが一般的です。地震による損害は地震保険の対象になり得ますが、認定には基準があり、ひび割れがあれば必ず支払われるわけではありません。「保険で無料になります」と断言する説明は、そのまま信じず約款と保険会社に確認してください。
この線引きでつまずく方が多いポイントなので、火災保険で雨漏りが経年劣化と認定される条件と修理費用の注意点・適用事例を徹底解説もあわせてご確認ください。
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基礎クラックを見つけたときの相談先と業者選び
判断に迷ったとき、どこに相談すればよいのかを整理します。
まずどこに相談するか
新築から10年以内であれば、まずは施工した会社です。品確法の責任期間内にあたるため、記録を残す意味でも最初に連絡すべき相手になります。
判断に納得できない場合や、事業者と話が進まない場合は、次の窓口があります。
- 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)
- 建築士事務所・ホームインスペクション事業者
- 住宅瑕疵担保責任保険法人
- 消費者相談センターや自治体の住宅相談窓口
- 基礎補修の専門業者
「住まいるダイヤル」は、住宅専門の相談員に無料で相談できる公的な窓口です。どこに相談していいか分からないときの最初の一歩として使えます。
見積書で確認したいこと
補修を依頼する際、見積書で確認しておきたい項目です。
- 現地調査を行い、ひび割れの場所と原因について説明があるか
- 使用する材料や工法が具体的に記載されているか
- 施工前後の写真を記録として残してもらえるか
- 補修後の保証やアフター対応の範囲が明記されているか
- 火災保険や住宅保証との関係について、事実に基づいた説明があるか
「基礎補修一式」とだけ書かれた見積書では、何をするのか分かりません。金額の比較もできません。
注意したい業者の説明
次のような説明には、一度立ち止まってください。
- 点検後すぐに「今すぐ工事しないと危険」と契約を迫る
- ひび割れの幅を測らずに、危険だと断言する
- 「火災保険が使えるので自己負担ゼロ」と保証する
- 作業内容や保証の範囲について、具体的な説明を避ける
基礎は床下や地面に近く、住んでいる方が確認しにくい場所です。だからこそ、写真で状態を見せながら説明してくれるかどうかが、判断の材料になります。
💡 現場のプロから:「様子を見ましょう」と言える会社かどうか
業者選びで分かりやすい見分け方をひとつお伝えします。
「これは今すぐ直す必要がありますか?」と聞いてみてください。
住宅の状態をきちんと見て提案している会社なら、「この幅と場所なら、まず半年様子を見ましょう」「ここはさび汁が出ているので、早めに見た方がいいです」と、ひび割れごとに違う答えが返ってきます。
逆に、どのひび割れに対しても「早く直した方がいい」としか言わない場合は、状態ではなく契約を見て話している可能性があります。
基礎の補修は、外壁塗装のように「そろそろ時期だから」という判断で行うものではありません。必要なものは必要、不要なものは不要と説明できるかどうか。そこが会社を見分ける一番のポイントです。
不動産の購入・売却で基礎クラックを確認するポイント
基礎のひび割れは、不動産取引でも評価に関わります。
購入・売却時にチェックすること
| チェック項目 | 目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| ひび割れの幅 | 0.3mm未満か | 0.3mm以上は専門家の確認を |
| ひび割れの深さ | 表層のみか貫通か | 鉄筋まで達しているかが分かれ目 |
| 発生箇所・数 | 単発か複数か | 複数箇所なら構造的な要因も検討 |
| 発生時期 | 新築直後か経年か | 新築直後なら保証対象の有無を確認 |
| 補修の有無・方法 | 補修跡があるか | 誰がどの工法で補修したかを確認 |
売却時は、補修履歴と現在の状態を記録して買主に提示しておくと、後のトラブルを防げます。購入時は、表面だけでなく内部への影響がないかを専門家に確認してもらうと安心です。
ホームインスペクションという選択肢
ホームインスペクションは、建築士などの専門家が第三者の立場で住宅の状態を評価するサービスです。
基礎の診断では、目視だけでなく専用のゲージや測定機器を使い、ひび割れの幅・深さ・進行状況に加えて、鉄筋の腐食や不同沈下のリスクまで確認します。
| 診断のプロセス | 内容 |
|---|---|
| 予備調査 | ひび割れの位置と状態を確認 |
| 幅・深さの計測 | 専用機器で数値を記録 |
| 内部構造・鉄筋の確認 | 補修痕の有無や腐食の兆候を判定 |
| 変形・不同沈下の確認 | 基礎全体の傾斜や地盤の状況をチェック |
| 診断書の発行 | 写真・数値・所見をまとめて報告 |
診断結果は書面で受け取れるため、不動産取引の交渉材料や、保険申請・保証請求の資料としても使えます。
基礎を長持ちさせる点検とメンテナンス
ひび割れは、早く見つけるほど選べる対策が増えます。
点検の時期とチェックポイント
| 時期 | 点検項目 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 春 | 表面のひび割れ、雨水の浸入跡 | ひび割れの幅と長さ、カビや腐食の有無 |
| 秋 | 新たなひび割れ、鉄筋の露出 | 幅0.3mm以上なら専門家へ相談 |
| 台風・地震のあと | 浸水跡、不同沈下の兆候 | 基礎と地面の隙間、床や壁の段差 |
点検といっても、建物の周囲を一周して基礎を見るだけです。1回10分もかかりません。大切なのは、同じ時期に同じ場所を見続けることです。
基礎塗装・補強という選択肢
基礎に塗装や補強を行うことで、水分の侵入を抑え、ひび割れの発生リスクを下げられる場合があります。
ただし、既にひび割れが進行している基礎に表面塗装をしても、原因は解決しません。塗装は予防や仕上がりの改善が目的であり、構造的な補修の代わりにはならない、という順番で考えてください。
外壁塗装の足場を組むタイミングで基礎の状態も確認しておくと、別々に工事を手配するより効率的です。
住環境の管理で発生リスクを下げる
基礎そのものを触らなくても、環境を整えることでリスクは下げられます。
- 通気口や換気設備を塞がず、床下の湿気と結露を防ぐ
- 雨水の排水経路を整え、基礎まわりに水が溜まらないようにする
- 基礎に接するほど近い植栽は、距離を取る
- 新築時は、住宅瑕疵担保責任保険や長期保証の内容を確認しておく
診断技術の進化
近年は、赤外線サーモグラフィやAI画像診断による非破壊調査も普及しはじめています。内部の微細なひび割れや水分の侵入状況を、壊さずに把握できる技術です。
ただし、こうした技術はあくまで診断の精度を上げるものです。「どの数値なら安全か」という判断の基準そのものは、告示が示す目安が引き続き基本になります。
基礎クラックの許容範囲についてよくある質問
基礎のひび割れは、何mmを超えたら危険なのですか?
国土交通省の告示「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」では、基礎のひび割れを幅0.3mmと0.5mmで区切り、構造耐力上の安全性に問題が存する可能性を3段階で示しています。0.3mm未満はレベル1(可能性が低い)、0.3mm以上0.5mm未満はレベル2(一定程度存する)、0.5mm以上またはさび汁を伴うものはレベル3(高い)です。
ただし告示自身が「瑕疵の有無を特定するためのものではない」と明記しているとおり、0.3mmは「超えたら欠陥」という線引きではありません。専門家の調査を検討すべきかを判断する目安と考えてください。
ヘアクラックは放置してもいいのでしょうか?
幅0.3mm未満の細いひび割れは、レベル1として構造耐力上の安全性に問題が存する可能性は低いと位置づけられています。ただし「放置していい」ことと「何もしなくていい」ことは違います。
幅や長さをメモと写真で記録し、半年から1年ごとに同じ箇所を見比べてください。進行しているかどうかが、幅の数値そのものより重要な判断材料になります。
新築なのに基礎にひび割れがあります。保証で直してもらえますか?
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)第94条・第95条により、新築住宅の構造耐力上主要な部分は引渡しから10年間の瑕疵担保責任の対象で、木造戸建住宅の「基礎」はこれに含まれます。この期間は契約で短縮できません。
ただし、10年以内であればどんなひび割れでも無償補修になるわけではありません。そのひび割れが構造耐力上主要な部分の瑕疵、または雨水の浸入を防止する部分の瑕疵にあたるかで判断されます。まずは写真を撮り、施工会社と保険法人に確認してください。
幅0.3mm未満でも補修したほうがよいケースはありますか?
あります。幅が細くても、さび汁が出ている、同じ箇所が継続的に広がっている、地面に近い部分から水がしみ出しているといった症状があれば、幅の数値だけで判断せず専門家に見てもらってください。
告示でも「さび汁を伴うひび割れ」は、幅に関係なくレベル3(可能性が高い)とされています。
基礎のひび割れは火災保険や地震保険で直せますか?
経年劣化や乾燥収縮によるひび割れは、火災保険では補償対象外とされるのが一般的です。地震によって生じた損害は地震保険の対象になり得ますが、認定には基準があり、ひび割れがあれば必ず支払われるわけではありません。
いずれも加入している保険の約款次第です。「保険で無料になります」と断言する業者の説明は、そのまま信じず約款と保険会社に確認してください。
DIYで補修しても大丈夫ですか?
表面だけの微細なひび割れを、防水と美観のためにシーリング材で埋める程度であればDIYでも対応できます。一方、幅0.3mm以上のひび割れ、さび汁が出ているもの、建物の傾きや床の段差を伴うものは、表面を埋めても原因が解決しません。
むしろ注意が必要なのは、DIYで埋めてしまうと進行しているかどうかが分からなくなる点です。記録を残す前に埋めないようにしてください。
ひび割れの幅はどうやって測ればいいですか?
0.1mm単位の目盛りが入ったクラックスケール(数百円程度で市販)をひび割れに当てて読み取ります。測るときは、ひび割れの一番広い箇所を測る、明るい場所で測る、測った位置に印を付けて日付と数値を記録する、の3点を守ってください。
同じ位置を同じ方法で測り続けることが、進行の判断につながります。
まとめ|基礎クラックは「幅」と「進行」の両方で見る
基礎のひび割れには、国土交通省の告示が示す判定の目安があります。
| レベル | ひび割れ幅 | 構造耐力上の安全性に問題が存する可能性 |
|---|---|---|
| レベル1 | 0.3mm未満 | 低い |
| レベル2 | 0.3mm以上0.5mm未満 | 一定程度存する |
| レベル3 | 0.5mm以上/さび汁を伴う | 高い |
ただし、この記事でいちばんお伝えしたいのは数値そのものではありません。
0.3mmは「超えたら欠陥」という線引きではなく、専門家に見てもらうかどうかを判断するための目安です。
そして、幅と同じくらい大切なのが「進行しているかどうか」です。同じ幅でも、止まっているひび割れと広がり続けているひび割れでは、意味がまったく違います。
基礎のひび割れを見つけたら、次の5点を確認してみてください。
| チェックポイント | 確認すること |
|---|---|
| ①幅 | クラックスケールで一番広い箇所を測ったか |
| ②進行 | 日付入りの写真と数値を記録しているか |
| ③さび汁・水 | 茶色い筋や、水のしみ出しがないか |
| ④建物の変化 | 床の傾きやサッシの動きに変化がないか |
| ⑤築年数 | 新築10年以内なら、まず施工会社へ連絡したか |
数値だけで慌てる必要も、逆に数値が小さいからと安心しきる必要もありません。記録を残しながら、必要なときに専門家に見てもらう。これが、基礎と長く付き合っていくうえでいちばん確実な方法です。
おわりに|季節の変わり目は、基礎を見るいい機会です
基礎は、普段ほとんど目を向けない場所です。だからこそ、見るきっかけを決めておくと続きます。
梅雨や台風、地震のあと。あるいは年に2回、季節の変わり目。そうしたタイミングで建物の周囲を一周し、基礎を眺めてみてください。10分もかかりません。
そのとき、外壁や屋根の状態もあわせて見ておくと、家全体のメンテナンス計画が立てやすくなります。外壁の色あせやチョーキング、シーリングの劣化は、基礎より先にサインが出ることが多いからです。
スターペイントでは、最短3分のチャット入力で外壁・屋根塗装の無料見積シミュレーションをご利用いただけます。
「基礎も外壁も、そろそろ見てもらった方がいいのか知りたい」
「まず自宅の塗装費用の目安だけ知っておきたい」
という方も、計画を立てる前の参考としてお気軽にお試しください。
\たった3分で外壁・屋根塗装の相場が分かる!/
















